ミニチュアセットの縮尺・出来るだけ小さく作った上でリアリティを出すのが醍醐味

大きいほど精巧にはできるけど

精巧に出来たミニチュアセットと言われて、ある年代以上だと「サンダーバード」を思い浮かべる方もいると思います。

これは、イギリス製のテレビ映画で、いわゆる人形劇です。

飛行機や車、宇宙船などはもちろん、室内セットなども全てミニチュアで作られていて、まるで本物のような細かさが話題となりました。

 

そもそも、イギリス映画には、「恐竜の島」などを見ても、特にメカのミニチュアの精巧さ、細かさへのこだわりがあるように思います。

そういう意味で、「工作系映画」を作っている私などには、とても興味深いものがあります。

 

しかし、ある時、撮影に使っている人形が思ったよりはるかに大きいことを知って、ちょっとがっかりしました。

サンダーバードのミニチュアは、1/3くらいの巨大なサイズだったんです。

 

もちろん、模型は大きければ大きいほど、実物と同じように作りやすい訳で、作りは精巧にできます。

細かな作りを表現しやすくするために、縮尺を大きくすることは当然有効ですが、1/3というのは大き過ぎて、「そんなに大きいのなら、精巧に出来ていて当たり前で、関心するほどではないな」と感じたんです。

 

小さいのに精巧であれば

「へえー!よく出来てるなあ!」

と感心できますが、1/2や1/3だと、本物のように見えて当然です。

サンダーバードは「リアルに見せる工夫」も不要なくらい、ミニチュアとしては大きいんです。

小さいことの楽しさ

例えば、松の木の盆栽が1メートルくらいあったらどうでしょうか?

恐らく面白味は半減すると思います。

 

小さな植木鉢の中にある木なのにも関わらず、古い大木のような風格があるところが、面白いのではないでしょうか?

少なくとも模型の面白さは、

  • こんなに小さいのによく出来ている
  • 視点を低くすると、まるで本物のように見える

というところにあります。

 

そして、ミニチュアを多用した特撮映画も、この「模型の面白さ」があると言えます。

 

つまり、「リアルに見せるために、出来るだけ大きなミニチュアを作る」というのではなく、「映像では実物大に見せつつ、ミニチュアは出来るだけ小さくする」という方が、企画としての面白さは倍増すると思うのです。

 

特に、純粋に作品の内容だけでは、客観的な価値が生まれにくい、無名作家の自主映画では、このプラスアルファがもたらす意味は大きいのではないでしょうか?

 

映画を「芸術」として評価すべき、映画原理主義の人からは怒られそうですが、私は、映画は「面白い見世物」でもいいと思っています。

映画を見た観客に、メイキング映画を見せて、

「え!この場面は、こんなにちっちゃいミニチュア模型のセットだったの!?」

と驚かせて、楽しませることは、立派なエンターテイメントだと思っています。

 

その上で私は、自分の作品においては、1/20程度の小さなミニチュアセットを作って、撮影に使おうと思っています。

小さな部屋であれば、A4くらいの面積に収まるミニチュアセットの大きさです。

 

ミニチュアセット自体が小さい分、コストも少なく、保管場所もとらないため、手軽により多くのセットを用意することが出来ます。

 

もちろん、1/3の巨大なサンダーバードのミニチュアセットより、細かな作り込みは出来なくなりますが、「リアルに見せるための工夫」のやり甲斐があるとも言えます。

工夫の内容については、実際に作るたびに紹介していきたいと思います。

ミニチュアセット作りも映画作りの一部

映画には

  • ストーリ創作
  • 演劇
  • 映像
  • 音声

という、それぞれ異なるジャンルの要素、違う要素の面白さがあります。

そのために、「総合芸術」という言い方もするのですが、その中に是非、「ミニチュア模型の面白さ」も入れて欲しいと思います。

 

ミニチュア模型は、演劇などでは使えません。

視覚的な錯覚を利用できる、映像作品ならではの要素なんです。

そして、これを駆使すると、実際には撮影できないイメージの実現に役立ちます。

 

そんなミニチュア模型は、自分で作る必要があります。

模型工作が趣味の人は、作り方から試行錯誤を楽しめますが、

「小道具としてミニチュアセットが必要なんだ」という方は、試行錯誤は望んでいないと思います。

 

そこで今回、工作の一例として、「ミニチュア遺跡の作り方」という、60分の動画教材を作ってみました。

これは、私が普段、撮影用のミニチュアを作っている記録映像に、解説映像とナレーションを加えたものです。

 

「実際に工作はしないが、物を作っている様子は見ていて楽しい」という声も聞きます。

「料理は作らないけど、料理番組をよく見る」という人も、意外と多いそうですが、それと似ているのかもしれません。

 

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