博物学としての小道具群

MVGの映像作品群は基本的に「工作系映画」であるため、膨大な小道具・大道具とその制作のための資料が存在します。

MVG博物館という名称から分かるとおり、このサイトは元々、映画本編の紹介に終始しがちな自主映画の世界において、作品世界を形作る小道具や、その小道具を作るための設計図などの資料にスポットライトを当てたい、という思いから発足しています。

この博物学的資料室では、そんな資料を整理をしつつ、順次追加公開していきます。

シーラカンスの可動モデル-1

自作小説「落ち葉は風をうらむか?」を元にした短編映像作品「理の形(ことわりのかたち)」に登場する、「波打ち際のシーラカンス」製作工程の資料。

[写真1]は、実物大スケッチと、可動モデルの原型となる発泡スチロール。胴体後半は尾を動かすために切れ込みが入っているのが分かる。大きさは200mmほど。

[写真1]

胴体に1.5mmの厚さのウレタンを接着し、後に付ける鱗のモールドのための線を書き込んだ状態。
丸い容器の中に入っているのは、ヒレ。シーラカンスは胸鰭や第二背鰭、腹鰭、尻鰭をバラバラに動かすので、それを表現するため、それぞれの鰭に操作用の針金を付けて製作している。薄いヒレの部分は窓付き封筒から切り取ったパラフィン紙が材料。

[写真2]

頭部や下あごは動かない構造なので、工作性の良い石粉粘土(フォルモ粘土)で製作している。取り付け前の下あごが見える。
下の木箱は台座で、シーラカンス本体はこの箱から浮かせた位置に固定されている。

[写真3]

[写真4]はウレタンに鱗のモールドを入れ終わったところ。モールドは熱したニクロム線でウレタンを溶かしながら跡を付けていくが、有毒ガスが発生するため、全くオススメできない手法である。
造形としては第一背鰭と眼球以外、ほぼ完成に近い。

[写真4]

第一背鰭を取り付け、塗装もほぼ終えた状態。シーラカンス特有の白い斑点状の色も再現している。眼球はまだ入っています。

[写真5]

[写真6]は実物大のシーラカンスの胴体一部。映画中で、主人公がシーラカンスに触れるショット用に製作された。発泡スチロール製。表面は石粉粘土造形。

[写真6]

「理の形」本編から、上記の小道具を使用したシーンです。

参考

[写真7]は1989年ごろ製作のシーラカンス。主な材料は石粉粘土だが、鱗の大部分は松ぼっくりを使っている。正確さはともかく、有機的なリアリティーを出すことには一役買っていた。

[写真7]