セミほど長生きの虫はいない

大体、虫というのは寿命が短いものですが、実際よりも儚く思われがちです。春先に生まれてきて、夏の終わりには死んでしまうイメージを持っているのが普通だと思います。

現に多くの昆虫は、1年で寿命が尽きてしまいます。しかし、イメージの面白いところは、特に寿命が短いと思われる虫として、多くの人がセミを思い浮かべることです。

夏の一週間大音量で鳴き続け、飛び回って、コロリと呆気なく死んでしまうセミは、あっという間に終わってしまう夏休みの記憶とあいまって、無常感を強調します。セミの一生は太く短く生きる象徴のようにとらえられがちです。でもそれは勘違いです。短いのは成虫として飛び回る期間であって、例えばセミの仲間は7年とか13年とかの長期間、幼虫として土の中で過ごします。別に冬眠するようにじっとしているわけではありません。陽の当たらない暗い土の中で、大して楽しいことも無いだろうに可哀想、と思うのは人のエゴに過ぎなくて、十分活動的に生きているわけです。あの小さな体で、犬や猫と同じ寿命な訳ですから、驚異的です。羽化してセミになることを完成形と考えるから、その期間の短さを哀れに思うのであって、もう十分に居心地のいい世界を満喫した後の最後の成虫生活と思えば、むしろ、これでもかという盛りだくさんの人生を味わっている贅沢な虫です。

ちなみにシロアリの女王は100年も生きるそうです。ただ、長生きするのは女王蟻だけで、他の役割の蟻は通常の寿命だそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です