絵コンテ無しでドラマを撮る方法
オンライン学習サイト「Udemy」で公開するための新しい講座を作成しています。
その講座は、一種特殊な「グリーンバック映画」に特化した内容なので、きっちりと絵コンテを作成してから、登場人物の撮影をする必要があります。
しかし、今回は、「絵コンテ無しでドラマを効果的に撮影する方法」を解説します。
絵コンテというのは、あらかじめ「こういう構図で映像を撮影する」という内容を、絵の形でまとめた資料です。
ちょうど、4コママンガのような状態の絵で、作品全体の映像を順番に並べた設計図です。
そもそも、絵コンテは何のために作るのか、というと、撮影を中心とした、制作全体の効率化のためです。
絵コンテを作っておくと
- 撮影計画が立てやすい
- 撮影時に必要なものを見逃しにくい
- 撮影漏れが少なくなる
- 効率を優先した、順不同の撮影が比較的やりやすい
- 撮影する映像のイメージを共有しやすい
- 映像にナンバリングして管理しやすい
- 編集作業がやりやすい
というような、たくさんの利点があります。
しかし、最大のデメリットは、
「絵コンテ作成自体の労力が大きい」
ということです。
特に、お芝居系の映画を作りたいという場合、映像の設計そのものが面倒でしょうし、どこでどういう映像に切り替えるのか、ということを、あらかじめ決定できないということもあるでしょう。
絵コンテに画力は不要ですが、そうは言っても、絵が苦手という人もいます。
結論から言うと、絵コンテを作らなくても、失敗なく撮影をすることは出来ます。
もちろん、絵コンテを作ることによる利点は手に入りませんが、例えば、劇団の主宰者が、劇団のメンバーを使ってオリジナル映画を作りたいという場合は、舞台の演劇を作る感覚の延長で、撮影が出来ます。
その具体的なやり方を解説します。
一つのシーンを想定してください。
シナリオに沿って、特定の場所で、登場人物が動いて演技をすることになります。
まずは、舞台のお芝居と同様、人物の動きやセリフについて、いわゆる「芝居を付ける」という作業をします。
映像が舞台のお芝居と違うのは、必ずしも「観客席」から見て理解が出来るようにデフォルメしなくてもいい点です。
あくまでも、その「場」が自然に成り立つような芝居を考えます。
芝居が決まったら、出演者は、その一連の動きを、ほぼ同じ様に繰り返せるようにします。
通常、映画の撮影は、1カット毎に細切れで撮影していきますが、あえて一連の動きを、一続きに撮影することをオススメします。
具体的にいうと、まず、その一連の動き全体が見られるカメラの位置を探します。
人物が小さくなってもいいので、その舞台の状況がよく分かる映像を撮るためです。
通常は、出演者たちから離れた位置にカメラを移動させます。
どこから撮影するかは、無数の選択肢がありますが、基本は、
- 出演者の顔が見える位置
- 出演者の動作が判別できる位置
にします。
そのカメラ位置をベースにして、まず1回目、一連の動作を最初から最後まで撮影します。
次に、ややアップ気味の映像を撮影するために、登場人物にカメラを近付けます。
例えば、人物の上半身までが入るようなカメラ位置を探します。
アップの映像の目的は、人物の表情を見せることです。
基本は顔が見える位置でカメラを構えます。
そして、また、初めと同じ、一連の動きを演じさせます。
今度は、主人公の顔が常に画面の中心付近に入るような状態で、カメラを動かしながら撮影します。
人物の動きが大きくて、ところどころ映像からはみ出ることもあるでしょうが、最初は気にせず撮ってみましょう。
この時に注意しなければいけないのは、出演者が最初の演技と動きを変えないことです。
あくまで、出演者は同じ動きを心掛け、カメラ位置を変えることで適切な角度で顔が見えるようにします。
表情を見せるべき出演者が3人いるとしたら、これを3人分繰り返します。
他に、観客に見せたいもの、例えばテーブルの上に置いたものなどがあれば、それも、登場人物の顔と同じ様に、一連の動きの中で別の撮影します。
こうして撮影した、角度違いの映像を編集してシーンにします。
基本的な編集パターンの一例としては
- 全体が見えるベースの映像
- 主人公のセリフ(アップ)
- 人物Bの表情(アップ)
- 主人公がポケットから紙を出してテーブルに置く(アップ)
- テーブルに置かれる紙(アップ)
- 人物Cの表情(アップ)
- 全体ベース映像
というような具合に、映像を切り替えていきます。
切り替えのポイントは、舞台映像の編集にも共通しますが、
「観客が見たいと思ったものに切り替える」
のが基本です。
それに加えて、セリフを聞いている人物が、一瞬、いい表情をしたとか、ストーリーの展開上、観客にこれを見せておかなければいけない、というものが、自然に、効果的に見えるように編集していきます。
この撮影法の利点は、
- 映像の繋がりが良くなる
- 致命的な撮影漏れを防げる
- 映像知識がなくても、編集でサマになる映像が作れる
という点です。
映画の撮影には様々な方法があります。
その中で、もっとも大失敗をしにくい方法を紹介しました。
短時間でショートムービーを作りたい場合には、効果的な方法だと思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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