伝統工芸の現場でも動画活用
先日、多くの職人さんを擁する製作所に、会社紹介のビデオ撮影でお邪魔した際、新人職人さんにお話を伺いました。
その方は漆の職人さんなのですが、先輩から指導がしてもらえるときに、その先輩の作業をビデオカメラで撮影して繰り返し見るそうです。
これは、仕事の中でのビデオカメラの理想的な活用法の一つです。
江戸時代から続く伝統工芸の会社の中で、教育用に(この場合、本人の自習用ですが)ビデオ映像を活用しているのです。
何となく、昔気質の職人さんたちは、技術を効率良く習得する工夫というものに消極的なイメージがありましたが、考えてみると、そのような職人技はたとえ一人前になった後でも、奥が深くてずっとより高いレベルへいくための修行が続く訳です。ビデオが役に立つレベルの技術習得であれば、どんどんやらないと、先は長いわけです。
それに比べて、一般の企業の中では、ビデオの活用が有効である場面が多くあるのに、積極的に活用しようという気が感じられません。少なくとも私が勤めていたいくつかの会社ではそうでした。
理由は恐らく一つです。
会社としては効率を重視しなければいけない状況でも、働いている人たちは、そのために変化することが嫌なのです。今まで通りで、ある程度の成果が計算できるのであれば、今までの習慣を守りたいのです。新しいことは面倒だからです。同じ給料をもらって働いている中で、失敗するリスクを負ってまで新しいことに挑戦する労力を使いたくないのです。
私は、ビデオの活用が業務の中で有効に機能する場面が多いと確信しています。そのため、事あるごとにアドバイスをさせていただいているのですが、前述の職人さんが自発的に活用しているのを見ると、ビデオカメラの有効性が証明された気がしてほっとするのです。