楽しみは後に取っておかない

物語創作が完成しない問題の対策

様々な創作活動があります。

創作活動を生業としている人もいますが、ここでは、趣味として創作活動を楽しむ人を想定します。

 

乱暴ですが、創作を

・論理性が不要なもの

・論理性が必要なもの

で分けてみます。

 

絵画や陶芸などは、論理性が無くても、イメージのみで作業を進めて、完成まで持っていくことが出来ます。

ですから、比較的、作品を完成させやすい。

極端に言ってしまえば、どう進めていいかわからなくなったり、やる気が無くなった時点で「完成」と宣言することも可能なわけです。

 

それに対して、映画や小説、マンガなどは、具体的なストーリーを伴っていることもあって、論理性が必要になります。

ストーリーや個々の場面などでも、辻褄を合わせないと、様にならないんです。

その分、創作自体が複雑で面倒です。

もちろん、そこから得られる満足感が大きいので、私達は映画という創作を続けているわけです。

 

作業が複雑で面倒だと、「作品が完成しない」という問題が頻発します。

 

どうして作品が未完成に終わるか、簡単に言うと、自分の実力以上の高望みをするからです。

「実力」には「時間を作る」ということも含まれます。

「時間がなくて出来ない」という場合は、「時間がなくても出来る範囲のこと」が「自分の実力」と認識しなければいけません。

 

これは、まさに私が自分自身に対して常々、思っていることです。

どうしても、高望みしてしまうんです。

 

趣味の創作ですから、高望みをして、いつも未完成でも構わないといえば構わないんですが、厄介なのは、完成させないと実力は上がらないということです。

どんなに拙い出来だと思っても、完成させると、実力は確実に上がります。

完成させて初めて身に付くノウハウもたくさんあります。

更に言うと、創作物を完成させると、自分の行動力に自信を持てるようになり、未完成グセが続くと、自己肯定感が著しく下がります。

 

ですから、「高望み」「眼高手低」は、創作の敵であるだけでなく、生活習慣の敵だと思って、避けるべきなんです。

 

ちなみに「眼高手低」は、以下のように解説されています。

—————-

○三省堂 新明解四字熟語辞典
がんこう-しゅてい【眼高手低】
目は肥えているが、実際の技能や能力は低いこと。知識はあり、あれこれ批評するが、実際にはそれをこなす能力がないこと。また、理想は高いものの実力が伴わないこと。

○学研 四字熟語辞典
がんこうしゅてい【眼高手低】
文章や絵画などについて見る目は肥えているが、自分で創作したものは下手であること。転じて、理想は高いが、実力が伴わないこと。

○眼高手低の解説 – 小学館 大辞泉
がんこう‐しゅてい〔ガンカウ‐〕【眼高手低】
理想は高いが実行力が伴わないこと。特に、批評する力はあるが創作力がないこと。


常々、SNSなどで誰もが情報発信を自由にできる時代ですが、「批判力」だけが肥大して発達してしまいがちなことには、注意したいところです。

最も魅力的にしたい場面を先に撮る

作品を完成させるには、高望みを避け、眼高手低になりがちなことに注意しながら、実力相応の完成形を目指すことです。

書いている私自身、耳が痛い内容です。

 

私の普段の失敗から得た教訓は、その作品の完成形を妄想した時に「この場面を作りたいな」と思った、「楽しみな部分」を、先に形にすべき、ということです。

人によって違うのかもしれませんが、私はどうしても、楽しみを後に取っておきたいという感覚が抜けません。

結論を先に言う、という上手い話し方は出来ないタチです。

 

映画の場合、まず確実に「この場面はかっこよく見せたい」というような妄想を抱いているはずです。

それが、実は、企画を立ち上げる動機になっています。

 

例えば、クライマックスが、「古代遺跡で怪物を退治する」という場面だとします。

精巧なミニチュアセットを作って、映像合成を組み合わせてその場面を作る計画を立てます。

最も手間のかかる場面ですが、最も楽しみな場面でもあります。

 

私は、ここを後回しにする、という失敗をしてしまいがちです。

 

後回しをする理由はあります。

クライマックスの撮影のためには、準備に時間がかかります。

そのため、「その準備を進めつつ、先に他の場面の撮影を進めたほうが効率が良いだろう」、という考えです。

また、ある程度、撮影に慣れてからクライマックスのシーンを撮影したほうが、技術的なクオリティが高くなるのではない、という期待もあります。

 

ところが、このやり方には問題があります。

創作のモチベーションの波と、噛み合わないんです。

 

創作のモチベーションは、企画が具体的になって、撮影を始めた頃にピークになります。

これは、発起人も協力者も同じです。

作品が完成した状態を夢想して、最も楽しい時期です。

 

その後、時間が経つにつれて、モチベーションは明らかに落ちてきます。

無責任に投げ出す、ということは少ないかもしれませんが、製作ペースが落ちてきて、肝心のクライマックスシーンを製作する時期になると、最大のエネルギーを注ぐべき場面であるにも関わらず、その十分な余力は残っていません。

かろうじて、完成させるために次善策を講じて、なんとか体裁を整えるのが精一杯ということになってしまうんです。

多くの場合、遺跡のミニチュアも怪物の映像も、当初、想定していたよりも簡略化した形で再現することになります。

 

解決策は、最大のエネルギーを注ぐべき「クライマックスシーン」を、撮影の最初の方で済ませてしまうことです。

技術的な課題などもあって、少し、時間の猶予が欲しいと思うかもしれませんが、

・エネルギーを注いだシーンと、

・惰性で辻褄を合わせただけのシーンは、

明らかに魅力に差が出ます。

せっかく作品を作るのであれば、存分にエネルギーを注いだシーンの魅力を、形として残しましょう。

 

クライマックスシーンを早い段階で形にすると、その後のモチベーション維持にも大いに役立ちます。

協力者たちにその映像を見せることで、テンションは上がりますし、その映像を使った「予告編」を作ることで、さらなる協力者を集めやすくもなるでしょう。

 

その後、モチベーションが落ちてきて、作品完成のための惰性状態に入ってきたとしても、「楽しみ」と感じているシーンを先に撮影していれば、残るのは「つなぎのシーン」が大半になります。

つなぎのシーンは、さほどエネルギーを注がず、「つじつま合わせ」で対処しても、シーンの魅力自体が大して変わらないはずです。

 

今回は、モチベーションの変化を考慮した、撮影の順番についての提案でした。

参考になれば幸いです。

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