映像を悪用しない信念を
実情を見せる誠実さが大事
「新卒の学生がなかなか就職できない時代」が長く続いて、「買い手市場」と言われてはいますが、一方で、「なかなか若い人が入社してくれない」と悩んでいる会社もたくさんあります。特に、製造業関係の会社に、その傾向が強くあります。
業務内容も業績も優秀な会社で、福利厚生もしっかりしていて、客観的に見ても魅力がある会社でも、なかなか新卒が集まりにくい場合があります。
その中で、信じられないような「バカバカしいサービス」が実在しています。それは、古い社屋や仕事場を隠すために、「面接用の会場を貸します」というサービスです。あたかも「ここは自分の会社の事業所の一つです」というような演出もするようです。
実際に、これは人気があるようで、「是非、利用したい、という中小企業が多い」と聞いたことがあります。
はっきり言って、これはバカバカしいことだと思います。
むしろ、「やってはいけないこと」という風にさえ思います。
これから仲間になってもらおうという相手を、騙して入社させようとする考え方が、そもそも間違っていると思いませんか?
仮に、綺麗な面接会場が、その会社の社屋だと思って安心して入社したとします。配属されてみたら、本社はボロボロのビルで、汚い部屋で仕事をする事になります。初日から、がっかりするわけですね。
今から、また就職活動するのも大変なので、仕方なしに働き始める。スタートからこんなことでいいんでしょうか?
「騙してでもいいから、短期的に3ヶ月間の労働力がほしい」というブラック企業であれば、このやり方は、ある程度有効かもしれません。そうでないのであれば、やるべきことは、「実情を見せる」ことです。
職場が古くてみすぼらしいとしたら、恥ずかしくないように綺麗にして整理整頓しましょう。新しいか古いかとは別に、きちんと綺麗に整理整頓されている職場は、居心地の良さを感じさせます。仕事の質の高さも感じさせます。
「本当の姿」を見せることで、安心感が与えられるわけです。
映像は簡単に嘘も作れる
映像制作していると、「映像的な加工をして、ここをもっとよく見せられないか」「現実よりも良い状態にできないか」というようなことはよく言われます。
例えば、自社の工場を案内する動画を作るとします。映像合成を使って、工場を広く、キレイに見せることは簡単です。しかし、実際にそこに足を運んでみれば、嘘はばれますから、意味がありません。
むしろ、実情を見せることで、相手に判断材料を提供するのが「映像の仕事」です。
実情を見て、それに納得した人が集まってくれれば問題ありません。もし、その実情を見て人が集まらないとしたら、嘘をついて取り繕うのではなく、根本的に問題点を改善させなければいけません。
動画活用で発見する「新たな強み」
映像は魔法ではありません。ビジネス動画を作ったからと言って、魅力のないものに、本当の価値は加わりません。
「広告は商品を越えてはいけない」という鉄則があります。それは、誇大広告という悪事になるからです。
動画も全く同じです。現実よりもよく見せる事を求めてはいけません。
ただし、ビジネスを動画で紹介しようとした場合、そこには第三者の視点が入ります。
客観的な目でその会社の実情を見た時に、当事者ではその価値に気付けない切り口が見つけられます。
顧客にとっては、重要な判断材料になる要素を持っているにも関わらず、当事者は、「業界では常識だから」という理由で、一切発信しない事が多いからです。
そういった意味でも、ビジネス動画活用は、ビジネスの転機になる可能性を持っていると言えるでしょう。
参考になれば幸いです。