映像ごまかしテクニック・暗くする
まず、前提として、映画は人に見てもらわなければ、真に完成したとは言えません。
しかし、作品を最後まで見てもらうことは、今の時代、実はなかなか難しいことではないでしょうか?
人が娯楽に使える時間は限られています。
その時間を何に費やすか。
テレビだけでなく、スマホとインターネットが当たり前の時代は、コンテンツが溢れています。
あなたの映画作品を「見てみよう」と思われるだけでも極めて狭き門です。
そして、見始めて、「これは見ていられないな」と思われたら、簡単に他のコンテンツに切り替えられてしまいます。
私達、低予算映画製作者は、全力で「見ていられる」「それらしい」作品に仕上げる必要があるんです。
「そんなものは創作活動ではない」と、高尚なテーマや芸術性うんぬんを語るのはその後です。
立派なことを言っても、見てもらえていないのであれば、単に負け犬の遠吠えと言われても仕方ありません。
見ていられない作品は、
- 映像がチャチ
- 照明が安っぽい
という特徴があります。
この弱点を強制的に隠す反則技があります。
それは、「画面を暗くする」ということです。
一昔前の日本映画は、「画面が明るすぎてコントの番組のようだ」とよく言われました。
それに比べ、人気のあるハリウッド映画は、せっかくのセットがよく見えなくなることも気にせず、画面を暗くしていて「贅沢だなあ」と感じたものです。
もちろん、ただ暗くしただけでは、本質的にレベルが上がるわけではありません。
しかし、一定の効果があるのは事実です。
画面を暗くすることで、
- 合成等のアラを隠せる
- 場面に良い雰囲気が出る(こともある)
- よく見えないので、観客がかえって集中して目を凝らす
というメリットがあります。
言うまでもなく、これは邪道です。
立派な作品の作り方とは言えないかもしれません。
しかし、作品を完成させる以上、キレイ事や理想論を語っていても仕方ありません。
たとえ立派な作品でなくても、「それらしい作品」に仕上げないと、見てもらえない可能性が高くなります。
本質的な課題の改善は次回作を作るときに回し、すでに完成間近の作品については、観客を勘違いさせてでも、サマになっているように思わせる必要があります。
ただ、暗いシーンの撮影は難易度が上がります。
高い照明技術が必要になってきます。
私は、ここでも「邪道映画術」を駆使することをオススメします。
「画面を暗くする」ために、失敗の危険を冒して「暗い状態で撮影する」のではなく、失敗しない、「ノーマルな明るさ」で撮影して、編集時に暗く調整します。
昔のフィルムを使った映画は、画面の色や明るさは、撮影時に決定する必要がありました。
しかし、現代の、パソコンを使って作る映画のメリットの一つは、加工のしやすさです。
1本の作品を完成させた後、仕上げの状態を変えた別バージョンも、比較的簡単に作ることが出来ます。
2つを比較することで、どちらが効果的かを客観的に検証することが出来ます。
オリジナルの作品とは別に、試しに思い切って画面を暗く調整したバージョンも作ってみてはどうでしょうか?
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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