素人を役者に見せる裏技的方法・「それは演技とは言えない」という批判は無用

道具や素材が良くてもダメ

高望みばかりしていつまでも映画を作れない人がいます。

特徴的なのは、「良い機材を使って、上手い役者を集めて、つまりお金を掛ければ、レベルの高い作品が作れる」と勘違いしていることです。

 

高価なスポーツ用品を揃えたら、未経験者でも、いきなりプロレベルのプレーが出来ると勘違いしているようなものです。

プロデューサー、監督であるあなたの技術力を上げない限り、レベルの高い作品は作れるはずがないんです。

 

監督未経験のあなたは、プロの役者を呼んだとしても、その魅力を引き出すことなど出来ません。

役者側も、あなたから学ぶことが無いので、楽しい体験ではないでしょう。

道具や役者だけ良いものを揃えてしまうと、かえって技術力の無さを強調する、残念な作品になることを覚えておいてください。

 

まずは、練習を兼ねて、自分や友人が出演する作品を作って、プロデュース・監督の経験を積むのが先だと思います。

素人役者を使う楽しみ

実は、自分や友人など、素人役者を使って映画を作るメリットはたくさんあります。

 

せっかく作る作品のレベルを、少しでも高くしたいと思うのは当然です。

ただ、見落としがちなのは、「演技ができる人を紹介してもらって、仮にレベルの高い作品を作っても、愛着はわかない」という事実です。

 

職業監督としてなら、愛着の有無は問題ではありませんが、趣味のDIY映画は、自身のタイムカプセル的意味合いが強く出ます。

役者も、募集した知らない人を使うより、演技が拙くても、自分や友人が出演している作品のほうが、タイムカプセル的な価値は遥かに大きくなります。

 

また、基本的に上手い演技など出来ない仲間同士で、工夫をして「それらしく見える形」を探しながら撮影する事は、それ自身に「趣味のDIY映画」ならではの楽しさがあるんです。

 

本業の役者であれば、その役柄の人物に見えることは当たり前です。

しかし、素人役者は「何となくそれらしく見える」だけでも、非日常的で、楽しくなります。

演技を上手く見せる裏技

素人ならではの、学芸会風の演技も楽しいものではありますが、ここでは、素人なりに「演技がそれなりにリアルに見えるような工夫」を紹介します。

場合によっては、知り合いの役者が出演してくれたりすることもあります。

あまりにも演技力に差がある状態が目立つと、場面が成り立たなくなることもあります。

素人役者も画面内では役者と対等に、バランスよく存在させる必要があります。

そのために、監督ができる事があります。

 

まず、物理的な話として、映像のカットを細かく割る事が有効です。

 

私も最たるものですが、素人役者は長いセリフが覚えられません。

覚えても、どうしても「魅力のある間」を作りながらセリフを言ったり出来ません。

そこで、不自然にならない程度に映像のカットを細かく切り替えて、一つ一つのセリフを短くしてやることが有効です。

 

演技については、感情表現に頼らないでください。

表現する訓練をしていないのですから、感情を作ったとしても、それらしくは見えません。

 

あくまでも、「その感情に見えるために、どういう動作をさせるか」で演技の指示を出します。

「そんなのは演技じゃない」と思うかもしれませんが、私達が目指すのは「演技論の研究家」や「評論家」からの評価ではありません。

 

それに、往年の大女優なども、デビュー当時は全くの素人という事が普通でした。

わけも分からず監督の指示に従って目線を動かし、動作をすることによって、そのキャラクターや場面ごとの感情を擬似的に表現していた事実を忘れてはいけません。

 

カメラの前で「自然に振る舞うこと」は簡単ではありません。

素人なりに、頑張って、それなりの演技をしようとしてしまいます。

これは、大抵、逆効果です。

 

逆効果な演技の代表は、「声を張ってしまうこと」です。

これは、演技ができる舞台役者の人などにもみられることだったりします。

劇中劇というか、わざと「芝居がかったセリフ」を表現するのでない限り、声は張らないほうが自然です。

 

もはや、演技レベルの話ではありませんが、小声のほうが「演技の拙さ」が目立たないのは事実です。

私達は趣味の映画で「それらしい場面」を作って喜べればいいので、演技の本質を追求する必要は無いんです。

 

声を張らせないためには、セリフの前に一旦、息を吐いてしまうことが有効です。

セリフの前に息を吸うと、「さあこれからセリフを言いますよ」という声の出し方になります。

それが、いかにも「セリフ的」になって、不自然なんです。

 

息を吐いてからセリフを言い始めると、無駄に声を張りません。

途中で息を吸うことにもなりますから、それがちょうど、自然な喋り方に聞こえます。

あえて「しゃべりにくい」状況にすることで、セリフらしくないリアルな会話を作る方法です。

 

これは、演技力とは関係のない手法なので、演技が出来る役者にとっては不本意で「面白くない」やり方でしょう。

でも、繰り返しますが、私達のような素人役者は「サマになればOK」です。

 

「さあ、演技を見せますよ」という演技は、ロクなことにはなりません。

本当に演技が上手い人は、現場では少し物足りないくらい「演技をしていない」ように見えます。

素人役者は、演技そのものを諦めて、実際に演技をしないことで、擬似的にですが、本職の役者に近付きます。

 

どうしても、本番の時に演技が大げさで不自然になってしまう人もいます。

打ち合わせや練習では力が抜けて自然なのに、「じゃあ、その感じで。本番」と言った途端、明らかに気合が入ってしまって、不自然になるケースです。

 

やや、だまし討ちのような感覚もありますが、このような場合は、練習と本番を曖昧にすることが有効です。

完全に「使える状態」で撮影をしたまま、カメラを止めずに、練習・仮のやり取りをさせてしまいます。

監督の指示の間も撮りっぱなしです。

これを2、3回繰り返します。

最初の方に行なった練習で、自然な瞬間を撮影できたりします。

 

演技力がない、我々素人役者は、偶然、サマになった瞬間の映像を組み合わせることが大切です。

プロの役者を目指すわけではありません。

演技力に頼らず、インチキなやり方をしても、完成した作品の中で、実力以上の演技力で自然に演じているように見えることそのものが、趣味のDIY映画の楽しみの一つです。

是非、これを味わっていただきたいと思います。

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