ドキュメンタリー映画を作ろう
昔はネックだったフィルム代
一昔前は映画を作ると言うと非常にお金がかかるものでした。
大きな比率を占めていたのが、「フィルム代」です。
フィルムで撮影して、それを現像するという時点で、かなりの金額がかかってしまう状況でした。
それが、現像不要の「ビデオ」で撮影できるようになり、メディアもテープからカードに記録する形式にどんどん変わっていきました。
そういうことから、撮影自体には、お金がかからない時代になりました。
この状況では、非常に作りやすくなってくるのが、「ドキュメンタリー映画」です。
ドキュメンタリー映画と、通常の映画の最も大きな違い、というのは、その計画性です。
通常の映画は、あらかじめ、すべての撮影計画を立てて、計画を元に全て撮影を終了させ、計画通りの内容ものが出来上がるのが基本です。
ところが、ドキュメンタリー映画というのは、台本を用意したとしても、それは本当に大まかな流れを確認するためのものです。
撮影しながら、どんどん向かう方向が変わってくる可能性が高いものです。
それが魅力でもあります。
ドキュメンタリー映画の題材は身の回りにたくさん
興味を持って取材さえすれば、ドキュメンタリーの題材は身近にたくさん転がっています。
面白いもので、特に自分が興味を持っていない題材だとしても、丹念に作られたドキュメンタリー映画を見ると、引き込まれてしまうんです。面白いんです。
私の住んでいる、郊外の町も、散歩をしてみると、題材になりそうなものが見つかります。
例えば、昔、養蚕が盛んだった頃の名残りが随所に見られます。
蚕を育てて、絹を生成するわけで、あちこちに餌となる桑の木があるだけでなく、面白い石碑を見つけました。
蚕を飼っている養蚕農家が火事になって、焼け死んだ大量の蚕を祀っている石碑が立っているんです。
蚕は虫です。
虫を火事で焼き殺してしまったことを、大金を賭けて石碑の記録として残している時点で、色々なドラマがありそうな気がしてきます。
他にも、古民家を利用した資料館も探してみると結構あります。
これらの題材について丹念に取材して、ドキュメンタリー映画は十分に作れると思いますし、なかなか面白いものが作れるのではないかな、とも思います。
このように、題材がたくさん転がっているのが、ドキュメンタリー映画の魅力です。
是非、皆さんも、身の回りに題材を見つけて、ドキュメンタリー映画を作って欲しいと思います。
ドキュメンタリー特有の制作手順
しかし、一つ覚悟しなければいけないのは、通常の映画のように効率よくは作れないということです。
通常の映画のように、台本に沿って絵コンテを書いてその映像を撮ればシーンが完成するわけではありません。
取材をしながら、「これは使えるかもしれない」というような映像を撮りためて、後から取捨選択をしたり、新しい情報が入ってきたら構成を変えたり、そういったことをしながら、完成までの間に、どんどんと姿を変えていくのがドキュメンタリー映画です。
その、「やり直しの多さ」の覚悟を持って作る必要があると思います。
幸い、現在では、映像の編集をパソコンのノンリニア編集で行えます。
ドキュメンタリー映画のように、映像の順番を変えることで構成を変えたりというような作業が、非常にやりやすい環境です。
「今日撮ってきた映像を組み込んで、構成を変えてみる」というようなことを試しながら、完成までもっていける特徴があります。
撮影が効率よくできないのが、ドキュメンタリー映画の欠点ですが、逆に通常の映画ではあまり有効とされない、「ナレーション」を堂々と使うことができます。
通常の映画では、ナレーションで状況を説明すると興ざめなので、最低限に抑えるべきとされます。
それに対して、ドキュメンタリー映画では、例えば資料となる
- 写真
- 絵画
- 文書
そういう背景映像に、ナレーションで内容説明する手法が一般的です。
それによって、作品の質が損なわれたような印象にはなりません。
作品によっては、「映像にナレーションを乗せる」というよりも、「ナレーションに即した映像を乗せる」という感覚で作った方がうまくできることもあります。
いずれにしても、手軽に撮影編集が出来る時代です。
「物語を作るのは、なかなか難しい」
「演技をするのも照れくさい」
というような人たちは、是非、ドキュメンタリー映画の制作に挑戦してはいかがでしょうか。
参考になれば幸いです。
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