動画にも応用すべきセールスの「型」
商品、サービスの提供者がやりがちな間違い
ビジネスの世界には、「商品やサービスを作る人」と「それらを売る人」がいます。販売だけを仕事にしている人であれば、「販売が苦手」という事はあり得ないんですが、自分自身で物やサービスを製造している人は、どうしても「製造」に比重を置いてしまって、「販売」が上手くできない事が多いようです。
販売するためには、商品やサービスの内容を発信する必要がありますが、「伝わらない発信」には共通するパターンがあります。その代表例が、「スペック」や「特徴」をそのまま発信してしまうことです。
例えば、
「このビデオカメラは大容量なので、50時間の映像を録画できます」
という具合です。この発信内容では、受け取り手に響かない理由が分かるでしょうか?
ちなみに、私はこの情報を見ると、「このカメラは魅力だ」と感じられます。それは、普段から仕事にも趣味にもビデオカメラを使っているので、「この特徴を活かすことによる恩恵」を容易に想像できるからです。しかし、そんな人は例外です。
特に、専門家向けではない商品・サービスの場合は、たとえ、革新的な技術を謳ったとしても、「だから何?」という反応しか得られません。にも関わらず、発信側は、「このすごいスペックを見せれば、商品の良さが伝わって、きっと買いたくなる筈」と勘違いしてしまうんです。
メリットをベネフィットに変換する必要性
商品・サービスの情報を発信する場合は、「スペック」を「購買意欲が湧く形」に言い方の変換する必要があります。よく言われるのは、「メリットではなく、ベネフィットを伝えろ」ということです。メリットは利点、ベネフィットは、「それによって得られる恩恵」です。
前述のビデオカメラの例で言えば、
「50時間分の映像が録画出来る」
というのがメリットです。
この特徴を、別の言い方にして、「それは魅力だ」と思わせる必要があるんです。
例えば、
- ビデオカメラは、たまにしか使わないので、撮りっぱなしにしがちですよね?
- いざ、使おうという時に残りの容量が少ないのに気付いて、困ったことはありませんか?
- 追加撮影するためには、以前に撮影した映像を、消さなくてはいけません
- しかも、データ消去にも時間がかかるので、肝心な映像を取り逃すかもしれません
- でも、このカメラなら、50時間分の映像が録画できます。
- 運動会、旅行、イベントなどを撮影しても、ほぼ1年間は容量がいっぱいになることはありません
- 年に一度のバックアップさえ行えば、撮りっぱなしの映像をカメラに入れたままでも、まず困りません
- ビデオカメラを買い換えるなら、この商品がオススメです
という言い方をしたらどうでしょう?
「確かに、映像が一杯になると焦るんだよなあ」「こまめにバックアップするのが面倒な自分にピッタリだ」
と思わせることが出来ます。
人は自分にしか興味がない
まず理解しておくべきことは、「人は自分にしか興味がない」という事実です。自分の写っている集合写真。真っ先に自分の顔を確認しますよね?
意識しないと、情報発信は
- 私はxxが出来ます
- これは、こういう特徴がある商品です
という形になりがちです。
これらは、「自分」が主語になった、「ME(ミー)メッセージ」と呼ばれるものです。基本的に、「MEメッセージ」は嫌われます。ですから意識して、主語を「あなた」に置き換えた、下記のような形のメッセージに書き直す必要があります。
「私はxxが出来ます」(MEメッセージ)
>「私のサービスを利用することで、あなたは、xxxを手に入れられます」
「これは、こういう特徴がある商品です」(MEメッセージ
>「この商品を使えば、あなたは、もうxxxをせずに済みます」
あなたの商品・サービスが優れていて、人の役に立つものであれば、いくつものパターンに言い換えが出来るはずです。
「人は驚くほど想像力がない」と覚悟する
もう一つ理解しておかなくてはいけないのは、「人は頭を使って自分から想像しない」ということです。
頭を使って情景を想像しなくても、絵で見せてくれるマンガは人気ですよね?テレビを付けていれば、全く頭を使わなくても情報が入ってきます。多くの人は、自分の頭で考えたり想像したりすることが、どんどん苦手になっています。
昔であれば、
「この車は燃費がいいです」
とスペックを伝えるだけで、
「じゃあ、同じガソリン代でより多く、ドライブが楽しめるぞ」
と想像してもらえました。
しかし、現代では、
「燃費がいいので、同じガソリン代でより多く、ドライブが楽しめます」
と言ってあげないと、「燃費の良さ」から「楽しみ」を想像出来ない人が多いという事です。
発信する側は、「そこまで具体的に説明しなくても、分かってくれるだろう」と思ってはいけません。「ちょっと想像すれば分かること」だとしても、その想像が出来ない人が圧倒的に多いからです。
逆に言えば、想像力のない人でも分かるような説明をすれば、同じスペックを持つライバル商品に圧勝できる可能性が高くなります。これは、チラシやウェブページなど、「文字」による発信でも、「動画」による発信でも、考え方は全く同じです。
まず、あなたの商品・サービスについて、
- 「あなた」を主語にして、相手が得られる満足を具体的にする
- 想像力のない人でも、明確なイメージが湧く状況を提示する
という形で、発信の仕方を考えてみてください。
動画発信をする場合は、内容をこの構成にしてから動画制作をしていきます。
参考になれば幸いです。