消せるノイズと消せないノイズ
目次
「動画」で重要なのは「音声」です
動画を撮影した時の「音」についての話です。
「映像コンテンツ」のメインは「映像」だと思われています。しかし、実は多くの場合、一番大事なのは「音声」です。
先に弁解しておくと、正直、この YouTube チャンネルの音声は、それほど状態がよくありません。私が、自宅でラフに録音した音声を使っていますから、建物の前を通っている車の音が頻繁に入りますし、録音のためのマイクのセッティングもラフなので、音質も悪い。ただ、このチャンネルの「裏テーマ」は、「いかにラフにコンテンツを量産するか」なので、最低限の品質で公開しています。
このチャンネルについてはともかく、「動画コンテンツ」の「音」については、気をつけるべきことがあります。
大活躍している「動画コンテンツ」
動画コンテンツは、「セミナー動画」というようなものでよく活用されています。会議室に受講生を集めて、ホワイトボードの前で講師が話している、というような映像よく見ることがあると思います。
あるいは、受講生を参加させずに、講師が自宅で話をしているビデオ講座の映像もよくあります。
「撮影はスマホで十分ですよ」とよく言われる通り、映像の撮影はスマホや安い民生用のビデオカメラで十分なんです。
注意すべきは、「映像」ではなくて、「音」です。「聞きやすい音」になっているかどうかが需要です。
聞きづらい音とは?
「聞きやすい音」がどういうことかという話をするためには、「聞きづらい音」を説明する必要があります。
一つは、「ノイズがある音」。
ノイズにも色々な種類があります。部屋の外を通る車の音。これは消せません。
パソコンを使って、色々と「ノイズを減らす」ことが可能になって来ていますが、「不規則に入るノイズを消す」というのは、うまくできないんです。
消せるノイズの例
一方で、「消せるノイズ」というものもあります。
例えば、換気扇の音。換気扇の前で喋っていると、「声」と「換気扇の音」がかぶって、聞きづらい音声になります。
ところが、この「換気扇の音」というのは、
- 一定の周波数
- 音量も一定
という特徴があります。こういう系統のノイズは、ある程度、パソコンソフトで消すことができます。換気扇の周波数の音だけカットして、しゃべっている声をクリアに抽出出来るんです。「換気扇の音」がかぶっている場合は、「修正できる音」と言えます。
消せないノイズの代表「残響」
一方で、修正できない音の代表は、「残響音」です。セミナー動画などでよく見かける、「部屋に声が反響してしまっている状況」です。
最悪なのは、マイクを使って講義をしている講師を、離れた場所のカメラで撮影しているものです。講師の声はマイクで増幅されてますから、大きくは録音できるんですが、それ以上に、部屋の中にその音が響いてしまいます。マイクを使わない状態でも、音量が違うだけで、残響の度合いは同じです。
会議室でしゃべって反響している声は、撮影した本人は、自分が何を話していたかは知っているので問題なく聞き取れます。ですから「これくらい良いだろう」ととても甘く判断されがちです。しかし、初めて、その動画を見る人にとっては、非常に聞きづらい音声で、コンテンツ自体がとても「チープ」に見えます。
そして、この、「残響」というのは、パソコンを使ってもクリアには直せないんです。残響音を含む音は、「修正できない音」と認識してください。
残響がない音を録音することが重要
残響音が混ざった聞きづらい音にしないためには、収録する時に、「クリアな音声の状態」で録音する必要があります。
解決策は単純です。
「なるべく話している人の近くで音を拾う」これに尽きます。
「高価なガンマイクを使っているから、クリアに録音できるはず」と思ったら大間違いです。それで済むのであれば、ドラマや映画で、あれほど面倒な思いをして、録音技師がマイクをかざす必要がないんです。
ガンマイクが有効なのは、極端に残響音が少ない、特殊な室内か、野外撮影だけです。
残響音を少なくするには、なるべく口元に近いところで録音する必要があります。理想的なのは、ピンマイクを襟とかネクタイに付けて話すことです。
重宝するのはICレコーダー
ワイヤレスマイクで、カメラに音声を飛ばす、というような特殊な装置は必要ありません。普通のICレコーダーを用意すれば十分です。ピンマイクをつないだICレコーダーを、ポケットに入れた状態で録音します。
口から発した声を、近い距離である襟元のマイクで録音することがポイントです。仮に部屋の中で音が反響していても、最も大きく録音される声には残響音が混じらないので、クリアな声になるわけです。
撮影用のスマホやビデオカメラと、ICレコーダーのそれぞれに、音が録音されるので、編集時に音を同期させて、
- スマホやビデオカメラの映像
- ICレコーダーの音声
を組み合わせればOKです。高価なワイヤレスマイクを使用する必要はありません。
ピンマイクが使えないとしても、ICレコーダーは非常に有効です。例えば、テーブルの前に座って、パソコンを使いながら講義をするような場合、テーブルの上にICレコーダーを置いて録音するだけでも、かなり効果的です。
スマホやビデオカメラは何メートルか離れたところから撮影します。距離が離れるほど、録音音声の中の反響音の比率は大きくなります。ICレコーダーを、手が届くぐらい近いところに置いて録音した音声は、離れたカメラの音声と比べて、遥かにクリアに録音されます。
ぜひ、この音源を使って動画コンテンツを作ることをお勧めします。
ちなみに、ICレコーダーは、充電式のものは手軽ではありますが、電池式のものをオススメします。
何らかの理由でバッテリーが切れた時、バッテリーの残りに不安がある時、電池式のものであれば、「念の為に新しい電池と入れ替える」ことで、安心して録音できるからです。
参考になれば幸いです。