最低限必要な事とプラスαを取り違えない
ブランディングは装飾ではない
ビジネス動画の活用法を解説している記事は、インターネット上にあふれています。また、動画を活用して成功している、「企業の経営者等によるセミナー」も多くあります。それを参考にしようとたくさんの人が集まります。
しかし、私は非常に疑問に感じている部分があります。流行り言葉のように、「ブランディング」とよく言われます。自分独自の価値を確立して、「自分そのものをブランディングしましょう」と言われます。
「そのために動画が有効ですよ」という提案です。
基本的には正しいと思いますが、「ブランディング」は、「イメージを優先した演出」と捉えがちな人が多いのではないでしょうか?
もちろん、人前に出て話す時に、服装に気を使って、「自分のビジネスとのギャップを生じさせないようにする」というようなことは大事でしょう。でも、「綺麗に取り繕う事」がプラスに働く時代ではないんです。
映像は「ごまかし」が得意なメディア
実物よりも良く見せようと思えば、手はいくらでもあります。
「実際に撮影しているから真実を映している」と思ったら大間違いです。真実のように見せながら「事実を捻じ曲げて伝えるのに最も使い勝手がいい」のが「映像」。マスコミの偏向報道、捏造報道を見れば容易に想像がつくと思います。そういう「映像のごまかし」の技術を使って、取り繕って情報を伝えてはいけないんです。
その方法を使うと、全てが
- 怪しい情報
- 疑わしい情報
に見えきます。
基本はバナナの叩き売り
華やかな映像と演出を使った動画広告がある一方で、昔ながらの泥臭い「テレビショッピング」があります。
テレビショッピングは、基本はバナナの叩き売りとか、香具師(やし)と呼ばれる人が、客を前に商品をアピールして、その場で販売していく「話術のビジネススキル」をそのまま応用したものです。そういう、非常に泥臭い手法が、一定の安定した成果を出し続けている現実があります。
細々と売れ続けるだけでなく、「ビリーズ・ブート・キャンプ」のような、大ヒット商品も時々現れます。
商品やサービスを販売する場合、この「テレビショッピング」をもっと研究する必要があると思いませんか?
そこに必要なのは、「抽象的なイメージ」や「映像の綺麗さ」ではありません。「情報は短くないと見てもらえないよね」という誤解とも無縁です。
「この商品・サービスを購入したら、自分はどう幸せになるのか」という、「具体的なイメージ」を見せる事が大事です。
性能の良さや品質の良さを正確に伝えても、それと自分の幸せを関連付けられない人が大半です。
- 人は、基本的に自分のことにしか興味がない
- 想像力が弱い人が大半
という原則を忘れてはいけません。
優先すべきは演出よりコピーライティング
映像を使った動画コンテンツなどで、重視されがちなのが「演出」です。一見、見栄えがするので、映像業者も料金を上げて、華やかな演出をしがちです。
でも、「演出」の部分は後回しにすべきです。
情報の根本的な伝え方に不備があるのに、演出に凝った動画を良く見かけます。これは、発信側としては恥ずかしいと思わなければいけません。
例えて言うなら、家を建てるときに
- 土台が傾いている
- 柱が曲がっている
というように、基本的な部分に重大な問題があるのに、
- 壁紙の色に凝ってみたり
- カーテンの素材に凝ってみたり
- 部屋の芳香剤にこだわったり
しながら家を作っているようなものです。
まず大事なのは、間違いなく「土台」であり、「柱」。そこさえしっかりしていれば、最低限の機能は果たします。表面的に華やかな演出を施しても、本来、対象とする人に必要な価値が伝わりません。
ビジネス動画を作る場合にも、同じような感覚が必要だと思います。そのために最も必要なのは、実は、映像制作の技術ではありません。
必要不可欠なのは、コピーライティングの技術です。
コピーライティングは、用途に応じて、チラシやセールスコピーとして活用されます。
ビジネス動画は、コピーライティングの映像版なんです。ですから、ビジネス動画を制作して有効に活用するためには、映像編集者を探す前に、コピーを作る必要があります。
そのためには、
- 社内でコピーライターを養成して、映像編集も社内に担当者を作る
- コピーは社内で作成して、映像編集のみ外注する
- コピーライティングの技術を持つ映像業者に企画・制作を依頼する
という選択肢が出てきます。間違っても、見栄えのする映像をセンスよく編集して動画を作れば、経済的な効果が出ると勘違いしないことです。
参考になれば幸いです。