原鉄道模型博物館
横浜の原鉄道模型博物館に行ってきました。
以前は館内撮影禁止だったのですが、後に撮影できるようになりました。
鉄道ファンや鉄道模型ファンはわざわざ遠方から来るような施設ですが、比較的地元にあると(しかも自分が勤めている会社の、道を挟んだ反対側にある)かえって行かないものです。それでも先日、原信太郎館長が亡くなったというニュースを見たのをきっかけに、初めて行ったのです。
施設自体はそんなに大きくありません。1フロアにいくつかの小部屋、館長が昔撮影した貴重な16mmフィルムの上映室、メインの巨大ジオラマ、という感じです。
最初にいくつかの鉄道模型が展示してあるのですが、そこで初めて、原信太郎館長という人がコレクターではなく、鉄道模型の製作者だったということを知りました。個人のコレクションを展示しているおもちゃ博物館とごっちゃになっていたのです。
展示ケースの中に、小学6年生の時に初めて制作した鉄道模型というのもあります。正直言って、小学6年生でこのレベルのものを作られては、太刀打ちできません。自分はモデラート言う訳ではありませんが、自分で制作する映像作品に使うため、各種の模型を作ることがよくあります。まず、この小学6年生模型で完敗を認めざるをえません。
普通、模型というと、まず思い浮かべるのはプラモデルです。でも実はプラモデルというのは自分で作ったとは言っても、下地をすべてお膳立てしてもらって、工作としては最後の仕上げ部分を体験させてもらっているだけなんですね。ところが、鉄道模型のある分野では、ほとんどすべての部品を精巧に手作りしてるんですね。
そこまでで十分感服していたのですが、館内のメインである巨大ジオラマの横にあった解説を読んで、さらに驚きました。いま、目の前を走っている列車、これはNゲージとかHOゲージとかと同じ構造の鉄道模型ではなかったのです。
子供のとき、Nゲージという小さな鉄道模型を買ってもらったので知っていたのですが、一般の鉄道模型というのは、線路に電気を流しておいて、それを車輪から受け取ってモーターを回しています。ちなみに線路を触ると軽くビリビリ感電します。
ところが本物の電車というのは、線路の上の架線に電気を流しておいて、列車側のパンタグラフを接触させることでその電気を受け取って走ります。目の前のジオラマには、線路の上に本物と同じように架線が張られています。てっきりそれはリアルに見せるための飾りだと思っていたのですが、走り回っている鉄道模型は、単なる外見が精巧に出来ているミニチュアではなく、本物と同じように、その架線に流れる電気をパンタグラフから受け取って走っていたのです。解説によると、時々、本物のパンタグラフと同じようにスパークして小さな火花が出ることがあるそうです。
それだけでなく、普通の鉄道模型は電圧によって速度を変えるだけで、構造的に本物の列車のように、加速後に惰性走行ができません。それもここの模型は工夫していて、本物と同じように惰性走行できているそうです。確かにモーターが回転して加速している時と、巡航速度に達してから惰性で走るときで、音が変わってリアルに思えます。
解説を読むと、他にも見えないところで本物志向の工夫がしてあるそうです。
来館者を観察すると、子供は興奮してハイになっているのは自然だとして、会話から察すると鉄道に詳しくはなさそうな、大人の来館者たちが、結構食い入るように模型に見入って、感心しているのを見て、本気の迫力というのは、趣味の異なる人にも伝わるものだということがわかりました。私も特に鉄道好きと言う訳ではなく、鉄道模型ファンでもありませんが、工作にやる気が湧いた状態で帰ってきました。