エスカレーターの偽マナー

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エスカレーターに乗った時、片側を空けるのは一般的になっています。
これは、何十年も前に、ロンドンでできたマナーの名残だそうです。
日本でも、関東では右を空けて、関西では左を空けるのがマナー、というようなことがよく話題になります。

結論から言うと、エスカレーターの片側を空ける習慣は廃止すべきもののようです。

まず、設計上、エスカレーターは歩いて使用することを想定していません。段差も高く躓きやすい。構造上、段のエッジの部分は尖ってギザギザになってますから、転んで体をぶつけたときに、単に階段で転んだときとは大違いの傷の深さになります。当たり前ですが、転ぶ確率は、エスカレーターを歩く事で上がるでしょう。これは被害者にも加害者にもなる危険があります。
また、片側に偏ったまま荷重がかかると、想定以上の部品の消耗になるそうです。つまり壊れやすくなるということです。

でも、この事実を知っている私自身、全員が左側に偏って乗っているエスカレーターに、一人で右側に乗る、ということはなかなか出来ません。街中には理屈が通じない状況が多く存在するからです。文句を言ってくるクレーマー程度ならともかく、カッとして暴力を行使する人間も思いの外多いようです。 そうなると恐らく、理屈の通ることを実践するためには、護身術を身に付けてからにすべきかもしれません。

面白いのは、言っていることが正しくても、言い方によって全く聞く気がしなくなるという事です。
通勤に使っていた駅のエスカレーターの前で、ある年配の男性が、エスカレーターに乗っている人たちに向かって、よく怒鳴り散らしていることがありました。
言っていることは、「エスカレーターに乗ったら歩くな」という事で、至極まっとうなのですが、その意見に賛成の立場の私でさえ、見ず知らずの人を罵るように注意している光景を見ると、「あんたの言うことは聞きたくない!」という感情になっていました。
「誰かが言わなくては」という状況はあったとしても、コミュニケーション能力が低い人は、自分で言わない方がいい、かえって逆効果になる、という例です。

以前であれば、テレビの人気司会者が、「XXを食べると健康にいい」というだけで、全国のスーパーでその食材が売り切れになる、という馬鹿馬鹿しい現象が起きていましたが、本来、マスのメディアはそういう影響力を有効に活用して、誤ったマナーを正すキャンペーンなどを実施して欲しいものです。

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