創作アイデア・ロトスコープアニメーション

岩井俊二監督の新作映画がアニメーションということで話題になってます。
岩井作品特有の、軽やかで幻想的な映像は、亡くなってしまった撮影監督の手によるものだった部分が大きい気がするので、かえってアニメーションの方が、「岩井作品らしさ」が出るような気がします。

さて、このアニメーションですが、見たところ、全編に渡ってロトスコープの手法が採られているようです。
ロトスコープの基本は、実写で撮影した映像を、連続する静止画として書き出し、それをなぞって描き起こした線画で動画を再構成するものです。

手法自体はとても古いのですが、これは、使い方によっては面白いと思います。

少し前に「悪の花」というロトスコープアニメーションが放送されたようです。私は放送自体は観ていないのですが、ネットでサンプルのシーンをいくつか観ました。
実写映像と、それを元に線画のアニメーションにした映像を比較していて、当然のようにそれは一致しているんです。
投稿された感想で
「実写のままでいいじゃないか」
という意見が多数見られました。
まあ、そう思うのも無理はありません。

実際には、実写の映像をスムーズに繋ぐために、照明やカラーバランスの調整が必要で、それが撮影時間、編集時間を膨らませる原因の一つになっています。
アニメーションにする事によって、これらの調整時間が少なくなっている事は想像できます。

ただ、アニメーションに変換する前提であるなら、もっと大胆なやり方をしても面白いと思います。
具体的なアイデアは、
・人物の撮影は全て、何もないスタジオで撮影して、
アニメーション化するときに、用意しておいた背景の映像
と合成する
・ティム・バートンの人形アニメのように、
主人公とスタイルが同じ俳優を複数用意しておいて、
同時に別々の場所で、それぞれ別のシーンの撮影を進める
といった具合です。
(役者のやりがいとか、撮影現場の芝居の醍醐味とかは、完全に無視した、あくまで単なるアイデアです)

私はロトアニメーションのメイキングを見て、中年の俳優だけで学園ものの撮影をした素材を元に、少年少女の顔に修正しつつアニメーションにする、という企画を作ったら、撮影現場も面白そうだな、と思いました。

あるいは、桜の季節になるといつも、この景色のなかで撮影するような作品を準備しておけば良かったな、と後悔するのですが、とりあえず背景映像として桜を撮りためておいて、あとからそれに合成する人物シーンを撮れば、作品が作れるかもしれない、と思い始めています。

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