モンスターの動きは複合技で表現
怪物が出てくる映画の魅力は「クリーチャー」
例えば、
- リドリースコット監督の「エイリアン」
- 「遊星からの物体X」
- 「ジュラシックパーク」に出てくる恐竜
「こういう、クリーチャーを作って映画の中で活躍させたい」というのは、私のような模型好きな映画マニアの夢です。
私も、今まで、「自分で作った恐竜を映画に出そう」と、色々試行錯誤してきました。
「やりがちな失敗」と「効果的な改善策」について、ちょっとお話ししたいと思います。
今回は例として、「恐竜」を考えてみましょう。
恐竜が出てくる映画の最高峰は「ジュラシックパーク」と思っていいでしょう。
ジュラシックパーク1作目は、半分は実物大の模型、半分がコンピューターグラフィックス(CG)という作りだったんですが、それ以降の恐竜は、ほとんどCGで作ったアニメーションです。
ですから、「実物」がないんですね。
実写と言っても、恐竜部分はアニメーションなんです。
コンピューター上で自由に動きをつけられるため、素晴らしい映像ができているわけですが、私たちが高度なCGを使わずに、恐竜の模型を使って迫力のあるリアルな映像を作る場合には、ちょっと違う考え方をしなければいけません。
クリーチャー制作の失敗例
やってしまう失敗は
「それ一つで全ての場面を撮影できるような模型」
を作ろうと思ってしまうことです。
例えば
- 自由に首が動く
- 口が開く
- 目が動く
- 胴体をくねらせることができる
- 尻尾を大きく振ることができる
- 足が動く
- 足を上げた時に、ちゃんと指が曲がる
というように、必要な動きを全て実現できる模型です。
私も、それに挑戦しようと思って、アイデア帳に図面を書いたりしていますが、結局のところ、そういう模型を作るのは難しいんです。
70年代、「実物大の恐竜のロボットを使って映画を作ろう」という流れがありました。
しかし、恐らく撮影現場では出演者は迫力を感じられて楽しかったと思いますが、実際にはかなり良く出来た恐竜が画面に出てきたとしても、やはり生き物には見えないんですね。
歩く動きがぎこちなかったり、口の開き方が機械的でギクシャクしてるとか、どうしてもリアリティーは落ちてしまうんです。
口の動きに関しては、人が手を入れて動かす原始的な「マペット」が、一番リアルに表現できます。
一作目のゴジラでも、顔のアップで口が開くというような映像には、マペットが使われています。
全身が映るところは、人が入る「着ぐるみ」と呼ばれる大きな模型を使うというように、使い分けをしてるんです。
クリーチャー造形で、何もかも完璧な動きにしようとすると、構造が非常に複雑になります。
それらを統合して、実際に撮影に使えるような耐久性を持たせる工作は、ほぼ不可能なんですね。
ライブイベントと違って、せっかく「映画」なんですから、特性を活かすべきです。
特性とは、「映像をポンポンと自由に切り替えることができる」ということです。
この特性を活かして、別々の模型を作って、それを編集することで、あたかも「自由に動くひとつの恐竜」がそこにいるような状況を表現することが正解だと思います。
映画的なクリーチャー制作
具体的に言うと、やはり頭の部分はリアルな造形のマペットを用意すべきです。
全身が映っている場面のためには、30センチぐらいの「全身模型」を作る。
これは、色々な所が動くようにする必要はありません。
全身模型では、歩いている場面を表現することが多いはずなので、足が交互に出てそれなりにリアルに関節が動くと言うだけの模型にしたらどうでしょう。
体全体のうねりを表現するためには、胴体の動き専用の別の模型を作る。
足のアップが映った時に、指が全く動いていなくて、ドタドタと歩いていると、いかにも玩具っぽいので避けたい、という場合は、ダチョウが歩いている時のように、「足を上げたら指が曲がる」、「足を下ろしす時は指を伸ばしながら接地する」というような動きが表現できる、「足だけの模型」を作ります。
その映像を編集で組み合わせることによって、いろいろな動きを完全に表現できることになります。
「完全な動きを、複数の模型で表現する」
これが、正解だろうと思います。
私は、元々、恐竜が大好きです。
自分の作品の中に、リアルな恐竜を出そうと思っています。
いくつか原案を用意している最中ですので、映像化する際は、今回紹介したような、「いくつかの模型を組み合わせてリアルな動きを表現する」という手法をとるつもりです。
ご自分でも映画を作ってみたい、という方は、是非、無料相談にご連絡ください。
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