低予算で本格B級モンスター映画を作る方法(18)・洞窟内の戦闘機残骸(その2)
プラモデル VS 粘土細工 ミニチュアモデルの工作
「洞窟内に放置されていた旧式の戦闘機」の機種を震電に決定はしたものの、これをどうやって作るか、という問題がありました。
通常に考えれば、プラモデルを組み立てて撮影し、合成するというのが妥当な方法です。
ところが問題は、これが「新品の戦闘機」ではなく「戦闘機の残骸」であるという点です。当然、プラモデルは綺麗な機体を再現していますから、残骸風にするにはかなり大掛かりな改造が必要になります。
イメージとしては、主翼も折れていて、胴体のカバーもあちこち外れていて、錆びたエンジンが見えていたりする状態なのです。大きさもある程度(1/48くらい)は必要です。せっかくプラモデルを買っても、かなり大胆に切断したり、穴を開けたりした上に別のパーツも手作りで作ることになります。
ここで白状すると、実は私は、工作は好きなのですが、プラモデルは全然得意ではないのです。そもそも作り方の基本を良く知りません。最近では中年のためのプラモデルの入門書があったりして、書店で立ち読みすると、プラモデルを作ってみたくはなります。
しかし、本の内容を読むと、部品の取り外し方からして、知らなかったことだらけで、もし、プラモデルを使って改造キットを作るとなれば、この基礎からやり直さなければなりません。それと単純に、「せっかく綺麗な状態に作れるようになっているプラモデルの部品を切り刻むのが、もったいない」という感覚もあります。
そこで、どうせ普段、工作に使う主な材料は石粉粘土とアクリル絵の具なのですから、この戦闘機も同じ材料で作ってしまえ、ということにしました。
さすがにフリーハンドというわけにもいかないので、図面を入手してプリントし、厚紙で骨組みを作ります。
骨組みを組み合わせて、そこに粘土を盛り付けます。骨組みは紙なので、直に粘土を盛り付けると、水を吸ってしまいます。紙製の骨組みには、あらかじめ、ラッカースプレーを吹き付けておきました。
ここからは、ネットにある、モデラーの方々の作例を参考に、粘土を削ったり盛ったりしていきます。ジェット戦闘機のように見えますが、震電は後ろにエンジンとプロペラが付いているのです。
結論から言うと、全体バランス、細部共、本物の震電とはかなり変えてしまいました。特徴的な胴体横の吸気口をデフォルメするために胴体を太くしたり、エンジンの位置もその他装備も「何となく」のデタラメです。
後は、いつもの様に塗装で何とかするしかありません。まずはへこんだ部分に黒で下塗り。
ペタペタと水性アクリル絵の具で色を重ねていきます。
操縦席の窓枠は、前部の枠だけ残っているという想定。写真を見ながら、目分量で厚紙を切り抜きます。段々と適当になってきます。
模型作りが最終目標であれば、もうちょっと正確に作るべきなのでしょうが、あくまでも映画の小道具です。撮影に使えるレベルであればOKと割り切って作っていきます。
震電の特徴である、機種部分の水平尾翼はプラ板の2枚合わせ。最近、茶色の絵の具で錆を表現するのが気に入ってます。
両翼は途中までしかありませんが、撮影用のミニチュアとしては、これにて完成とします。
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