ビジネス動画活用を勘違いしていませんか?
目次
動画活用が浸透してきた展示会
先日(2020.02)、地元横浜で毎年開催される、大規模な工業技術展がありました。今年も、出展者の方々に「ビジネス動画を活用しませんか?」という案内をしに行ってきました。

3日間で60名弱の担当の方、経営者の方とお話が出来ました。その中で、いくつかわかったことがあります。まず、会場を見渡しただけで、昨年に比べて、動画の活用をしているブースが非常に増えていることが分かります。
ビジネス動画が年々、一般的になってきているということで、これは喜ばしいことです。
動画を「キャッチ」としてのみ活用する現状
特徴的だったのは、動画の半数以上が、映像業者が制作したものではなかったことです。念の為に確認したところ、やはり、「今回の展示会のために、社員が作業風景を撮影して編集した」という回答が大半でした。
このことは、今後の動画活用のさらなる可能性を感じさせます。ビデオカメラなどの撮影機器の性能向上はもちろん、少なくとも展示会で公開する「動画を編集する技術」が浸透している証拠だからです。
ただ、「動画の種類と目的」の認識が、やや偏っていると感じました。動画が「動きで人の目を引く」という、「キャッチの機能」しか果たしていない実例が多かったように思います。
動画の機能
動画の第一の機能は「キャッチ(目を止めさせること)」です。
展示ブースの多くは
- 文章のパネル
- 写真や図表のパネル
- 製品などの現物
をスペース内に配置しているだけです。
数百の企業や団体が参加している展示会で、そのように動きのない展示で、注目を集めるのは困難です。そんな中、「工場内で工作機械が稼働している映像」だけだったとしても、動きがある分、前を通る人が目を止めるのは確かです。
ただ、残念ながら、作業風景の映像だけでは、会社が所有する「作業環境の紹介」にしかなりません。足を止めた人も、それ以上の情報は得られないので、立ち去ってしまいます。
足を止めたところを見計らって、現場の人が声を掛けてセールストークをしなければいけないわけです。その時の問題は、「足を止めた人がセールスすべき相手かどうか、全く判断できない」ということです。
優れた動画は人を選別する
展示会での理想の動画は、
- 動きで目を引いて足を止めさせる
- 有益な情報を盛り込んでいるので、相手にじっくり見させる
- 動画で説明している先の情報を知りたい人だけが質問をしてくる
という設計がされたビジネス動画です。動画がセールスの対象者かどうかを選別してくれることになります。
確かに、そこまで設計された動画を、社内の担当者が仕事の合間に作るのは難しいかもしれません。
動画は派手な装飾という勘違い
大雑把に言うと、動画の活用は「様々なコストを削減するための行動」です。例えば、
- 会社紹介
- 商品紹介
- サービス紹介
というような、一般的によく見られる告知用のビジネス動画は、セールス担当者が顧客一人ひとりに「会社」「商品・サービス」を説明する「営業コスト」を大幅に削減します。
営業動画を見せる対象が社外であるのに対して、見せる対象が組織内の動画もあります。「研修」や「教育」用の動画は、教育コストの削減に役立ちますし、「業務マニュアル」などの動画は、作業標準化の推進や作業効率アップの面からコスト削減に繋がります。
「動画」はコスト削減に使える実用的な「道具」に過ぎないということです。
ところが話をしてみると、まだまだ多くの人が「ビジネス動画」と「大手のテレビCM」を混同しているように感じられます。これが1つ目の勘違いです。
大手のテレビCMは、消費者向けの低価格の商品やサービスの認知度を上げるための「イメージ広告」です。広告の対象は「大量販売できる商品やサービスであること」が大前提です。イメージ広告は、「特殊な広告」です。膨大な宣伝費を使っても採算が取れるような、「一部の大手企業」にだけ有効な広告と言えます。
ほとんどの場合、中小ビジネスで「イメージ広告」を作っても、有効に機能しません。
動画活用開始のタイミングを勘違い
2つ目の勘違いは、「事業に余裕が出てから行うのが動画活用」という全く誤った認識です。
「動画の活用を考えていますか?」という言い方をすると、
- 今は動画の時代だから、何かやりたいとは思う
- やるべきだとは思う
と答える人が増えてきました。
一方で、
- うちには、まだそんな余裕がない
- このビジネスはまだ、その段階じゃない
というような回答をしてしまう人も少なくありません。これは、ビジネス動画を大手企業のテレビCMと混同していることが原因でしょう。
巨額の資金を必要とする、テレビCMと混同しているため、
- ビジネスが順調
- 利益も多く出ている
- 広告費に余裕が出た
という条件が整った上で、「さらにブランドイメージを高めるために作るのが動画」と勘違いしてしまうわけです。
「動画」は余裕がないときにこそ効果を発揮
ビジネス動画は基本的に、「中小ビジネス」に非常に効果が高いのが特徴です。
- 使える人員も少ない
- 使える資金も少ない
そういった時、現状を改善するための「安上がりな手法」が「ビジネス動画の活用」です。
専任の営業マンが一人しかいないとします。
- その人が、一生懸命、外回りをして仕事を取ってくる。
- 既存のお客さんの所に挨拶まわりをして、つながりを保つ。
これは常に体力勝負です。
例えば、「動画営業マン」なら、営業マンの分身として、営業活動の補佐をすることが可能です。具体的にはメールと組み合わせて使います。
- 新しい情報や提案などの動画を作る
- YouTubeに動画をアップロードする
- メールで「こういう動画を作りました。見てくれませんか?」と動画のURLを知らせる
この動画営業なら、メールアドレスさえあれば、午前中だけで100件の営業が可能になります。生身の人間には、とてもこなせないような数です。
しかも、単なるメールの「文面」だけでなく、営業マンが顔を見せて顧客に挨拶することもできるのが、動画営業のメリットです。営業マンであれば、顔を見せるのがどれほど重要かわかるはずです。
もちろん、そのメールを送っても、見てもらえない事も多いでしょう。しかし、リアルな営業の門前払いに比べると、無視できるほど少ないコストに過ぎません。
人的・資金的な余裕が無い時こそ、まず採用すべきなのが「ビジネス動画」です。
動画活用でコスト節約
営業力が弱い場合、
- 新たに人を雇って
- 営業マンとして育てて
- 一人前に働いてもらう
これを実現するには、相当に大きなコストが掛かります。
動画を作成して営業マンの代わりとして使えば、営業力アップのために、格段に安上がりだと思いませんか?
同じことは教育にも言えます。例えば新人教育の現場で、教育係が手取り足取り教えることで掛かっているコストがあります。
「教育用の動画コンテンツ」を作って活用すれば、コストは何分の一かに減らせるでしょう。
まとめ
ビジネス動画を制作して活用する傾向は強くなってきました。ただ、動画本来のメリットを発揮できる活用は、まだあまりされていません。動画は大手企業のテレビCMとは用途が違います。
人員や資金が少ないときこそ、有効に活用できるのがビジネス動画です。あなたのビジネスでも、コスト削減として活用できる「動画」がたくさんあるはずです。
中規模ビジネスはもちろん、あなたが個人起業家だったり、比較的小規模なビジネスをやっているとしても、「ビジネス動画の活用」を検討された方がいいと思います。
参考になれば幸いです。