特撮用可動モデルの工作における素材について

ある種の特撮映画にとって、ミニチュア撮影というのは「小さな花形」です。

日本プラモデルは世界一のクオリティーですから、プラモデルを活用するのも効果的でしょう。

また、オリジナルのモデルやフィギアなど、手作りでハイクオリティーなものを作るモデラーも多くいます。

しかし、私は「固い素材」だけで精巧に作られた模型だけでなくて、「柔らかい素材」で精巧な模型を作りたいのです。

私は元々、1960年代、70年代のレイ・ハリーハウゼンという、特撮の神様の作るストップモーション映画を真似したくて映像作りを始めました。例えば「恐竜100万年」や

「シンドバッド7回目の航海」、

「タイタンの戦い」というような、ミニチュアの恐竜やモンスターが生き生きと動き回る映画です。

高校時代からその手の資料や本は読み込んでいて、材料や手法も参考にはしています。

例えば、恐竜のモデルを作るとします。

土台と骨組みを作って、粘土を盛り付けて形を作るのが一般的ですし、筋肉の質感や皮膚の感じなど、粘土を使えばうまく表現が可能です。しかし、問題は、「粘土で作ると動く模型にならない」ということです。これは、硬化するタイプの粘土でも、硬化しない油土のような粘土でも同じです。完成品の写真を撮るだけなら「硬い模型」でもいいのですが、映画は映像が動きます。生き物は柔らかく動く必要があるのです。

同じ恐竜でも、ストップモーション用の恐竜のモデルを作るとします。骨組みは、金属製の関節があるものを作るのが理想ですが、最悪は柔らかい針金を芯にしたものでも、まあいいでしょう。

一般的に、映画で使うような可動モデルは「フォームラバー」で作られています。これは、ケーキのスポンジと同じように、薬品を泡立て器で泡立てて、オーブンで焼く素材です。出来上がりは柔らかいスポンジのようになります。

ただ、最大の問題は、このフォームラバーはそれ自体を粘土のように造形出来ないことです。そのため、フォームラバーを流し込む石膏の型が必要になります。型を作るためには、その元となる原型を粘土で作る必要があります。

型というのは、同じものをいくつも作るには都合がいいのですが、映画の模型ように1個しか必要でない場合、非常に手間が掛かって、割りに合わないことになります。

そのため、前作の探検シリーズ「巨人伝説編」では、ワニのミニチュアモデルを作る際に、あえてゴム系の素材を一切使わない手法を試しました。ワニの手足は、関節部分だけストッキングの素材で作り、ここはまあ、上手く行きましたが、胴体部分は硬い感じになってしまいました。

実は20年来、「粘土細工の工作性」と「フォームラバーの柔軟性」を兼ね備えた素材を探しているのです。

最近は、素材として「充填用のコーキング材」に目を付けています。同じような造形をやっている方は、当然、一度は検討したり試したりしている素材のはずです。フォームラバーの1/10以下の値段ですから、何とかこの素材を利用したいと考えるのは自然です。私も何度も試して、これで30センチくらいのブロントサウルス(現アパトサウルス)を作ったこともあります。

この素材の欠点は、硬化が遅い上、接着力がありすぎて、粘土のような造形が出来ないことです。それと、わずかな弾力性はありますが、素材に伸縮するほどの柔軟性がないことです。

今回の「7日間でB級モンスター映画を作る」という企画では、撮影自体を極めて邪道な手法で進めますが、ついでに、ミニチュア模型の工作についても、邪道な、新しい手法を確立できれば、企画の価値が倍増すると思っています。

そこで、今回は試しに、ワニガメの手足や首などを実験台にして、この充填材をベースにしたインチキ新素材を作る実験をしてみよう、というわけです。課題は2つ。

  • 充填材の接着力を弱くして、粘土のような造形を可能にする
  • スポンジ状に硬化させることで柔軟性を高める

どういう手段が上手く行くか分かりませんが、いくつかあるアイデアを1つずつ試して、実験してみようと思っています。上手く行った場合は、後日、手法をレポートします。

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