低予算で本格B級モンスター映画を作る方法(6)・保安官のバッジ

B級モンスター映画と言えば保安官

レンタルビデオで人気のB級モンスター映画ですが、多くの場合、それらは劇場用の映画ではなく、テレビ映画として作られたものです。日本ではテレビの単発ドラマは、ほとんどがサスペンスドラマばかりなので、DVDにしてヨーロッパにも売り込もう、などということはできないわけです。

その点、何だかんだとバカにされつつも、本家のアメリカでテレビ放送された後、レンタルビデオ用として世界中をマーケットにしているB級モンスター映画には、大きな魅力を感じるのです。

さて、そのB級モンスター映画では、多くの場合、主要な登場人物に警官や保安官が出てきます。特に保安官、というのが何となく警官よりも地元の住民に溶け込んでいる感じがして、田舎町を舞台にしたドラマにしっくりくるのです。

今回の企画でも、初めの企画会議で宣言したように、主人公は保安官です。では、映像の中で主人公が保安官であることを示すためのものは何か。当然、制服であり胸のバッジな訳です。

今回は、10分間のショートムービー企画という事もあり、極力、小道具作りの負担を小さくしようと心掛けてはいますが、いかんせん工作系映画を標榜する我がMVG作品であるからには、ただ買ってきた小道具を使う、という事はできないのです。

と言いつつ、保安官のバッジは形状が面倒そうだったので、100均ショップ等で子供向けのおもちゃを見つけて、軽く改造するくらいに留めようとは思っていました。ところが、一通り、自分の行動範囲を回った結果、全くそんなものは見つかりませんでした。で、通常モードに戻って、インチキ工作という訳です。

まずはネットで見つけた保安官バッジの写真を見ながら、頭の中で簡略化しつつ、イラストレーターで実物大の型紙を作成して紙出力。これを厚紙に仮止めして、一緒に切り抜きます。

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次に登場するのは、こんな画鋲です。毎度、材料を仕入れるのは100均ショップです。

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表面には、粘土を盛ったり、筋を入れたりして、適当なモールドを付けます。本物のバッジを見ると、中央には、その土地ならではの野生動物とか、正義の象徴の図形が入っていることが多いようですが、うちの地元では熊もいないし、結局、区の花であるアヤメをあしらってみました。全く意味はありません。補強のために、乾燥後、ニスを二度塗りします。

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次は文字の部分。当初、粘土に細かく彫刻するつもりでしたが、始めた途端、「これはやってられない」と判断して、カラープリント作戦に切り替えました。初めに作ったイラストレーターのデータを使って、カラー設定をして紙出力します。

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はさみとデザインナイフで切り抜いて、バッジ本体にボンドで貼り付け。

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工作としては本来、ここでパテを使って細かい隙間を埋めて、整形するべきなんですが、今回は工作がメインでは無いので、映像的にはこれ以上不要と判断します。

粘土部分に金色の塗装をして、ほぼ完成。

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