早く完成させる大切さ
そもそも、趣味の創作活動には、大抵の場合、締め切りがありません。
時間をかけて、いつまでもダラダラと作業を続けがちになります。
それに加え、「レベルの高いものを作るためには、時間をかけて丁寧にやるべき」という勘違いをしている人が大勢います。
創作の目的が「暇つぶし」なら、なるべくその楽しい作業を長く味わっていたいでしょうから、もちろんダラダラと続けていてもかまいません。
しかし、創作には、「適切な作業時間」というものが存在します。
1時間で完成させるべき絵があったとして、それを10時間かけて、丁寧に描いたら、より良いものになるかと言うと、そうはなりません。
時間をかけすぎて、おかしなものになってしまいます。
そういう意味で、創作は料理に似ている面があると思います。
私は、「時間をかけすぎて腐ってしまう」という言い方をよくします。
大抵の創作は、様々な理由から時間がかかりすぎてしまう傾向があります。
特に映像作品については、「できるだけ早く完成させる」という意識を持つと、ちょうどいい期間で完成させられて、完成度も高くなると思っています。
特に、ドラマのように、「一連の映像」というのは、時間をかけて撮影すると、どんどん「つながり」は不自然になっていきます。
手間をかければかけるほど、出来が悪くなるんです。
試しに、撮影時間を極端に短くすることを最優先にして、かなりラフに撮ってみてください。
例えば、いつもであれば、色々なこだわりをもって、10カットほどの芝居のやり取りに、たっぷり1時間以上かけて撮影しているとします。
それを、本当に、ぶっつけ本番のような形で、多少の間違いには目をつぶるようなつもりで、ラフに全体を撮ってみます。
1時間かかっていた分量の撮影を、15分で終わらせるというような乱暴な撮り方がいいでしょう。
「かなり適当だなあ」というふうに、自分では思ってしまうかもしれませんが、この映像を編集してみると、驚くほど「つながり」はいいはずなんです。
そして、いつもは、こだわりを持って撮り直しをするような場面も、「それしか映像がない」と思えば、なんとか編集でカバーをして、それなりに「様にする」ということができると実感できます。
これは、もちろん、演技論に照らし合わせても、映像論に照らし合わせても、邪道かもしれません。
「そんなことじゃ、立派なプロになれないよ」というふうに批判されるかもしれない。
しかし、私達の目的は、必ずしも、「プロの人たちに評価されること」ではないはずなんです。
・自分が考えたストーリーを形にしたい
・観客に伝えたい
そこが目的なのであれば、手段はどうでもいいと思うんですね。
有効なのは、とにかく「撮影のスピード」を意識することです。
それをさらに突き詰めると、私がいつも提唱しているように、撮影期間短縮のために「映像合成」を中心にした「特撮」を使うことも有効になってきます。
特に技量が低い段階では、創作には「量稽古」が必要です。
経験を重ねれば、
・注意すべきポイント
・こだわっても意味がないこと
を明確に実感できるようになります。
圧倒的な量をこなすことで、結果的に、量が質に変わってきます。
「ここにこだわれば、品質が上がる」という、正しい判断が出来るようになるからです。
参考になれば幸いです。
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