実験としての映画制作

「○○時間で映画を作る、とかいう企画はクソだな。観客には制作時間なんて関係ないんだ」という記事を見ました。

まさにMVGの「7日間でB級モンスタームービーを作る!」という企画もこの人の判断からすると、無意味な企画という事になるんでしょうが、誤解があるといけないので、一応、弁明しておきます。

「観客には関係ない」とうところには、全く異論はありません。映画の宣伝で「製作費xxx億円!」と謳うのと同じで、「知らんがな」という話です。

ただ、「7日間~」は「7日間で作ったんだから、このくらいのアラは勘弁してください」という観客向けのアピールをしてるつもりは毛頭無いんです。

そうではなくて、作り手側、正確には「映画を作ろうとしているけれども、時間は掛かりそうだし大変だろうなあ」と躊躇している人に向けて、「このレベルのものだと、正味7日間で完成できるよ」ということを実例をもって示していて、「あなたも作ってみませんか?」と提案しているわけです。そういう事が、電子書籍の「7日間でモンスター映画を作る!」を読んでいただければ分かると思います。

実は、この本自体も別の実験を兼ねて書いたものです。

科学分野で、日本の研究者が真面目に「研究結果が出てから論文を書き始める」のに対して、欧米の研究者は、「先に仮説を元に論文を書き上げ」てしまってから実証実験を行い、結果に則して「論文を都度修正」するそうです。
その結果、欧米の研究者は、検証が終わった時点で、ほぼ論文が完成していることになって、スピーディーに発表も出来る、ということで、差がついてしまっているそうです。

この話がどれだけ一般的なのかは調べていないので知らないんですが、これを聞いた時に、直感的に「これは使えるな」と思ったわけです。

そこで、「5日間で映画を完成させた」という架空の記録書を先に書くところから、企画をスタートさせました。
書いていくうちに、5日間では完成しないと判断して7日間に変更したりしましたが、概ね本を書き上げてから、実際の映画製作に入ったわけです。

なるべく原稿を変更したくないので、書かれたことを実践しようとするので、スケジュール管理にも役立ちます。
もちろん、現実は、想定していない事だらけなので、最終的に文章自体は全編書き直しているのですが、感覚としては「修正」なので、新規で構成を考えながら書き起こすのに比べて、はるかに労力が少ない印象でした。

そして、映画の完成に一足遅れるだけで本も完成して発表する、という計画を達成できました。

改めて、この「実行する前に、妄想を日記のように先に書いてしまう」という「科学論文方式」は有効だと実感しました。

今年はさらにスケールアップして「B級モンスター映画で世界進出!」という妄想企画を実行に移そうとしてます。もちろん、映画の完成に合わせて電子書籍も出版予定ですが、興味を持たれた方は、まずは2016年の「7日間でモンスター映画を作る!」をお読みください。

お読みになって、「自分も映画作りに挑戦しよう」と思っていただければ幸いです。

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