撮影場所は探さずに「作る」
理想的な撮影場所は見つからない
映画を撮影する時に写す対象として、「出演者」と「場所」があります。
用意されたシナリオのイメージに、できるだけぴったりな撮影場所を探して、あちこちを探し回ることになります。
しかし、撮影場所として使う場所を具体的に想定してシナリオを書かない限り、イメージ通りで、撮影の条件に合う場所は、まず見つかりません。
予算を多く使うことが出来る商業映画では、イメージを優先してセットを作ります。
しかし、低予算映画では、多少イメージが違っていても、撮影できるところで撮影するのが一般的です。
グリーンバック映画なら当然「工作」
私が提唱しているスーパープリヴィズ方式を活用した「グリーンバック映画」では、最優先するのは「イメージ」です。
グリーンバック映画は、人物と背景を合成して映像を作るので、どうしても「合成映像」特有の不自然さが出てしまう可能性は残ります。人によっては、その不自然さが我慢できない、ということもあるでしょう。
それでも、「映像的なイメージを優先したい」という場合に有効なのがこの手法です。
室内シーンの場合、シナリオ作成時に考えた「イメージ」を元に、ミニチュアセットを制作する、という選択肢が第一に上がります。
まずは、イメージをスケッチし、図面を作成します。
壁の材料は、MDFという素材。木材などの繊維を固めた板材で、色々な工作に使えます。
MDFはダンボールのような色をしています。今回は、壁には壁紙を貼ります。
ドアは締め切った状態にするので、シンプルに工作します。
天井のエアコン吹出口もシンプルに工作。吹き出し穴や壁の時計はプリンターで書き出し。
カーテンは紙。
壁の下部は木の板のイメージにするため、ダイソー製のリメイクシートを貼って手抜き。
完成したセット。床はフェルトを貼っています。赤いフェルトの床を用意して組合せを変えれば、別の部屋のイメージにもなります。
100均ショップで見つけた、プラスチック製の葉っぱの飾りを使って観葉植物を工作。
これは、室内セットとは縮尺が違うので、別撮りして合成して使います。
通常は、グリーンバックで撮影して合成しますが、葉っぱが緑色のためグリーンバックは使えません。
葉っぱも透明になってしまうからです。
そこで、今回はオレンジ色の画用紙を背景に撮影。映像合成時、「オレンジ部分を透明にする」という設定にします。
グリーンバック映画では、この様にしてイメージ通りのセットを作ります。
なかなか、撮影できるレンタル会議室で、こういう部屋は見つかりません。
ちなみに材料費は合計で1000円くらいです。
使用事例
こうして完成させた室内セット。製作中の「チーム・ウェンズデイ探検シリーズ/ツングースの楽園」の1シーンに使用しています。
グリーンバック映画では、登場人物は人形で撮影し、合成映像を作っていきます。
その後、撮影した人物から、人形と映像を入れ替えていきます。
事例では、3人のうち、2人分は未撮影のため、人形映像になっています。その他、プロジェクターから壁に映される映像がまだ、合成されていなかったりと、未完成の映像ですが、イメージの参考としてご覧ください。
今回の事例では、室内撮影用のミニチュアセット製作を紹介しました。
グリーンバック映画では、この他に数十センチの大きさの岩を撮影して、崖のシーンを作ったりと、実際には存在しない景色を「映像合成」で作りながらシーンを形にしていく楽しさがあります。
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