カメラマン1人で2台のカメラを使って舞台を撮影する方法(カメラの設置)
撮影・編集のコツ
多くの舞台撮影はぶっつけ本番
舞台撮影が映画撮影と大きく違うのは、やり直しがきかないことです。
「今、うまく撮れなかったからもう一回やって」とは言えないのです。そうすると、
「ここはかっこよく撮れているけど、ここは失敗してる」
というのはダメで、とにかく
「大きな失敗は1つもない」
ということが重要になるわけです。
私が依頼されてきたのは、例外なく低予算が条件だったので、撮影は一人で行っていました。
カメラは2台使用します。仕上げの事を考えると、この2台撮りが一番安全な気がします。
大きな失敗を防ぐために2台のカメラでお互いをバックアップしながら撮る感覚です。
一人で撮影する場合は、2台が限界でしょう。
カメラ2台の設置位置
2台撮りの基本は、「固定カメラ」と手元で自由に動かせる状態の「アップ用カメラ」の同時撮影です。
このとき注意すべきなのは、カメラの位置です。
大抵の場合、舞台の撮影は、観客の邪魔にならない位置から行なわれます。
カメラの後ろに客席がある場合、その席からは舞台が見にくくなるため、観客を座らせることが出来なくなります。
つまり、収容人数が減るわけで、これは、公演の運営上、経済的な損失になってしまいます。
そのため、撮影は客席の後ろか、最後列から行なうことになります。
私は客席から撮影する場合、4人分の席を確保してもらっています。
自分が座る席の前に1台のカメラを置き、右隣にもう1台を設置します。それぞれの両隣は空けておいて、観客の荷物などがカメラに当たらないようにするためです。
まず、注意するのは、前の席に観客が座った時に、カメラを遮らないようにすることです。
これは、劇場の傾斜などにもよるので、実際に自分が前の席に座ってみたりして、確認することが必要です。
大抵の場合は、カメラを高くすることで対処できますが、できれば、自分の正面の1席も、空席になるように手配してもらうと理想的です。
2台のカメラのうち、アップ用のカメラは自分の正面に置きます。
この時に使う三脚は、出来るだけカメラを滑らかに動かせるものを用意します。
残念ながら、安いビデオ用の三脚の多くは滑らかに動かせません。購入する際に注意することと、手入れや調整、それに練習によって滑らかなカメラの動きを実現できるようにしてください。
撮影者が複数いる場合は、固定カメラの位置を自由に決められます。
しかし、一人で2台のカメラを使う場合は、固定撮影のカメラが置ける場所は自分の右斜め前の手が届く位置に限られます。
固定カメラは撮影中、ピントも変えず、角度なども一切動かしませんが、舞台上の照明の変化に合わせて「明るさ」だけは手動で調整する必要があります。
明るさの調整は、カメラのLCDを見て行ないますので、LCDを確認しながら調整するには、固定カメラは自分の右側に置く必要があります。
下の写真が、実際に一人で2台のカメラを使って舞台を撮影するときの配置です。
(左側の低い位置のカメラがアップ用。右側の高い位置のカメラが固定用。右手を伸ばすと操作出来る距離に配置する)
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