やっぱり一眼レフが良い?
問題はカメラではない
結論から言うと、動画コンテンツを作るカメラは何でも構いません。スマホをお持ちでしたら、スマホのカメラで十分です。ハンディカムのようなビデオカメラでも十分です
多くの人がこう答えても、「やっぱり、そうは言っても一眼レフで撮った方がいいんですよね?」というような人が一定数ます。そういう人は、「一眼レフがいいですよ」と言って欲しいんだと思います。おそらく、一眼レフが欲しいんでしょう。
「もちろん、一眼レフの方がいいですよ」という答えがあれば、一眼レフのカメラを買う踏ん切りがつく、ということで聞いてくるんだと思います。
一眼レフは何が優れているのか?弱点は?
映像というのは、レンズに入る光が多いほど、綺麗に映る可能性が高くなります。そして、一眼レフのカメラは、大抵の場合、レンズの性能が良いので、多くの情報をカメラに入力できます。
それから、そのレンズで集めてきた光を受ける「受光体」と呼ばれる部分の性能も良い。それによって、他のタイプのビデオカメラよりも、多くの情報量を凝縮させることができるので、「綺麗な映像」を撮ることができる特徴があります。
ただし、実は弱点も多いんです。
ビデオ映像において、「綺麗な画面」には、いろんな意味があります。
「隅々までクリア、シャープに見える」という意味の「綺麗さ」もあります。一眼レフのように、「背景がボケて綺麗」という綺麗さもあります。
2つの映像は真逆の特徴です。
一眼レフのカメラは、基本的に写真用のカメラです。被写体(写す対象)にピントがきっちりと合っていて、それ以外の「背景や手前の物のピントをぼかす」類の映像を撮ることが得意です。これは写真的に「綺麗な映像」という言い方ができます。
ただし、「一眼レフのカメラを使えば全て綺麗に撮れるのか」と言うと全然違います。
まず考えられるのは、「肝心なところにピントが合っていない映像にもなりがち」ということです。一眼レフのカメラというのは、「綺麗にぼかすのが得意なカメラ」ですから、設定を間違えると、肝心の被写体もボケてしまうという危険が高いんです。これは、完全な失敗映像です。ですから、一眼レフを使いこなせない人が、それで動画を撮ろうとすると、大失敗をする可能性が高いと言えます。
もう一つ、重大な特徴は、「一眼レフは、長時間の連続撮影に向かない」ということです。これは仕様でそうなっているんです。これは「関税の問題」だそうです。一定時間以上の連続動画が撮れてしまうと、普通のカメラより関税の高い「ビデオカメラ」になってしまうので、一眼レフのカメラの動画撮影機能は、短い時間しか連続で撮影できない仕様になっているそうです。
ですから、長時間連続で撮影する必要のある、「セミナー」や「舞台」は、一眼レフのカメラでは撮影ができないわけです。
失敗の少ない「ビデオカメラ」
私は、使い勝手の良さなどから、「ハンディカム」のような、「ビデオカメラ」をお勧めしています。ビデオカメラで撮影した映像で、「ピントがぼけている」というようなものはあまり見かけません。そもそも、ビデオカメラは、「手前にも奥にもピントが合いやすい」という特徴があるからです。
一眼レフのように、「背景を綺麗にぼかす」ということが苦手なんです。これは、「面白味のない映像」という言い方もできます。逆に言うと、「大きくピントがぼけた失敗映像になりにくい」とも言えます。
また、ビデオカメラは、その記憶容量と電源に余裕がある限り、長時間連続撮影することが出来ます。セミナーや舞台撮影に適していると言えます。
それは何のための撮影か考える
それぞれのカメラには特性があります。全ての場面において、「これが一番良い」というひとつのカメラはありません。
コンテンツに大事なのは、実は映像の画質ではありません。例えば、「肌色が綺麗に写る」とか、「色の発色がいい」とか、そういうことではないんです。求められているのは、あくまでも「そのコンテンツの中身・内容」です。プラスアルファとして、「画質が良い方がいい」というだけの話です。
特に、コンテンツを作ったことがない人が、新たな撮影機材を揃えるのは、あまりお勧めしません。今ある機材で、コンテンツを作ってみてください。
例えば、ノートパソコンに付いているカメラを使って、販売用の「講座ビデオ」は、何の問題もなくできます。その講座ビデオを購入する人は、一眼レフで撮った講座だから満足して、パソコンのカメラで撮った映像だから不満を持つ、というようなことはありえません。いくら画質が良くても、内容がつまらなければそれは苦情のもとになるわけです。
私のように、撮影に携わっている人は、「どんなカメラを使ったらいいですか?」という質問は必ず受けます。そして、ほぼすべての人は、「どれが良いとは言えないですよ」「とりあえず手持ちのカメラから始めたらどうですか?」と口を揃えて答えます。それが正解なんです。
もしかしたら、あなたも、一眼レフが欲しいので、「やっぱり一眼レフがおすすめですよ」と言って欲しかったのかもしれません。けれどもカメラは手持ちのもの使い慣れているもの使い勝手の良いものこういうものを使えばいいという話です。
参考になれば幸いです。