その特技、特撮に使えます

「映画」というもの自体、「総合芸術」と呼ばれます。

芸術というと大げさに聞こえますが、実際に様々な要素で成り立っています。

 

そう聞くと、「映画を作るときには、全ての要素を身に付けておかなければならないのか」と勘違いする人がいますが、逆です。

たくさんの種類の要素を活かす可能性があるのが、映画作りと言えるのです。

 

これは、特撮映画にももちろん当てはまります。

 

特撮は、言ってみれば、映像のちょっとした「手品」です。

その手品のために応用できる技術は無数にあります。

 

例えば、「写真」は分かりやすいでしょう。

目の前にあるものを切り取る技術と感覚は、映画そのものです。

写真を趣味にされている人にとっては、「瞬間を切り取る」写真に比べて、「一定の時間を切り取って、さらに一定の時間を表現しながら形にする」映画は、一味違った魅力を感じるはずです。

 

そして、写真の特徴である「枠の中で世界を表現する」という感覚は、特撮映像を作る上で大いに役に立つのです。

 

「絵画」や粘土、紙工作などの「造形」は、特撮の花形であるミニチュア製作にうってつけの技術です。

普段、「盆栽」の趣味がある人も、ミニチュア情景(ジオラマ)作りの名手になれるでしょう。

 

「手芸」も同様です。特に布などの柔らかい素材を使って、ヌイグルミやマスコットなどの立体物を作る技術は、ミニチュアモンスターの製作などで、大いに役に立ちます。

 

ミニチュアなどを作る際には「料理」の技術や道具も使えます。

実際、本格的なモンスターマスクを作ったりする際は、素材を泡立ててオーブンで焼くなど、ほとんどケーキ作りと同じ道具や手法を応用します。

 

「機械工作」や「木工」が得意であれば、各種大道具や小道具の頼もしいスタッフになるでしょう。

 

もちろん、「芝居」「パントマイム」「スポーツ」などが得意であれば、出演者として有利なのは言うまでもありません。

 

私は「趣味として特撮映画作りをすると楽しいですよ」と提唱していますが、理由の一つは、このような間口の広さにあります。

とても多くの人が自分の特技を活かせる上、「映画製作」という作業を通じてネットワークが広がる楽しさが、圧倒的だからです。

 

面白いアイデアが思いついたとしても、なかなか、普段の生活の中でそれを活かす機会は無いかもしれません。

でも、特撮映画の中で活かすことによって充足感を得られます。

 

逆に、変わった発想が苦手だという人は、他の人が考えるアイデアが使われた特撮を見ることによって、感心しながら楽しむことが出来るでしょう。

知的好奇心が刺激されたり、目から鱗、という体験をすることは、人間にとって快感だからです。

 

日本の特撮の神様、円谷英二は、食事中に味噌汁の中で味噌が対流しているのを見て、そのアイデアを特撮映画に活かしたといいます。

 

特撮的なものの見方さえ身に付けると、全ての特技は特撮という楽しい遊びに応用できるのかもしれません。

 

 

デジタルコンテンツ展開第2弾の紹介

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電子書籍版「B級怪物映画制作」に続いて、ようやく映像版「B級怪物映画制作」のリリース準備が整いました。

構成はほぼ電子書籍と同じですが、対談映像のフルバージョン、このために一手間掛けて撮影した、メイキング映像をふんだんに使いつつ、ナレーションによる解説を入れています。

合計2時間58分というボリュームのムービーデータです。

PayPalまたはカード決済ができるGumroadからの販売はこちらから。

 

項目自体は下記の電子書籍版を参照してください。

こちらが、デジタルコンテンツ展開第1弾

B級怪物映画制作 7日間でB級モンスター映画を作る

観て楽しむだけの映画から、作って楽しむ映画へ。
果たして7日間でB級モンスター映画は作れるか?

これまでも趣味としてのDIY映画を提唱してきた著者が、今回、実践編として制作に挑戦したのは、レンタルビデオでも根強い人気のB級モンスター映画。

たとえ低予算でも「本格エンターテイメント創作法」と「邪道映画術」を駆使すればここまで出来る!従来のインディーズ映画の殻を打ち破る「参加型映画」の提案として前代未聞のプロジェクト。

ストーリーデザイナー:今井昭彦氏による特別レクチャーも丸ごと掲載。「面白いストーリーの作り方」の理論から、シナリオ化、映像化、小道具・クリーチャー制作などの工程を、豊富な蔵出し写真と一緒に全て見せます。

巻末には特別付録として、オリジナルショートムービー「暗黒魔獣 ワニガメイーター」の動画もリンク。
クリエイターマインドを持つ全ての人を刺激する一冊です。

学生時代から自主映画を制作してきた著者は、映画制作という趣味を楽しみながらも、「なぜ、これほど面白い遊びが広まらないのか?全ての環境は整っているのに」と疑問に思っていました。そして、その理由の一つが「映画制作はゼロから作り出す要素が多すぎるために敷居が高すぎる」と思い至ります。

一方、近年の「大人の塗り絵」「手芸キット」の人気商品は、同じ創作系の趣味でありながら、すでに下準備が出来ているため、仕上げの工程を気軽に楽しめるものです。創作欲を持った人の入門用商品として優れています。

そこで、「映画制作の入門キット」として「すでに完成した映画に、後から主演する」ということが可能な作品を作れば、極めて少ない負担で自分が映画に出演する体験を楽しめるだろうと考えました。
その第1段階として、「後から出演者を差し替えられる仕様での、ショートムービー制作」を開始したのです。

本書は、その制作過程をリアルタイムで記録してまとめたものです。7日間は以下の内訳です。

・1日目 企画会議
・2日目 シナリオ作成
・3日目 背景撮影
・4日目 絵コンテ作成
・5日目 グリーンバック撮影
・6日目 編集1
・7日目 編集2・仕上げ

このほか、工作系映画ならではの、数々の小道具制作のメイキング解説などを、各章に「番外編」として掲載しています。

一つのプロジェクトの読み物として楽しむだけでなく、本格的なストーリー系創作者を志す方、工作系創作者の方にも、参考になると思います。

 

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