自撮り自演のマイクロ映画

自宅で完結させる映画撮影

これを書いている2020年は、世界中で「コロナウィルスへの対抗措置」として、「出来る限り外出を控え、人との接触頻度を低くする」という作戦の真っ最中です。

日本でも、ウィルスの感染を広げないために、テレビや映画の撮影を中止するという、歴史上、初めての試みがなされています。

 

これは、該当業界にとっては大損害を引き起こす悲劇ですが、

  • 今はインターネットが普及していて
  • デジタル環境が整っている

ということは喜ぶべきことです。

 

大人数のスタッフや出演者で作業しなければいけない、テレビや映画の撮影は出来ませんが、

  • スマホをカメラにして
  • 自分自身を被写体にして
  • 映像作品を作り
  • 世界中に公開する

ということが出来る環境が整っている事は、不幸中の幸いと言っていいでしょう。

 

いわゆる、「ユーチューバー」としての活動が出来るだけではありません。

私は、これを機に「自撮り自演の本格映画制作」に挑戦しようと思っています。

「制約」は「出来ない理由」ではない!

「プロ」と「アマ」の感覚は違います。

実際にプロであるか否かという事ではなくて、「考え方」の話です。

 

「全ての条件を理想的に整えてくれたら、素晴らしいものを作ります」というのは、プロの考え方ではありません。アマの考え方と言動です。

 

プロは、限られた条件の中でも、出来るだけの事をして、必要最低限の要素を揃えたものを作ります。

 

例えば、「ロードムービー」の形式のため、即興の撮影が不可欠な作品の場合、周到な準備は不可能です。

列車の中で、「この田園風景をバックに、主人公が疲れて寝ているカットを撮りたい」とひらめいた時に、普通の準備をしていたら、田園風景は過ぎ去ってしまいます。

 

そこで、「何とか使えるギリギリの映像、7割の品質の映像でいいから、短時間で準備して撮影する」という行動が必要になります。

これが、プロの考えと行動です。

「どうせやるなら少しでも良いものを」と考えてモタモタした結果、結局、目的の映像を撮りそこねるのは、アマの考えと行動です。

 

そういう視点に立つと、

  • スタッフがいない
  • 他の共演者がいない
  • 自宅から出られない

というのは、単なる「制約」であって、作品が作れない理由ではありません。

 

これを理由に「映画なんて出来ない」というのは、アマの考えです。

プロであれば、「この制約の中で、どれだけ面白いものを作ってやろうか」と考えるべきなんです。

 

繰り返しますが、ここで言う「プロかアマか」というのは、精神の問題です。

趣味で映画を撮る人でもプロの精神は持ちえますし、仕事で映画を撮っていても、アマの精神の人もいるでしょう。

スタッフ無しでも撮影できる

とは言え、

  • スタッフがいない
  • 他の共演者がいない
  • 自宅から出られない

という制約は、なかなか厳しいものです。

 

ただ、「スタッフがいない」という点に関しては、私の体験からも、対処が可能と言えます。

 

昔、テレビで人気だった、「川口浩探検隊」のオマージュシリーズとして、私は、「チームウェンズデイ探検シリーズ」というものを作っています。

このシリーズでは、基本的には、私ともう一人の隊員が登場するだけで、カメラマン無しで撮影するスタイルです。

2人だけでロケに行き、お互いにカメラマンになったり、カメラを三脚に固定して2人がカメラの前で演じたりしながら、必要な映像を撮影します。

 

このスタイルで既に2本完成させているので、「映像編集を考慮して、必要な映像を固定カメラで撮影すれば、一応、シーンは成り立つ」ことは分かっています。

 

ですから、「自室で、登場人物自身がカメラのセッティングをし、芝居を撮影する」のは、楽ではありませんが、可能でしょう。

実際、私はこれまでも、自分しか登場しない場面の撮影では、スタッフのスケジュール調整を省略して、一人で撮影をしていました。

課題は脚本

映画の面白さの7割は、間違いなく脚本で決まります。

人物が二人いれば、何となく会話しているだけでも、ドラマ風に見えますが、一人しか登場しないストーリーを、いかに面白く見せられるか。

 

独り言ばかり言っている主人公は不自然です。コントになってしまいます。

一つ、ヒントになるのは、「一人でも声を出す状況にする」ということです。

 

例えば、こんな設定ではどうでしょう。

  • 自宅でコールセンターの仕事をしている
  • 明日のスピーチの練習をしているサラリーマン
  • 芝居の練習をする役者
  • 新米ユーチューバー

 

彼らが、一人、自室でセリフを言っていても不自然ではありません。

もちろん、一人芝居の難しさはありますが、展開によっては、見ていて面白いストーリーを作れる可能性があると思います。

「グランドホテル形式」ならぬ「ビジネスホテル形式」

舞台を「自宅」に限定した作品を複数作るとします。

登場人物が異なる、別のストーリーです。

 

すると、「それぞれの部屋が、マンションのような集合住宅の一室」という設定にもしやすくなります。

それぞれのエピソードが完全に独立したオムニバス映画にもなり得ますし、何らかの形で複数の部屋のエピソードをリンクさせることで、一つの長編映画作品として成り立たせる可能性すらあるかもしれません。

 

ハリウッド映画に「グランドホテル」という作品があります。

一つの場所に集まっている様々な人の群像劇です。

そこから、このような形式の映画を、「グランドホテル形式」と言います。

複数のスター俳優を、平等に活躍させられるメリットもある、大作映画によく見られる豪華な映画手法です。

 

わたしは、これにちなんで、「自室で自撮りして作ったマイクロ映画」を「ビジネスホテル形式」と名付けたいと思います。

 

撮影自体は、スマホのカメラで可能だとしても、実際はかなり面倒な作業でしょう。

慣れるまでは、失敗も多いと思います。

 

ただ、映画は形式に自由があります。

観客の前で演じなければ成り立たない、「ライブのお芝居」と違って、「自宅から出ない」という制約の中でも、「面白いエンタメ作品が出来る」という可能性があるのが、映画の底力だと思います。

 

現在、サンプルシナリオと撮影手引書を作成中です。

モニターとして若干名を募集する予定ですので、自撮り自演のマイクロ映画に興味がある方はご連絡ください。

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