素人役者で上手く撮る方法
まずは素人俳優で練習しよう
趣味で映画を撮る場合、「出演者の調達」という問題があります。
「演技に慣れた、演劇関係者に出てもらう」という選択肢もありますが、私は、まずは自分を含めた素人同士が、役者になる事をオススメします。
理由はいくつもありますが、簡単に言うと、映像制作初心者は技術的に未熟なので、演技以前の問題が多すぎるからです。
ですから、演技経験者にいい演技を求める前に、「映画を作る練習」という意味も込めて、まずは、素人役者だけで映画を作ることをオススメします。
素人役者で演技をしようとすると、問題になるのは演技力の無さです。
よく、「もっと気持ちを込めて」というようなアドバイスを見かけますが、はっきり言って、これは素人役者には全く通用しません。
実際に感情を込めたとしても、それを表現する「技術」がないので、登場人物が、その感情を持っているようには見えないんです。
今回は、特に、素人役者で上手く撮るコツについて、いくつかの注意点を解説します。
逆説的ですが、「素人は演技をしない」というのが、有効な解決策です。
ですから、極力、「演技をしなくても成り立つような撮り方」をする必要があります。
よーい、スタート!を言わない
賛否両論ありますが、私は、特に素人役者を起用する場合は、「よーい、スタート」という声をあまりかけません。
撮影せずに、練習で繰り返し芝居の確認をしている時はそれらしくできているのに、「スタート!」と言った途端に、練習と違う「気合」が入ってしまって、不自然になることが多いからです。
フィルムやテープに記録する時代と違って、今は、撮影可能な時間が飛躍的に長くなっています。
フィルムやテープを節約しなくていいんです。
私は、カメラのセッティングを全て終わらせて、軽く練習した後、録画したまま、「全部本番です」あるいは、逆に「全部練習のつもりで最後まで演じてください」という形で演技をしてもらいます。
スタートの掛け声の代わりに、その直前の動きやセリフから、一連の芝居をスタートさせて、「もう少しテンポを上げてみようか」などと感想を言って、演技を繰り返してもらいます。
その間も、大抵、カメラを止めません。
そうすると、「よーい、スタート!」と言われる緊張感がないので、無駄な気合を入れることなく、だんだんと余計な芝居っ気が抜けてきます。
素人の気合が入った演技はけっして自然には見えませんが、半ば無造作に芝居っ気なく演じた姿は、時に、演技力のある役者のように見えるので、これを利用します。
間を取らせない・急がせない
本職の役者でも「はい、これからこういう芝居をしますよ」と言う、間を取った芝居をしてしまう人がいます。
「自分の見せ場」という意識が強く出てしまう事が原因です。
少なくとも、素人の役者は間をとって芝居をしても、見栄えのする場面にはなりません。
指示をする中で、余計な間は無くすようにします。
逆に、素人の役者は、慌ててセリフを言ってしまう場合もあります。
基本的に役になりきれませんから、気恥ずかしさが残ったまま、撮影をすることも多いでしょう。
これは、仕方ありません。
どうしても、「覚えたセリフを、忘れないうちに全部口に出してしまいたい」というような心理が働く場合もあるでしょう。
- 無駄な間は取らない
- 不自然に慌てない
人によって、どちらを意識すべきかは違いますが、これに注意して、後は撮る側が工夫をすることで、「うまく演じているような瞬間」を作り出しましょう。
~しながらセリフを言わせない
それから、素人役者ですから、あまり「あれもこれも」と演技の要素を詰め込まないようにします。
セリフを言いながら、これを手にとって、こういう動作をしながらセリフを終わらせて立ち上がる、というように、「セリフ」と「動作」を同時に組み合わせないことです。
動作とセリフの組み合わせは、なかなか難しいんです。
極力、動作とセリフは順番に行えるを芝居として設定しましょう。
そして、それを繰り返し演じてもらって、必要な映像を撮りためていくと、素人ならではのぎこちなさを極力抑えた、自然な芝居(に見える映像)が撮影できます。
これが素人役者を起用しつつ、本職の役者を使った映画と対抗できる唯一の方法ではないかと思います。
参考になると幸いです。
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