版画でアクリル絵の具を使う場合の注意点（はがき表面が剥がれる問題）

DIY特撮映画の基本の一つは工作です。

そういう訳で、日頃から工作をする機会が多いわけですが、今回、年賀状用に版画を作ったときに知った注意点をシェアしたいと思います。

版画は木やゴムの板に彫刻をして、インクや絵の具を塗り、紙を押し付けて跡を写し取る手法です。

多くの方は学校の授業などで、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

今年は酉年ということで、鳥の図案を考えたわけですが、そこは古生物ファンとしては、ドイツ産の有名な始祖鳥をモデルにしました。

紙の裏を鉛筆で塗りつぶして、即席のカーボン用紙を作り、100円ショップで買ってきた版画用のゴム板に下絵を写し取ります。

それを、彫刻刀を使って、サクサクと削っていくわけです。

木版が特有の木目の面白さは出ませんが、細かい彫刻はゴム板の方がやりやすいようです。

版木に塗る塗料は、墨や専用インク、絵の具など様々ですが、色々な情報を調べても、概ね共通するポイントがあります。

それは、「塗料を水っぽくし過ぎない」というものです。

例えば、水性の絵の具で木版画を刷る場合、絵の具は、絵を描くときのように水で溶いては良くないとされています。

綺麗に刷るコツとして、絵の具に加える水は最低限にして、場合によっては粘り気を強くするために、絵の具に糊を混ぜることが勧められたりしています。

確かに、彫刻の細かさを表現するためには、かすれるかかすれないかというくらいの加減で、紙に刷られるくらいが丁度いいと思います。

そのためには、糊を混ぜるのが有効なのです。

今回、絵の具は水性アクリル絵の具を使っています。

この絵の具は、水で溶いたり、筆を洗うのは水でいいのですが、乾くと耐水性があるという特徴があります。

また、ガラス面に塗れるほど、食い付きがいいので、相手の素材を選びません。

絵画に使うときも、水彩画ならではの手法や、油絵的な手法も使い分けられる、かなり万能性が高い絵の具なのです。

念のためにネットで調べたところ、版画にも問題なく使える、とのことでした。

唯一、書かれている注意点は、やはり「水で溶きすぎないこと」という基本的なことでした。

版画を彫刻し、何度か紙に試し刷りをしました。次に、去年あまった年賀はがきにも試し刷りをするところまでは問題ありませんでした。

しかし、本番で今年の年賀はがきに刷ったところ、重大な問題が発生したのです。

思いの外、今年の年賀はがきの表面は弱い

練習と同じ要領で刷ると、はがきがゴム板からなかなか剥がれず、表面が版木に薄くちぎれて残ってしまうことが分かりました。（顔や羽の部分があちこち剥がれている）

去年のはがきも今年のはがきも、同じタイプのインクジェット用ですが、今年のはがきの方が薄いような弱いような感触があります。もしかしたらコスト削減のために品質を変更しているのかもしれません。

はがきはそもそも版画の用紙ではないのですから、文句を言う筋合いはないのですが、今回の年賀はがきに関しては、何とかしないと困ります。

何度試しても、版画として理想的な絵の具の溶き方をすると、接着剤を付けてはがきに貼り付けるような形になってしまい、剥がすときにはがきの表面が剥けるのです。

解決策としては、絵の具を比較的薄く溶くことと、はがきを剥がすときにゴム板の方を大きく湾曲させることで、はがきへの負担を減らして表面が剥けてしまうことを防ぎましたが、版画としてはやや不本意な出来になってしまいました。

同様の事例が書かれていないか、ネットでざっと調べましたが見つからなかったので、役に立つこともあるかと思いこの記事を書いています。

別の裏技的解決方法をご存知の方があれば、お教えいただけると幸いです。