セミナー講師の方へ・低予算でセミナー動画を作るための撮影方法

動画は広く応用できます

ビデオカメラやスマホのカメラなど、高性能のカメラが普及したことで、「動画撮影」はとても身近になりました。
動画は、単に「楽しみ」のためだけでなく、「役に立つ実用品」としても非常に有効なツールです。

なぜなら動画は、「文章」や「写真」に比べて、伝えられる情報量が格段に多いからです。

セミナーの二次利用にも最適

知識や経験、技術などを伝える、講座形式のセミナーも、ビデオ撮影をすることで二次利用が容易にできます。
実際にセミナーに参加できない人にも、セミナービデオで内容を伝えられますし、参加した人の中にも、復習用としてセミナー動画が欲しい、という需要もあるでしょう。

情報量が多いビデオ映像は、セミナーの記録には特に適しています。

単にセミナーの「内容」を伝えるだけなら、レポートや書籍の形でも販売できます。しかし、セミナーの魅力は講師のトークです。

音声としての言葉が伴うことによって、より一層、内容が伝わりやすくなるのがセミナーです。
その利点を充分に再現できるのが、動画なのです。

では、開催したセミナーをビデオカメラで撮影すればOKでしょうか?
単なる記録であればそれでもOKですが、「商品としてのセミナー動画」を製作するとなると、いくつかのポイントがあります。

そのポイントを説明する前に、動画の画質について触れてみます。

ハイビジョン映像とDVD映像の関係を知ろう

2000年ごろまでは、プロ用の機材と一般家庭用の機材の性能の差は歴然でした。
ところが、2017年現在、一般家庭用の安いビデオカメラも、フルハイビジョン対応が標準的で、一昔前のプロ用機材より鮮やかな映像が撮影できます。

あまり話題にはなりませんが、実は、「ハイビジョン映像」と「DVD映像」の関係を知っておくことで、撮影方法や撮影時の心掛けまで違ってきますので、まず、そのことから説明します。

動画の「綺麗さ」を比較する基準のひとつに「画面のピクセル数」があります。
その映像が、いくつの「点」によって表現されているか、という目安です。

数値が小さいと、荒い映像(モザイク状の映像)に近づきますし、数値が大きいと、きめの細かい映像になります。

一般的なビデオカメラの映像は、1920x1080ピクセルです。(フルハイビジョンの場合)
一方、最も汎用性が高くて、動画納品用のフォーマットとして一般的なDVDの映像は、720x480ピクセルです。

つまり、ビデオカメラを使って、1920x1080の高画質で撮影しても、DVDにすると、自動的に720x480の画質に落ちてしまう、ということです。

画質が落ちることは残念なことに思われるかもしれませんが、実は、これを逆に利用することで、「1台のカメラで複数の種類の映像を確保する」という撮影時の工夫ができます。具体例は後で説明します。

撮影ポイント

セミナー動画撮影時にやるべき工夫を列挙します。

簡単なことばかりですが、セミナー動画の品質が格段に向上します。是非、参考にしてください。

1.ビデオカメラ以外にも音声の録音をする

ほとんどの人は、「映像の品質」を最優先に考えますが、大切なのはむしろ「音声の品質」です。

もちろん、画質も良いに越したことはありません。しかし、仮に画質が低い映像でも、5分も見ていれば気にならなくなります。

ブルーレイの映画を観慣れている人が、DVDを観ると、画質が1/3近くまで落ちているにもかかわらず、すぐに気にならなくなることは実感できると思います。

ところが、音声が悪い場合は、ストレスが最後まで続くものなのです。

ビデオカメラにはマイクが内蔵されていますが、受講生の前で講師が話すタイプのセミナーでは、音源は必ず別に録音してください。

「マイクを使って話すから、充分な音量があるだろう」とか、「カメラより後ろに座っている人にも聞き取れるのだから大丈夫だろう」とは考えないことです。

問題は「音量」ではありません。単純に、マイクから遠い音」はクリアな音質にはならないのです。また、カメラの内蔵マイクの音声を使用すると、カメラのそばで荷物を触っている音などが大きく入ってしまい、残念な動画になります。

セミナー動画が「商品らしくしっかり作られている」と判断されるか、「単にホームビデオで撮影しただけの素人ビデオ」と思われるかは、音声の状態によると思ってください。

映像は多少、豪華に加工できますが、音が貧弱だとカバーのしようがありません。
録音装置としては、安いICレコーダーに、ピンマイクを組合わせることをオススメします。1500円程度のもので充分です。

ピンマイクは襟や胸に付け、録画ボタンを押したICレコーダー本体をポケットに入れるなどしておきます。
クリアな音質のためには、口に近い位置で録音することが肝心なのです。

録音の音声ファイル形式は、wav形式、mp3形式を選択できることがありますが、容量が小さいmp3形式で品質に問題はありません。映像の編集時にこの音声を動画の音声と入れ替える事になります。

(録音時の注意点)

ピンマイクを付けて録音する場合、体を動かしたときにマイクと服が擦れて、大きなノイズが入ってしまうことがあります。これを防ぐために、あらかじめテストをしてみてください。

テストとして、ピンマイクを付けたICレコーダーにヘッドホンも付けた状態で、録音中の音を聴きながら体を動かします。
ガサガサというノイズが入る場合は、マイクの付け方を変えるなどして、マイクと服が擦れないようにすることが必要です。

ICレコーダーの録音設定で、録音レベルのリミッター機能がある場合は、これを使ってください。
リミッター機能は、音が割れない程度を保ちつつ、自動的に録音を最大レベルに調整するものです。

リミッター機能が無い場合は、講師の声が割れない程度のレベルに調整しておきます。
(編集によって音量を上げることは出来ますが、割れてしまった音声は修正できないので注意してください)

ICレコーダーの機能の中には、録音中、無音状態が続くと一時停止するものがあります。
ビデオ映像と同期させる音声として使用するための録音では、この機能を必ずOFFにしていください。

2.カメラの位置と設定を決める

基本的に低予算のセミナー動画は固定カメラ1台で撮影します。
受講生で講師が隠れたりすると見苦しい映像になるので、撮影上、座って欲しくない席(カメラと講師を結ぶ線上の席)には貼紙をするなどして、着席させないようにしてください。

カメラの位置は、ホワイトボードやプロジェクター映像を使う場合、出来る限り講師の正面にします。
ホワイトボードや映写した映像のゆがみを小さくなるので、書いた文字や映写した映像の内容を伝えやすくなります。伝わりにくい場合は、編集で観やすい別素材を挿入する必要が出てきます。

三脚は、安いものでもいいので、出来るだけ大きいのものを使って、カメラの位置を高くしてください。
カメラの高さを高くすることで、受講者などで講師が隠れるのを防げます。

セミナー開始直後など、遅れてきた受講者がカメラの前を横切ったり、三脚に当たったりすることがよくありますが、商品としてのセミナー動画としては見苦しくなってしまうので、これを防いでください。

カメラのフォーカスは、大抵の場合は「オート」設定でも大丈夫かとは思いますが、画面中央を人が横切ったり、プロジェクター映像の明るさが変ったときなどに、フォーカスが狂うことがあります。

あらかじめ「マニュアル」設定で、講師やホワイトボードなどにフォーカスを合わせておいた方が安心です。
また、シャッタースピードは、関東圏は1/100、関西圏は1/60に設定すると、蛍光灯のチラつきを抑えられます。

3.画面範囲を決める

撮影中はカメラに手を触れずに済む状態にセットします。
講義中、ズームを使って講師のアップにしたり、講師の動きを追って、カメラの向きを変えたりはしません。
講師のアップ映像や、ホワイトボードの位置に移動したときの映像は、編集時、映像をトリミングすることで作ります。トリミングというのは、映像の不要な部分をカットして、画面いっぱいに拡大することです。

当たり前のことですが、どんなに画質のいいカメラでも、フレームから外れてしまった対象は撮影できません。必要な対象がフレームから外れるのは、問題外なのです。

ですから、まず、事前に講師が移動する範囲を確認しておいてください。
可能であれば、講師の移動範囲はできるだけ狭くしてください。

例えば、講師が主に中央の席に座っているとしても、それに合わせてバランスの良い構図で撮影してはいけません。講師が移動すると、画面からはみ出てしまうからです。

講師が必要な移動をしても、固定カメラのフレームから外れないような、やや広めの範囲を設定して、撮影できるようにしてください。
また、講師の方も、セミナー中、「どこからどこまでが撮影範囲か」ということを意識して、カメラからはみ出ないようにようにしてください。

写真Aは、実際のセミナー映像です。講師が席に座っているときは、やや間延びした構図に見えますが、撮影素材としてはこれだけでOKです。

(写真A)

完成ビデオでは、必要に応じて、トリミングによって写真Bの状態に仕上げられます。

(写真B)

また、プロジェクター映像の横に移動したときは、写真Cの状態に仕上げるわけです。

(写真C)

トリミングを行なうと、画面を拡大する関係で、画質が落ちることを懸念するかもしれません。

しかし、ハイビジョンの映像とDVDの映像のところで説明したように、完成品をDVD画質にする限り、撮影映像を2倍程度に拡大しても、充分に自然な画質が保てます。

この手法を採用すると、ハイビジョン画質での仕上がりにはならないのですが、その代わり、撮影が圧倒的に簡易になり、大きな失敗もせずに済みます。

撮影中の注意点

必要な設定を済ませておけば、撮影中は、基本的にカメラに触れる必要は無い筈です。

しかし、念のため、撮影状況を確認するようにしてください。
いつの間にか、何らかの理由でカメラの向きが変っていたり、操作が必要なエラーメッセージが出て、録画が停止する場合もあり得るからです。

セミナー動画で受講する人は、カメラの位置から講師を見ることになります。
講師の方は、セミナー中、カメラを単なる記録用と考えず、受講者の一人と意識してください。

まとめ

・ICレコーダーとピンマイクで録音をする

・カメラは正面に置く

・カメラを高くして、受講者と講師が重ならないようにする

・固定カメラで必要なものが全て写るように、広く撮影する

・フォーカスは講師、ホワイトボードに合わせる

・シャッタースピードは関東:1/100、関西:1/60にする

最後に

低予算で作るセミナー動画の撮影について簡単に説明しました。

ハイビジョンのビデオカメラ映像と、DVD画質の差を利用したトリミングを利用すると、1台の固定カメラで撮影したにもかかわらず、複数のカメラで撮影して、必要な切り替えをするのと同じような効果が得られる、という工夫が特色です。

トリミングを前提とした撮影については、「撮影」を生業にしているカメラマンにとっては納得のいかない説明かもしれませんが、私の目的は「撮影者の自己満足」ではなく、「映像を観る人にストレスの少ない映像を、いかに低コストで撮影するか」なので、あえて紹介しました。

カメラ性能の向上によって、撮影は簡単になりました。
しかし、やはり、経験を重ねることによって、技術は格段に向上して、失敗も少なくなります。
是非、「撮影する機会」を多くして、カメラに慣れておくことをオススメします。

編集作業について

セミナービデオも舞台のビデオと同じで、撮りっぱなしの状態では見栄えがしません。

擬似的にカメラを切り替えているような映像にしたり、テロップなどで情報を補完することで、格段に見やすくなり、「商品としてのセミナー動画」としての価値が上がります。

「撮影素材はそろえたけれども、適切な編集をしてまとめるのが難しい」という場合は、ご相談ください。無料でお見積もりやアドバイスをいたします。
ご質問等ありましたら、遠慮なくお知らせください。

撮影済みの映像で、販売用の映像コンテンツを作りたい、という方もご相談ください。

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