音声から映像作品を作る手法とメリット
朗読音声を発展させて、映画に変換していく手法を紹介します。
映画の制作は、その下準備に大半のエネルギーを使います。
普通は、撮影にたどり着くまでに作業全体のの7割は終えておく必要があります.
物語作りはもちろん、「どういう映像にするか」という設計をあらかじめ終えておかないと撮影がスタートできないわけです。
この手間の多さが、趣味としての映画作りの面白さです。
しかし、なかなか作品を完成させられない原因でもあります。
私は、初めて映画を作った時から、全ての設計を終えて、その設計図通りに映画を作るやり方を実践してきました。
これは正しいやり方の一つですが、映像制作に慣れていないうちは、必ずしもお勧めしません。
作品の完成までに、膨大な時間が掛かるからです。
私は、「趣味の映画作り」は、本職のやり方を真似るのではなく、まずはできるだけ短い期間で作品を完成させて、少なくとも、その作品に関わった人たちが鑑賞をして楽しむ体験を多くするべきだと思っています。
そのためには、はじめから本格的に凝った映像作品を目指すのではなく、できるだけラフに、作品としての、それなりの体裁を整える手法を身につけるべきかなと思います。
趣味の映画作りでは、プロのスタッフになる勉強ではなく、あくまでも、作業や作品鑑賞を楽しむのが目的だからです。
一つオススメするのが、物語の「朗読音声」から発展させて、映画に変換していく手法です。
小説は「文字」というメディアの作品です。
もちろん、文章だけで成り立つものです。
それを朗読すると「音声」というメディアに変換でき、これもまた、単独の作品として成り立ちます。
読書の代わりに、音声を楽しむ人も一定数存在するからです。
その次の段階として、朗読音声に合わせて、映像として思いついた場面から、画面を設計するのはどうでしょうか。
この手法は、ドキュメンタリー映像やビジネス動画でよく使うものです。
先にナレーションを作ってから、その内容に即した映像を当てはめていくやり方です。
本格的な映画にするには、全ての場面を隙間なく設計しなければいけません。
でも、音声に合わせて作るタイプの映像作品であれば、不自然にならない程度に、風景など、ラフなイメージ映像で繋ぐことも可能です。
場合によっては、「朗読している人」をそのまま映してしまってもいいかもしれません。
具体的に登場人物の姿が思いつく部分は、役者に芝居をさせても良いでしょう。
ただし、基本的にはセリフの音声は使いません。
使う音声は、朗読する声と、必要に応じて加えるBGMだけです。
ですから、役者の撮影中に、綺麗な状態での録音をする必要もないので、騒音が止むのを待つことや、録音スタッフの作業がいりません。
映画の撮影は、セリフの同時録音を無しにするだけで、圧倒的に作業時間が短くなります。
朗読音声にイメージ映像を重ねていく手法を使う、最大のメリットは、短期間で成果物が次々とできるということです。
つまり、
- 小説を公開する
- 朗読の音声データを公開する
- イメージ映像を公開する
と言う具合に、メディアを変えつつ、違う形の完成物が出来るので、作品に関わっている人は、比較的短期間で次々と完成作品を鑑賞することができます。
成果物の鑑賞は、関係者のモチベーション維持には非常に有効です。
プロデューサーや監督は、「せっかくだから凝った映像作品を、最後の最後に見せたい」と思いがちです。
しかし、プロデューサーと監督以外の人は、基本的に作品に対する熱量が違います。
一定以上の時間が過ぎると、ほとんどのスタッフや出演者は、急速に作品に対する興味を失ってしまいます。
作品が完成する頃には、もうすっかり飽きてしまっていたり、疎遠になっている可能性もあるんです。
そんな状態では、次の作品作りにも誘えませんし、せっかく手伝ってくれた作品を、後から一緒に楽しむことができないのは残念です。
ですから、特にアマチュア作家が、「趣味」として作品を作る場合は、作品の完成を最優先にするため、このように、朗読音声を元にイメージ映像との組み合わせで映像作品を作るやり方をお勧めします。
最初のネックになるのは、元ネタとなる小説作りです。
小説を書くこと自体に慣れていない場合は、ここに時間が掛かってしまって、映像づくりまで辿り着きません。
そこで提案するのは、パブリックドメインの活用です。
映像作品作りの練習を優先させるためには、元のストーリーとして、「オリジナルの作品」だけにこだわるのではなく、既に著作権が切れた、「パブリックドメイン」と言われる作品にネタ元を求めるということも有効です。
芥川龍之介、江戸川乱歩をはじめ、著作権が切れた小説はたくさん存在しています。
もちろん、古い小説ですから、そのまま作品として使えるかどうかはわかりません。
しかし、著作権が切れていますから、改変も自由です。
パブリックドメインの小説は、「青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)」というサイトに数多く掲載されていますので、使えそうな話を探して、自分なりにアレンジしてみてはどうでしょうか。
参考になれば幸いです。
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