即興工作
陶芸用の粘土を使って何かを作ろうと思い立って、一日がかりで粘土細工していました。実用品である必要はないのですが、一応、焼き上げた後は苔を植える鉢にする想定です。ただの鉢にするのもつまらないので、古代遺跡をモチーフにしています。しかし、いわゆるジオラマなどの模型を作るわけではなく、デフォルメして「それらしい」ものにする加減が難しく、今のところ、非常に中途半端な模型のようになっています。まあ、練習中ということで。
粘土細工というのはストレス発散にもいいと聞きますが、精神疾患の治療の一環としても取り入れられることがあるそうです。最近はパソコンばかり使うせいでしょうが、ペンで文字を上手く書けないほど自分の手先が不器用になっていて、絵を描いたり、粘土細工したりということは、いいリハビリになりそうです。
それから、通常の工作はある程度の設計図というか図面の類を用意してから作ります。今回の陶芸粘土工作は、参考の写真を見たりしながらも、自由に思いつきで進めよう、と思っていたので、図面の類は用意していません。即興的な感覚の訓練にもなりそうです。
知り合いのプロ造形家が以前、「きっちりと図面を書いてしまうと、それに縛られて、かえって上手くいきませんよ」と教えてくれたことがあります。ちなみに彼の作る映画の小道具などは、いつもすばらしい出来栄えです。確かに機械を作るわけではないので、工作に大事なのは細部の正確さではなくて、全体のバランスです。通常の工作というのは、ミリ単位で正確に部品を作っても、組み立てていくうちに少しずつ誤差が発生してくるものです。最終的には誤差による隙間を埋めたり、余分を切り取ったりして辻褄を合わせることになります。であれば、最初から個々の部品を正確に作ろうとせずに、大胆にバランスだけ見て作り上げていくほうが、早くて、結果として良いものができることが多いのも事実です。図面を書くのは経験が少なくて、自信がない段階の作業なのかなあ、という気がします。
そういう意味でも、柔らかい粘土でものを作るのはいい訓練になりそうです。