10分映画の可能性
「10分映画」とは、文字通り、「長さが10分程度の短い映画」ということです。
大抵の場合、映画というのは、1時間半とか2時間あります。
劇場公開される映画であれば、3時間あるような長い、映画もあります。
10分と言うと、「ショートコント」のようなものしかできないイメージを持っている人もいるかもしれません。
実を言うと、私も以前はそう思っていました。
最低限、20分はないと、ストーリーを持った映画にはならないのではないか、という感覚があったんです。
しかし、実際には登場人物が3人程度であれば、10分間の映画も、十分に物語の面白さを伝えられる可能性があります。
一般的に、物語を作る時には、「登場人物は3人は必要だ」と言われています。
これは、必ずしも人間が3人というわけではなくて、そのうちの一つは、例えばモンスターのようなものであったり、あるいは、「町に迫ってきている台風」のような自然現象も、「一つのキャラクター」として考えることができるかもしれません。
「主人公」と「敵」それから、専門的になりますが、「偽の敵」。
こういった三者がいると、面白いエンターテイメントの物語が作れる可能性があります。
その最低限の要素を組み合わせて、「10分間の映画」を作ると、メリットがたくさんあります。
「映画作り」という創作活動は、やはり、ある程度時間がかかってしまいます。
例えば、別の創作。
短編小説であれば、場合によっては、石原慎太郎のように、「徹夜をして3日で一気に書き上げる」というようなことも可能なわけです。
ところが映画は、
・物語を作って
・準備をして
・人を集めて
・撮影をして
・編集をして
というような工程がありますから、どうしても長期間かかってしまいます。
概ね「完成した映画の長さ」と「製作期間」は比例します。
厳密に言うと、「場面の数」だとか、「撮影の難易度」によって変わっきますが、単純に長い映画は、それだけ撮影の分量も多いわけです。
分量が多ければ、撮影にも編集にも時間がかかります。
それに対して、10分の作品であれば、映像の数が少ないですから、短い期間で撮影できる可能性があります。
編集は間違いなく短期間で終わります。
そして、意外と、この10分程度の映画というものが、「エンターテイメント」としても楽しめる、と感じています。
例えば、こんなショートムービー。
『ブレードランナー 2049』の前日譚のショートムービーが、SonyPicturesJapanの公式チャンネルで見られます。
短くても、決して、ショートコント的なものだったり、尻切れトンボで終わるような中途半端な作品ではなくて、「面白い短編小説」のイメージの映画も作れるはずです。
以前、知り合いの映像作家が作った、10分間のショートムービーを見ました。
登場人物は、やはり3人。
図書館を舞台にした、ちょっとハートウォーミングな感じの映画だったんですが、非常にレベルが高くて「面白い作品だな」というふうに感じました。
そこで「10分間の映画」に可能性を感じた私は、ジャンルが全く違いますが、短編のモンスタームービーを企画して、正味7日間で「モンスタームービー」を作った経緯があります。
その作品は「グリーンバック合成」と呼ばれる、特撮技術を駆使することで、色々な場面を一箇所で一気に撮影する、という工夫をしたわけですが、特撮の技術を使わなかったとしても、10分間の面白い話は作れる可能性があります。
また、完成した後に10分間の映画だと人に見せやすいということがあります。
「2時間の映画を見てくれ」と言われても、なかなか、「時間を作って見よう」という踏ん切りがつかないところが、10分間の映画であれば、「まあ、食事が終わった後にちょっと見てみようか」とか「時間が空いたから見てみようか」というような形で、「見やすい長さ」でもあるわけです。
映画も、小説などと同じで、人に見てもらわないと始まらない創作活動です。
そういう意味で、長編作品を作るのが理想であり、目標だとしても、10分間の映画を作る意味・意義があると思います。
さらに発展して、私は個人的には、変則的な方法で長編映画を完成させられないかと考えています。
それは、用意した長編作品のシナリオを分割して、10分程度の短編映画として順次完成・公開して、最終的にはそれを繋ぎなおして長編作品を作るという構想です。
これは、30年前くらいに考えたアイデアですが、改めて挑戦したいと思います。
参考になれば幸いです。
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