「出演者が決まらないと始まらない」という勘違い
あなたは、ご自分で映画を企画する時、なにから考え始めますか?
大まかなストーリー案がある段階で、「まず、出演者を確保しよう」としていませんか?
十分な準備ができていないうちに、「映画に出てくれる出演者は確保できている」という場合は、かえって危険かもしれません。
ストーリーの練り直しをおざなりにしたまま、「楽しい撮影」を早く始めてしまう傾向があります。
撮影している最中に、ストーリー上、辻褄が合っていない部分に気づきながらも、修正できずに最後まで完成させてしまうことになりがちです。
そんな映画はたくさんあります。
もちろん、そういう映画があっても良いのですが、「内容が面白い」という映画は魅力が段違いです。
しかも、内容を面白くするのに必要なのは、非凡な才能や、お金を掛けた演出ではありません。
まずは、つまらなさを感じさせてしまう、「辻褄のおかしい部分」を無くすことは第1段階として有効でしょう。
人間が「面白い」と感じる「型」を利用することも有効です。
教材によって「面白い型」の知識を得たい方は、下記の「各種創作教材・講座」で紹介している「どんでん返し大全1」が役に立つでしょう。
「段取り八分・仕事二分」という言葉があります。
映画も、撮影の段階に入る前に、事前準備を全て済ませておくほうが、当然、うまくいきます。
撮影前の段階で、全部の作業の半分くらいにはなります。
例えば、
- ストーリー作り
- 脚本作り
- 撮影計画
ここまではあなた一人で、何の問題もなく進められるはずです。
「後は撮影と編集だけ」という状態になって初めて、出演者の確保に動けば良いのではないでしょうか?
出演を依頼する際も、準備した資料を見せることで、協力するか否かの判断材料になりますし、あなたの本気度も伝わるのでモチベーションも上がるでしょう。
昔ながらの手法による、通常の映画製作であれば、出演者が確保できていない状況では、進められる作業はここまでです。
ところが、私が実践している「升田式スーパープリヴィズ法」を使うと、さらに
- 背景映像の撮影
- 人物の代わりに人形を使ったダミー撮影
- 合成を含む編集作業
- 各種サウンドエフェクトの追加
- BGM の選定
まで、作業を進めることができます。
つまり、出演者未定なのに、あなた一人で作品を80%くらい完成させられるんです。
「出演者未定でも80%完成」のイメージが湧きにくい方は、電子書籍紹介ページにある、「デジタル時代の新・映画制作法」という書籍のCMをご覧ください。
具体的に、この80%映画はどういう状態かと言うと、
- 登場人物:人物の代わりに撮影した人形
- 全登場人物のセリフ:あなたの声で代わりに録音
というものです。
この状態で、編集の試行錯誤をしたり、シーンの追加をしたりというようなことを進めて、完成度を高めておくわけです。
映画は、編集してみて初めて問題点や改善案に気付くことが多いので、人物の撮影を行う前にこの検討ができることは、とても効果的なんです。
そして最終段階として、登場人物が決まってから、彼らの演技をグリーンバック撮影して、人形の映像と一つ一つ差し替えていくという作業を行います。
ですから、登場人物も一度に揃える必要がなくて、決定した人から、都合のつく順番に、撮影を行うことができるわけです。
この手法は、「大荷物を持って、ロケ地を点々とする」という必要がないので、人物の撮影が極めて小規模・短時間で済ませられるというメリットがあります。
例えばカメラマン兼監督のあなたと、出演者の合計二人で撮影が可能です。
登場人物がたくさんいる場合でも、常に撮影は一人ずつ行うということが可能なんです。
この手法は、撮影期間短縮や撮影場所確保の制約から逃れるための工夫として実践してきました。
ところが、結果的に、「一度に集まる人数ができるだけ少ない方が望ましい」という、コロナの状況下にぴったりの撮影法にもなりました。
王道の映画制作方から見ると極めて邪道な手法である、升田式スーパープリヴィズ法が、図らずも、最も安全にバリエーション豊かな映像を作れる、映画制作手法になってしまったのではないかと考えています。
この辺りについては、以下の記事で簡単に解説していますので宜しければご覧ください。
参考になれば幸いです。
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