究極の邪道映画アイデア?

MAD動画からの発想

これから話すアイデアは、

  • 映画として望ましいかどうか
  • 芝居として望ましいかどうか

という意味では、間違いなく「望ましくはない、邪道な手法」です。

 

映画を「芸術の表現」と捉えている人にとっては、言語道断な案でしょう。

 

ただ、私は映画を、「エンタメストーリーを映像に変換する道具」と捉えています。価値観が違うので、批判は不要です。

この案の、唯一のメリットである、「撮影コストを大幅に減らせる」ということが魅力に思えるのです。

 

ヒントになったのは、ネット上でよく見かけるパロディ動画です。

ナチスドイツのヒトラー総統が登場しているシーンの、字幕を勝手に改変して、全く別のストーリーにしたものです。

MAD動画と呼ばれるものの一つです。(著作権侵害のため現在はほとんど残っていません)

実際の映画では、シリアスなシーンです。

全くコミカルなシーンではありません。

 

しかし、このシーンの字幕を変えるだけで、全く違う内容と、その演技の組み合わせがミスマッチとなって、非常にコミカルで楽しい動画になってることがあります。

しかも、興味深いのは、その演技と、デタラメのセリフが「噛み合っている」かのような錯覚を覚えてしまう点です。

これを応用できないか、という発想です。

 

ドラマの映像にバリエーションは意外と少ない

シンプルなドラマの映像を思い浮かべてみます。

例えば、ホームドラマ。

 

一家揃って食事をしているシーンであれば、

  • それぞれの人の顔のアップがあったり
  • セリフがあったり
  • 途中で何か言い合いがあったり

もちろん、話の内容はそのシナリオによって違いますが、音を消して、映像だけ見ると、「ほぼ同じパターン」であると分かります。

 

もし、セリフを全て外国映画のように吹き替えにしたら、そのシーンは全く別の話としても成り立つのではないでしょうか。

 

別の例では、昔の刑事ドラマ。

 

刑事が集まっている部屋の中で、会議をしているシーンがあります。

次に、「聞き込みを始めてくれ」と言う指示によって、それぞれの刑事が街へ出ていって、色々な人に話を聞いているような場面が延々と流れる。

 

そして、しばらくすると、また、刑事部屋に戻って、情報を報告するシーンになります。

黒板に貼られた被害者の写真とセリフが違うだけで、毎回、同じような種類の映像です。

少なくとも「絵コンテ」は、全く同じものでも成り立ってしまうでしょう。

 

これがアニメーション作品だとすると、映像の流用について理解しやすいと思います。

連続ドラマになっているアニメーション作品において、登場人物同士のやり取りは、舞台も同じ、シチュエーションも同じ、ということも多いと思います。

 

そういう場合、違うエピソードだからといって、わざわざ映像(アニメーションの場合は絵)を新たに用意する必要があるでしょうか?

セリフだけ入れ替えれば、成り立ちますし、実際にそういう「絵の節約」はしているでしょう。

 

邪道映画術のアイデア

私は何本も探検映画を撮っています。

https://wp.me/P4vWPD-uS
https://wp.me/P4vWPD-uV

探検映画というのは、大抵、森の中や岩場を歩いているシーンがあります。

こういう映像は、イメージショットですから、服装が同じであれば、別のエピソードの中でも流用が出来ます。

 

実際、私は、

  • 森を歩く映像
  • 洞窟内を歩く映像

などは多めにストックとして撮影し、流用しています。

 

ここまでは、それほど抵抗なく理解できると思います。

 

私の極端なアイデアは、もう一歩進んで、「台詞のあるシーンの映像」も、ストックしておいたらどうか、ということです。

 

探検映画では、どのエピソードも、焚き火を囲んで食事をしながら話をしている場面があります。

これまでは、当たり前のように、それぞれの映像を撮影していました。

映像は似ていますが、セリフが違うからです。

 

でも、外国映画の日本語版のように、セリフを吹き替える前提だとどうでしょう?

 

焚き火のシーンは長めに、考えられるあらゆる撮り方・表情で撮影してストックしておきます。

後から設定に応じた吹き替えのセリフに合わせて、シーンの細かい編集を調整すれば、シーンとして成り立つのではないでしょうか。

 

そうすると、「焚き火のシーン」は新しいエピソード用に撮影する必要がなくなります。

そのシーンを撮影する時間とコスト、エネルギーは、全て他のシーンに注げます。

 

邪道映画術のアイデアは更に発展させられます。

 

私は、グリーンバックを使った人物の撮影を推奨しています。

人物が会話をしている設定のシーンを、グリーンバック撮影してストックしておけば、吹き替えで会話に変えられるだけでなく、背景映像も入れ替えられます。

 

  • 背景を森にして、炎も合成し、焚き火前の会話シーンにする
  • 背景をテントの中の映像にして、テント内の会話シーンにする
  • 背景を洞窟にして、洞窟探検中の休憩シーンにする

というように、全く違うシーンとして使うことができる筈です。

 

背景を違う映像に入れ替えると、「この会話の映像は使い回しだ」ということを感じさせない工夫になります。

 

映画は王道のやり方で撮影すべきだと考える人や、自分の作品を撮影して完成させたことが無い人からは、「なぜ、そんな邪道なことをする必要があるんですか?」という質問が出るでしょう。

 

確かに、洞窟のシーンであれば、洞窟に行って撮影をすればいいし、焚き火の前のシーンは焚き火の前で撮影すればいい、と考えるのが普通だとは思います。

 

しかし、その「普通のやり方」では、映画を1本撮り終えるのに膨大な時間を使います。

 

アマチュアは本職と違い、1ヶ月に一回、二ヶ月に一回しか撮影できない、ということがザラです。

丁寧に、「本来の映画の撮り方」で撮影をしようとしたら、一本の作品を撮り終えるのに何年掛かるか分かりません。

 

しかも、そうやって時間を長く掛けても、単に撮影間隔が空いているだけです。

経験値が上がるわけではないので、映画作りが上達するわけではありません。

 

私は、「作品の量産」には、価値があると思っています。

経験値は、明らかに「製作した作品の数」に比例して上がります。

 

映画を芸術と捉えている人は、「そんな邪道なやり方で量産して何の意味があるんだ」と言うでしょう。

「そんなものは演技でも何でも無い」と怒る演劇関係者の方もいると思います。

 

しかし、あのヒトラーの映画の改変映像を見て面白いと感じられるのが、映画の醍醐味の一つではありませんか?

その特徴を利用することで、撮影の労力を1/10にした上で、オリジナルストーリーを形にすることができる可能性を感じるのです。

 

私は今後、出演者の了承を得た上で、このような「演技のストック化」にも取り組んでいこうと思っています。

 

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