特撮=ヒーローもの、という勘違い
「特撮」というと「特撮ヒーロー」と「怪獣映画」が全てと思っている人がいます。
結論から言うと、全然違います。
「現実的な世界をそのまま撮影するのが普通の映画で、非現実的な舞台を撮影するのが特撮映画」でしょうか?
これも疑問です。
ヌーベルバーグと呼ばれる時代、大掛かりな映画スタジオでの、「窮屈なしきたり」に従って撮影をする体制に反発した人たちがいました。
- 町のシーンはオープンセットでなく、実際の町で撮れば?
- アパートのシーンはセットでなく、実際のアパートで撮れば?
という具合に映画を撮影する流儀であればまだしも、通常の映画撮影はかなり特殊な環境で撮影されています。
庶民的な団子屋のシーンも、撮影は、天井が無くて証明やマイクが無数に仕掛けられたセットで行われます。
これは、相当に非現実的な状況と言えます。
見方によっては充分「特殊撮影」に思えます。
冷えたビールを飲む場面、実際にはぬるい麦茶とソーダ水を混ぜたもので撮影したりします。
その際に、コップの表面に霧吹きで水滴を付ける事で、冷えている状況を表現しているとしたら、「特殊撮影」でなくてなんでしょう?
私は、特撮の定義として、
「本当はxxなのにxxに見える」
という場面を作り出す工夫の全て、と説明しています。そうすると、映画全体が特撮のようなものであって、実際には境目が存在しない、ということが分かってくるのです。
ですから、「自分が作りたいのは特撮映画ではなくて、普通の映画」という認識は、ちょっと視野が狭すぎると言えるのです。
特撮技術は特撮映画だけのためのものではありません。
いわゆる、「普通の映画」の中で表現したいと思っている場面に、
- 場面を再現するのが危険
- 物理的に撮影出来ない
- 撮影対象がそもそも現実に存在しない
- 撮影はしたものの、何らかの問題がある
という場合に、解決策として「特撮」があるということです。
つまり、少なくとも特撮技術の知識は、映画製作における必要条件であると言えるのです。
特に資金面で制約が多いDIY映画、自主制作映画においては、作品を完成させるために積極的に活用すべきなのが、特撮技術なのです。
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