低予算で本格B級モンスター映画を作る方法(22)・怪物の卵
モンスター映画 定番のオチと言えば
B級モンスター映画の特徴の一つは、展開のシンプルさでしょう。ひねって、あっと驚くオチ、というものも作れるとは思いますが、「ビックリストーリーコンテスト」に出品するわけではありません。「よくある展開」の安定感は、様式美に近いものがあると思うのです。
そんな「よくある展開」の中でも定番なのは、退治した怪物の卵が残されていた、というオチです。あえて隠すほどのオチではないので公表してしまいますが、今回の「7日間でB級モンスター映画を作る」のラストもこれです。今回は特に短編なので、独自の雰囲気を新たに作り出す暇が無いんです。B級モンスターといえば保安官、ラストは卵。その王道はあえて踏襲して、制作手法やガジェットにMVGらしさを出そう、という狙いです。
初めの脚本では、最後に「卵が割れる」と書いてあります。自分で書いたんですが、この「割れる」という仕掛けが意外と面倒です。もちろん、丸一日がかりで作るとしたら色々と手は思いつくのですが、私は逆に、それでは工夫が足りない、と感じてしまうのです。
たった数秒のためにエネルギーを費やすことは、創作者として正しい選択だ、という考えはどんな素人でも思うことですが、大事なのは、そのために犠牲になるお金や時間があるということです。多くの場合は、その無駄なエネルギーの注ぎ方のせいで、肝心の「完成品のクオリティー」が低下してしまいます。最悪の状況は「未完成に終わる」という事です。これが、誰かから受注しているのではなく、自主的に制作している作業の最大のデメリットです。
ですから、できるだけ労力を少なくして必要な効果を出し、節約した時間で別のところにエネルギーを注ぐ、という心掛けが重要だと思うのです。
結局、「割れる」という描写をやめて、卵がコトコトと揺れる、という描写にする事にしました。そうなると、卵の殻の構造を作る必要も、撮影用に予備をいくつか作る必要もありません。フォルモ粘土で表面を造形してニスを塗って処理しました。
これまで今回の作品で、いくつかの小道具等をグリーンバック合成して気付いたことは、作った模型の塗装に注意が必要だということです。
模型としては、完成状態の塗装をするべきで、実際にそうしてきたのですが、グリーンバック合成というのは、画面の中の緑色の部分を透明に置き換える処理をすることになります。当然、緑色の塗料は使えないのですが、緑に塗っていなくても、例えば茶色系の塗装をしても、合成してみると、その中には緑の要素があって、若干色が抜けて、被写体が半透明になり勝ちだったりするのです。実を言うと、合成したラジコンの車やハンターの上着は、合成によって少し色が抜けてしまっています。
そう考えると、模型の色はきっちりと完成状態に塗るよりも、あくまでも合成しやすい色にしておいて、編集ソフトで合成後、色の調整を施した方が上手くいくのかもしれません。これも、「映像作品用の模型作り」において、新しい工夫の一つになり得ます。
今回の卵は、茶色にしたかったのですが、あえてニスの色だけで仕上げておいて、画面上の調整で茶色にしました。
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・1日目 企画会議
・2日目 シナリオ作成
・3日目 背景撮影
・4日目 絵コンテ作成
・5日目 グリーンバック撮影
・6日目 編集1
・7日目 編集2・仕上げ
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