製造業者が自社商品を売る難しさ
収入源は下請けだけで安定していますか?
多くの中小製造業にとって主な収入源は、ほとんどが、取引会社からの受注によるものでしょう。大口の継続的な取引によって、これまで安定した経営をしてきたかもしれません。現在の受注内容に問題がなく、今後も発展が見込まれるため、「特に新しい施策は不要」とお考えでしょうか。
逆に、業界の流れとして、単価が下がるなど、「条件の良い取り引きが少なくなる傾向がある」という場合もあるでしょう。
そんな、「先細りの状況」が確定している場合でも、状況改善のために手を打つ企業はまれです。多くの場合は、有効な行動を起こさず、「昔ながらのやりかた」を続けながら、規模を縮小して事業を続けるという対処をします。
一方で、下請け一辺倒の状況から抜け出すために、自社の技術を生かして、「自社製品」を開発する企業もあります。自社で対応できる技術の種類が多ければ、自社製品を作ること自体が可能な企業はたくさんあるでしょう。
自社製品は、新しい収入源をもたらす可能性があるだけでなく、自社技術をアピールする道具としても非常に有効です。しかし、「自社製品」の販売には大きな「壁」があります。
「製造」より重要な「セールス」
自社製品を作って販売できれば、利益が上がることは言うまでもありません。
しかし、製造業者が独自に自社商品を開発する場合、2つの問題があります。
問題1:プロダクトアウト型の製品は売れにくい
「プロダクトアウト」とは、作り手が
- 自社で出来ること
- 自社でやりたいこと
を元にして製品を作ることです。もちろん、製品を企画する際には、ユーザーの「ニーズ」を想像した上で、開発をするわけですが、予想は大抵外れます。
「こういうものが欲しい」という声に対応するために製品を製造する、「マーケットイン」という考えで製造するのに比べ、「市場に出してみたら誰も欲しがらなかった」という事態になる危険が大きくなります。
特に製造業の世界では、かつて「良いものを作れば売れる」という時代があったせいか、プロダクトアウトで、先に製品を完成させてしまうケースが多く見られます。もちろん、全く新しい概念の製品については、ユーザーもニーズに気付いていないので、「世に出してみて反応を見る」ことが必要になります。
SONYやアップルの新商品は、このスタイルで大成功することもありますが、大企業には強力な「マーケットリサーチ」の部署や関連組織があります。
経験豊富な専門部署を持たない製造会社で自社商品を製造・販売する場合は、少なくとも、「作り手の感覚重視で作った製品は、なかなか売れにくい」という事を理解しておく必要があります。
問題2:「製品」を「商品」にしないと売れない
製造業者が自社製品を宣伝すると、「この製品はxxxという特徴があります」というように、主語を全て自分側にしてしまう傾向があります。
これを「Me(ミー)メッセージ」と言います。
- 私は、xxxです
- 私は、xxxができます
という自己紹介と同じで、主語を自分側にしてスペック情報を発信しても、なかなか相手に伝わりません。「良いものを作れば売れる」という時代に比べ、ものが余っている現代は、「ユーザーは貪欲に想像力を使わない」時代です。
主語をお客様、ユーザーに置き換えて、
- あなたは、この商品を使うことで、xxxできます
- あなたが、この商品を使うと、xxxせずに済みます
というように、メッセージを全面的に組み替えて提示しないと、ユーザーは「自分にとって有益な製品だ」と想像してくれないと思ってください。
この、「スペック」を、「ユーザーの幸せ」または「不幸の回避」に変換して表現することが、「セールス」によって、「製品」を「商品」に変えるということです。
「製品」が「商品」になることによって、ようやく販売の段階にたどり着きます。
製品開発は困難なものです。しかし、「セールス」も同様かそれ以上に困難なものです。むしろ、製造の専門家にとっては、得意でない分、セールスこそ課題と言えます。少なくとも、製造者が片手間に対応して結果が出るものではありません。
プロダクトアウト型の製品がすでにある場合の対処
「現状を少しでも改善したい」と願っても、具体的な行動に移せる人はほんの一握りです。そんな中、「自社製品の開発」という行動をする姿勢は素晴らしいと思います。「プロダクトアウト型の製品は売れにくい」と言いましたが、せっかく開発した商品があるのであれば、全力で「セールス」すべきです。
セールスには、
- 広告の知識
- 発信手段
が必要です。
様々な切り口によって、製品の持つ特徴を、「ユーザーにとってのメリット」に変換して提示していきます。
ユーザーは、絞り込んで想定する必要があります。いろいろな人に買ってほしいからと言って「皆さん!」と呼びかけても、誰も自分へのメッセージとは捉えず、聞く耳を持ってくれないからです。絞り込みは、広告の第1段階である、「メッセージを自分事として聞いてもらう」ために有効です。
これらが広告の知識です。
そして、情報の発信手段の一つとして、動画を是非、活用してください。
サンプル動画紹介
横浜でPA業務をベースに、音空間のコンサルティング業務、音に関連する商品のレンタル及び販売業務を行っている、株式会社ドリーム様の自社製品PR動画をご紹介します。
特殊な性質の「対話サポートスピーカー」紹介の第1弾として、「調剤薬局の受付窓口向け」に動画を設計してみました。
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