映画が持つ「嘘から真を生み出す力」

ピント外れな映画批判

「映画を見て感動した」という人に対して、「それは単なるフィクションでしょ?現実とフィクションを混同しちゃダメ」と、分かったようなことを言う人がいます。

これは、「事実」と「真理」を逆に混同してしまっていると思います。

 

例えば、映画などを見た時に、現実の法律にそぐわない設定だと、「内容が全く頭に入らない人」が増えているそうです。

 

しかし、映画の素晴らしいところは、フィクションで物語を語りながら、その中に人生において有益な「真理」が感じられるところです。

荒唐無稽な主人公が活躍する「男はつらいよ」などは、フィクションの極地ですが、真理を読み取れる人にとっては、珠玉のシーンが満載の名作です。

嘘から出た真

もっと具体的に、フィクションが力を持って、現実に影響を与えてしまう例もあります。「単なるフィクション」と侮れない映画の力がここにあります。

「メジャーリーグ」(1989)


MLBに実在する弱小球団、インディアンスが愉快な選手たちの大活躍によって優勝する、という能天気コメディー映画。映画は大ヒットしてシリーズ化され、インディアンスは1995年に実際に優勝を果たした。

「ミスター・ルーキー」(2002)


長嶋一茂主演で、弱小阪神タイガースが優勝する映画。

元々の脚本では「最後は負けて終わり」だったが、映画ではラストを変更して、伝説の4番バッターがサヨナラホームランを打って優勝する。チームのテーマ曲である「六甲おろし」がエンディングで流れる、という、清々しいまでの能天気映画だった。

ところが驚くべきことに、実際の阪神タイガースも映画の直後から成績が上昇し、2003年には、18年ぶりリーグ優勝を果たした。

「ノーサイド・ゲーム」(2019)


こちらは大泉洋主演のTVシリーズだが、一般の人気が高いとは言えない「ラグビー」を題材にしているにも関わらず、実際のラグビー経験のある俳優を集めて、リアルな試合シーンを描写するなどで大好評。

放送直後に日本で行われる、ラグビーワールドカップに合わせて数年がかりで企画したドラマという狙い通り、ワールドカップは注目を集め、日本代表チームは、ドラマさながらの活躍を見せている。

 

並べたのは全てスポーツ映画ですが、少なくとも、虚構としての映画がファンを生み、その関心や応援が現実世界に好影響を与えうるものだ、という例だと思います。

これが、「創作が持つ力」の一つです。

特に映像コンテンツは、様々な分野で有効なメディアであることは間違いありません。

 

「たかがフィクションでしょ?」

この認識は甘いと思ったほうがいいし、創作者は、自分の作品が現実に好影響を及ぼす可能性に、もっと期待しても良いはずだと思いますが、いかがでしょうか?

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