映像創作に多人数を巻き込むべき3つの理由

「創作活動」というものは、基本的には一人で行うものがほとんどです。

絵画にしろ、小説、手芸、工芸、作曲にしろ、他人と共同作業が出来る部分はほとんどありません。

 

そんな中で、「映画づくり」は、例外的に、共同作業が前提の創作と言えます。

 

ただ、勘違いしてはいけないことは、映画作りの方法について、プロのやり方の模倣が望ましいわけではない、ということです。

 

つい最近になるまでは、アマチュアの映画作りは、完全にプロのやり方の模倣しか選択肢が無いと思われていました。

そのため、映画作りの入門書にあるように、「撮影現場には10人以上のスタッフを集める必要がある」というような、非現実的な条件が前提とされ、「個人で映画作りをするのはムリ」という印象を持たれています。

 

実際には、あの大作「ターミネーター」でさえ、シーンによっては

  • 主演のシュワルツネッガー
  • 監督のキャメロン
  • カメラマン
  • 照明マン

のたった4人だけで、ゲリラ撮影の現場に1台の車で乗りつけ、手早く撮影して撤収したという話です。

規模からすれば、「水曜どうでしょう」と全く同じです。

 

私は、できるだけ小規模で映画を完成させる方法を模索してきました。

現場の関係者が少なければ少ないほど、スケジュール調整が簡単で、製作期間が短縮できるからです。

実際、あえて「登場人物2人、スタッフ無し」という体制にこだわって1本作ってもみました。

最近ではシンプルに、「出演者+監督兼カメラマン」が自分の中では標準体制となっています。

 

これは、「作品を完成させるまで」を考えるとメリットが多いんです。

関係者が少ないことで、

 

  • スケジュール調整がしやすい→短期間で完成する
  • 交通費や食事代が少なくて済む→低予算

 

というメリットが生まれます。

 

「時間とお金を掛けて、もっと良いものをじっくり作った方が良いんじゃない?」

という意見もありますが、私は「量」を優先します。

1年がかりで1本作るより、1年で3本作った方が、明らかに技術向上に繋がり、結果的に良いものが作れるようにもなるからです。

 

 

と、ここまではいつも通りの話なんですが、今回は、「作品の完成後」まで視野を広げてみます。

すると、ちょっと話が変わってくるんです。

 

映画は、たとえそれが商業作品でないとしても、できるだけ多くの人に見られることが望ましいはずです。

個人の日記と違って、映画作りは人に見せることが前提の創作だからです。

 

通常は映画が完成すると、何らかの形で公開します。

完全無料で公開するのも自由ですし、何らかの形で課金することで、制作費を回収する方法もあるでしょう。

以前は会場を借りて上映会を開催するしかありませんでしたが、今ではもっと手軽に、インターネット上での公開が一般的です。

 

「インターネットを利用すれば、世界中の人に見てもらえる」

とよく言います。

しかし、実際はそんなに甘いものではありません。

 

猫も杓子もユーチューバーの時代です。

動画コンテンツが、毎日、無尽蔵に生み出される時代です。

あなたの作品を、見ず知らずの人が、わざわざ見る確率は、限りなくゼロに近いんです。

 

人は、基本的に自分にしか関心がありません。

他人には興味がない、という前提で物事を考える必要があります。

 

あなたが作った作品は、ほとんどの人にとって「他人事」です。

よほど注意を引く要素がない限り、自分の時間を削ってまで「見る動機」がないんです。

 

しかし、「他人事」でないとしたらどうでしょう?

 

あなたの作品を「当事者」として感じさせることができれば、見る動機が生まれます。

そのもっともシンプルな方法が、「映画製作の関係者にしてしまう」という事です。

 

具体的には、こんな形の関係者です。

  • 出演者(お互いに負担を掛けないため、出番は少なくて良い)
  • 撮影場所の提供者(自宅、車、仕事場など)
  • 衣装や小道具の提供者

 

ポイントは、出来るだけ負担は小さく、ただし、視覚的にその人の協力内容が見えるようにすることです。

エキストラや、小さな役は最適と言えます。

 

繰り返しますが、人は基本的に自分にしか興味がありません。

旅行中の集合写真を見ても、真っ先に自分の顔を確認してませんか?

 

その性質を利用するのが「当事者を増やす」作戦と言えます。

作品の中に僅かな時間でも、自分が登場していれば、その作品は特別なものになります。

自分が当事者として関わった作品だからです。

 

作品を見ながら、

  • ここ、俺の職場で撮影してるんだよ
  • この服は私が貸したんだよ

と、第三者に言える形にすることで、関係者が「宣伝要員」になってくれる可能性が高くなります。

 

逆に言えば、多くの人に作品を見てもらうために、「率先して宣伝要員になってくれる人」を出演者等の関係者・当事者にすべきということです。

 

あなたに行きつけの飲み屋があるとします。

マスターや人気者のバーテンを作品に出演させたらどうなりますか?

その店の常連客は、あなたと面識が無くても、無条件で見たがると思いませんか?

 

そういう人たちに、さらに声を掛けて、次回作への協力を募ることを繰り返せば、その飲み屋では、自分たちが出演している作品の上映会が恒例行事になるかもしれません。

制作資金集めのためにDVDを販売しても、喜んで協力してくれる人も多いはずです。

 

個人で映画を作って、なかなか人に見てもらえない状況より、映画作品にとっても遥かに幸せな状況だと思いませんか?

 

映画の完成までは、個人や少人数でも実現できますが、他人数が関われる事によって

 

  1. エキストラや撮影場所等を確保できる
  2. 完成作品の宣伝要員を確保できる
  3. 制作費回収にも協力してもらえる

 

というメリットがあるという話でした。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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