低予算で本格B級モンスター映画を作る方法(12)・絵コンテ作成

4日目・絵コンテ作成

絵コンテ

通常の映画であれば、シナリオを執筆した後、必要であれば絵コンテを作成する、という事になります。実際は、絵コンテは必ず必要、という訳ではなく、特にお芝居重視のドラマなどであれば、演技を見てからでないと、構図やカット割が判断できない事もありますから、その都度、現場で判断して撮影していくことも必要です。

 これが、アニメーション映画になると、話は別です。構図や動き、演技など、きっちりと絵コンテを作りこんでおかないと、作画ができません。(カメラ位置を想定する前に、キャラクターの位置や動きを設定しておいて、後からカメラ位置、構図、光源を決められるような、3DCGアニメは除きます)

 今回の企画は、二人の登場人物がカメラの前でお芝居をしているところを撮影するのではなく、グリーンバックの前で一人ひとり別々に撮影した映像と、更に別撮りしてきた背景を合成することで、実際には行っていない場所で、場合によっては会った事もない人同士が会話している、という場面を作り出そう、というものです。

 手法としては、「背景」「人物の動かない部分」「人物の動く部分」というように別々に作画した要素を重ね合わせて撮影する、アニメーションに近い感覚が必要なのです。そのため、かなり具体的な絵コンテが必要となります。

 絵コンテの描き方というのは、色々なやり方があると思います。教材も出ているようですから、自分に合ったやり方を試行錯誤するのがいいでしょう。

 私は、まずシナリオを睨みながら、何となくのカット点に印を付けていきます。出来上がりの映像を想像しながら、観客が見たい部分をストレスなくみせるためのカット割りが基本です。

 このときに大事で、有効なのは、「人物の位置関係」を上から見た状態でメモしておくことです。それによって、頭の中で状況が整理しやすくなりますし、カメラをどこにおいて、どういう構図に割るかを考えやすくなります。

 ある程度、イマジナリーラインを考慮したカットの組み合わせも考えやすくなります。イマジナリーラインについては、拙書「邪道映画術」で解説しています。

 今回は、先にロケ地で背景を撮影しています。その際、どういう映像にするかは、ある程度想定できているので、絵コンテとしての選択肢は絞り込みやすくなっています。

 創作の楽しさの一つとしては、「ああでもない、こうでもないと迷い悩む」という要素もあるのですが、その楽しさを優先したがために創作の進行が遅れて、酷いときは制作が止まってしまう、という事を経験してきた私としては、まずは、より現実的に形にしやすい手法を追求したいのです。

 そんな訳で、今回は、背景撮影を先にして、後から絵コンテを作成する事にしました。

 絵コンテを作成する時に心掛けることは、撮影現場でシナリオと絵コンテを突き合せなくて良い状態にすることです。細かなト書きやセリフはシナリオで確認する事にして、絵コンテは絵を中心に作ってしまうと、撮影時、資料が煩雑になってやってられません。具体的には、撮影時は、絵コンテさえあれば良い、という状態にできるように、シナリオに書かれていることを全て転記しておくことです。

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・1日目 企画会議
・2日目 シナリオ作成
・3日目 背景撮影
・4日目 絵コンテ作成
・5日目 グリーンバック撮影
・6日目 編集1
・7日目 編集2・仕上げ

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