代々木ゼミナールの実力

大手予備校の代々木ゼミナールが大幅に縮小するそうです。

高校を卒業してから一年間、入試対策として代々木ゼミナール大船校というところに通いました。25年以上前の話です。

この一年間だけは、趣味の自主映画作りも一切やらず、予備校での知り合いも一人も作りませんでした。

私の場合、高校の授業とその延長としての受験勉強では、全く受験のための学力は足りなかったのですが、予備校というところに行って、授業の内容ややり方に軽い衝撃を受けました。

はっきり言うと、成功報酬で稼ぐ予備校講師と公務員の教師では、「教えて理解させる実力」が違いすぎます。 極端に言えば、公務員教師は、時間割りに合わせて授業を進めれば目標は達成しているわけで、生徒が理解していようがいまいが、給料は変わらないのです。一方、予備校の講師は人気が無ければ馘になります。人気とは単純に成果を出せるかどうか、生徒を大学受験に合格させられるかどうか、にかかってるのです。

基本的に勉強が苦手な、やり方が分かっていない生徒に学力(あくまでも受験用ですが)を付けさせるためには、まず、やる気を出させる、興味を持続させる工夫が必要になってきます。ほとんどエンターテイナーの領域です。実際に、まるで演芸場の落語のような口調で授業を進める講師もいました。かならず、前日の阪神タイガースの試合の総括から話始めて、強引にそれと授業を結びつけて笑いを取る講師もいました。そして術中にはまれば、驚くほど授業が理解できるのです。

私の実感としては、身に付くのに高校三年間かかる事は、予備校なら一年間で済むのではないかと思います。 予備校講師のほとんどが、大学受験のための浪人を経験していることも大きいと思います。ちょっとした馬鹿話で笑う、という事がすごく楽しい、ストレス解消になる、という事をよく知っているのです。参考書を開いて、ノートを開くというエネルギーすら節約して学習したいという欲求に応えるような教材を作って授業で使うのです。トントン拍子に進学して教師になった人は、「勉強ができない」という事自体を「理解できない」のではないでしょうか。

高校時代の授業はほとんど記憶にないのですが、いまだに予備校の授業内容や講師の口調などは覚えています。 受験生の数が減少して、予備校の業界も再編、縮小されるのでしょうが、 これを期に優れた講師の技術を他の分野に応用できないものかなあ、と期待します。

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