映画を大勢に見てもらう工夫
small worlds tokyoに見るリピート戦略
ミニチュアというのは、それだけで魅力があるもので、一定の人気があります。
大掛かりなミニチュア展示施設として、日光にある「東武ワールドスクウェア」があります。
ここのミニチュア展示の魅力は、野外展示なので、太陽光の下で模型を見られることです。
太陽光はミニチュア撮影においては、最大の特殊効果で、それだけでリアリティが増します。
そんな、太陽光は使えませんが、先日、東京に世界最大級の屋内型ミニチュア展示スペースがオープンしました。
恐らく、この施設も人気スポットになるでしょう。
そして、東武ワールドスクエアと決定的に違うサービスがあります。
それは、一般の観客が「参加できる」選択肢があるということ。
どういうことかというと、この施設を訪れて数万円の料金を払うと、自分自身を立体的にスキャンして、ミニチュアの人形を作ってもらえるんです。
その人形は、後日、施設のミニチュアセットの中に展示される、つまり、自分がこのミニチュアに参加できるという形になります。
このサービスを購入した人は、自分の人形を確認するために、間違いなく、もう一度、ここを訪れることになるでしょう。
つまり、リピーターになるということです。
これは、ビジネスとして、非常に優れているアイデアだな、と思いました。
協力者として巻き込むためには当事者にすべし
人は自分が大好きです。
他人には関心がない。
これが基本です。
例えば、映画もクラウドファンディングで資金を集めるということが多くなっています。
そうすると、一般の人が出資できるくらいの定額で協力をすることによって、映画の最後のテロップに、自分の名前が出たりします。
その映画の「当事者」になれるということです。
自分が応援した証が、テロップという形で出る。
それを映画館で確認できる満足感は大きいと思います。
映画作りでは、
- 作品を完成させること
- 完成した作品を十分に流通させること
の2つが不可欠です。
多くの人は、完成させて終わりだと思っています。
完成させた時点で、監督はかなり満足してしまいます。
しかし、他のスタッフ、出演者は、監督ほど大きな満足感は得られないのではないでしょうか?
完成品を見たときに得られる満足感は、苦労の割には少ないかもしれません。
そうすると、人を集めて「作品を作り続ける」ということが困難になります。
必要なのは、多くの人に作品を見せること。
つまり、宣伝です。
「映画見たよ。良かったよ」と繰り返し言ってもらえることで、関わった人にも喜びが生まれます。
でも、見知らぬ無名の作家が作った映画を、ただネットで宣伝したところで、見てくれるほど暇な人はいません。
せめて、「自分の知り合いが関わっている」というくらいの関係性がないと、観客にはなりづらいのが現実です。
そこで考えられる手が「出来るだけ多くの人を、作品の当事者にする」ということ。
最も分かりやすいのは、その映画の出演者にすることです。
自分が少しでも出演している映画であれば、客観的にも分かりやすい当事者です。
知り合いに、完成した映画を紹介する動機にもなるでしょう。
自分の友人がわずかでも出演している映画であれば、「ちょっと見てみよう」という動機になり得ます。
映画は作っただけでは価値がありません。
人に見てもらって価値が出ます。
そのためには、宣伝要員が一人でも多く必要です。
熱心な宣伝要員になってくれる、「当事者」を増やすことは制作と同じくらい重要です。
戦略的なことではありますが、すでに多くの人に応援されている人を出演者にすることが有効です。
脇役でも、その人に登場してもらえれば、その人の知り合いが見てくれる可能性が高いからです。
撮影に参加せずに出演者になるアイデア
実際に撮影に参加する事が出来なくても、当事者になってもらう工夫はあります。
例えば、私が今、考えているアイデアは、「写真」で登場してもらうことです。
事件を扱った映画を想像してください。
例えば、その事件の被害者がニュースで報道されたり、警察の捜査会議の中で、「被害者の写真」が登場するでしょう。
その写真の主として登場してもらうという方法です。
演技力も必要ありませんし、時間的な拘束もありません。
写真を一枚提供してもらえれば、映画の中に登場させられて、その人は映画の当事者になることができます。
映像合成の技術を使えば、死体役などで登場させる方法もあります。
趣味の映画は、
- 商業映画のようにたくさんの人に見てもらう必要はない
- お金儲けをする必要はない
という考え方はあります。
しかし、私は30年以上、映画作りを続けてきて痛感しています。
やはり、趣味の活動にも資金が必要ですし、協力してくれた人達にわずかでも、謝礼を支払った方が、より楽しく、長くこの遊びを続けられると思います。
そのために、アマチュアの自主映画であっても、商業的な要素は考えるべきだと思います。
商業的な要素とは、その作品を見たくなる動機があることが基本になります。
作品の内容が損なわれない限り、「その作品を見たくなる動機」を増やすために、当事者を増やして、人に紹介する可能性を広げることが重要だと考えます。
参考になれば幸いです。
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