演出に頼らないという心掛け
「演出する」という魅力はあるが・・・
「映画を作る」と言うと、真っ先に浮かぶのは「撮影」だと思います。
その撮影をする時に、「役者がどういう演技をするのか」を指示するのが「演出」という作業です。
演出は監督がやる仕事です。
趣味の映画作りですから、何にこだわって作ろうが自由ですが、私は、「まずその作品を完成させること」を最優先にすべきだと思っています。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、実は「映画作り」は、一歩間違えると、手がけた作品が未完成に終わってしまうということが頻繁に起きます。
ですから、特に経験が浅いうちは、完成させることを最優先に考えないと、凝りすぎて、完成させられなくなりがちです。
それと関連して、私が「気をつけて欲しいな」と思うのは、演出をあまり信用しないということです。
映画を作る時は、撮影が楽しそうですから、早く撮影をしたいわけです。
ストーリーを持った映画の場合は、当然、ストーリーを先にしっかり作る必要があります。
けれども、「話の構成・設計」をそこそこにして、実際にはまだ問題が山積みのシナリオであるにもかかわらず、
- 現場の演出でなんとかなるだろう
- 演技でなんとかなるだろう
ということで撮影をスタートしてことが非常に多いんです。
商業映画の中でもよくあるんですが、
- 確かに演出は素晴らしい
- 俳優の演技も素晴らしい
でも、「そもそも、この話がおかしい・面白くない」という作品があります。
せっかく作るのであれば、やはり、最低限、「話は通じる」作品にはしたい。
その上で、プラスアルファとして演出が良ければ、それに越したことありません。
凝った演出を優先して、ストーリーの設計が未完成なまま、「よく分からない話」を作ってしまうのは、何とも惜しいと感じています。
演出は「プラスアルファ」
もっと言ってしまうと、芝居もプラスアルファであるべきだと思うんです。
演出が良ければ、それに越したことはありません。
演技がよければ、それに越したことはない。
でも、それはあくまでも「プラスアルファ」で、芯になるのは、物語の構造です。
「プラスアルファ」でなく、「本質的な部分」を最低限抑えましょう。
これは私も自戒を込めて言っています。
どうしても、「設計部分」というのは地味な作業で、エネルギーを使って考えていると、だんだん分からなくなってきます。
ですから、「もう早く撮ってしまいたい」という気持ちはよくわかります。
しかし、そういう状態で撮り始めて、
- なんとか演出でカバーしよう
- 演技でカバーしよう
と思っても、やはり完成すると、設計の未熟さが目立ってしまいます。
「どうせなら、もう少しちゃんと考えてからやれば」というような後悔をすることが多くあります。
思いついた
- 演出プラン
- 撮り方
がモチベーションになって映画作りをすることは多いと思います。
それを生かすためにも、「演出に頼らなくても見ていられるような、本質的なストーリーの面白さ」を担保してから撮る姿勢がいいのではないかと思います。
実際に映画を作り始めると、撮影に時間がかかることを実感します。
ある場所に、スタッフ・出演者を集合させて撮影します。
「このシーンは1時間ぐらいで撮れるだろう」という計画で始めるのですが、大抵は予定通りには行かず、2倍も3倍も時間がかかってしまうものです。
そうすると、時間と共に、だんだん光の状態も変わってきます。
初めに考えていたプラン通りの演出をしている暇がなくなってくるんです。
極端に言うと、
- 計画したシナリオ通り
- 絵コンテ通り
に、この場面を何とか撮影するということで手一杯になってしまう。
そうすると、「話があまり面白くなくても、演出でカバーできるだろう」という目論見が全く外れてしまうことになります。
ですから、仮に演出が非常にシンプルで、全く凝ったことができない映像になったとしても、作品として見ていられる「ストーリーの面白さ」を用意した方がいいと思います。
参考になれば幸いです。
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