今しか撮れない背景を撮り貯める
背景撮影ならイメージを保てる
通常の映画では、作品の内容が決まってから「ロケハン」を行います。
実地に足を運んで、「ここを舞台にしよう」と決定しますが、野外の場合、撮影までに時間差があると景色は一変してしまいます。
グリーンバック映画では、その場所が魅力的に見えた「ロケハン時」に、背景だけ先に撮影しておきます。
このように「背景映像の別撮り」をするのが、グリーンバック映画の特徴です。
予め撮影した背景映像を、グリーンバック撮影した人物と合成できる事で、季節や天候に左右されずに、設定通りのシーンが作れるわけです。
有効なのは、背景のストックを貯めておく習慣
グリーンバック映画でも、作品の内容が決まってから、ロケハン・背景撮影を行うのが一般的ですが、私は、ストーリーを生み出す前から背景映像を撮影して、ストックしておくことをオススメしています。
ある場所を舞台にする場合、必要となる映像の種類は、その作品のジャンルや内容に関わらず、一定のパターンに限られるからです。
特に、
- 季節によって風景が変わる場所
- わざわざ撮影に行くとコストが掛かる場所
- 人出が多いと撮れない場所
については、撮影できる時に撮りためておくことが重要です。
例えば、
- 空いている新幹線などの列車内、バス車内
- 街中
- 自然の中
などです。
街中や自然の中は、同じ場所でも季節によって、全く印象が違う事が多いので、撮影ストックは貴重です。
冬の間、雪を見慣れている地域の方々は、毎日見る雪景色に有り難みを感じないと思いますが、雪の無い時期にはけっして撮影できない景色です。
また、人出の少ない時期に撮影しておく事も大事です。
私は、10月の初めに仕事の打ち合わせのため、海辺近くに行く機会があったので、打ち合わせが終わってから海岸に行きました。海岸で撮影できる背景映像を撮りためようと思ったからです。
しかし、行ってみると、思いの外、水着姿でくつろいでいる人が多くて驚きました。
無用なトラブルを避けるため、ほとんど撮影せずに帰りました。
このように、「必要になったらいつでも撮れる」と思っていても、実際に行ってみると撮れないことがあります。
作品の製作には「期限」が決まっていることもあります。
コンテストの締め切りなどです。
いざという時に背景映像が手に入らず困らないように、普段から、「何かのついでに背景を撮る」という習慣にしておくと良いと思います。
特に背景映像の撮影は、カメラの種類を問わない撮影です。
スマホのカメラなどで十分です。
簡単な背景撮影の基本
背景映像の撮影方法を簡単に説明します。
要は、その場所でドラマを撮影しようというときに、必要になる構図の映像を、人物無しの状態で全部撮っておけば良いということです。
まず、その場所の遠景、ロングショットを撮影しておきます。
その場所の全景がわかる、良くある絵葉書風の構図を探して、2、3パターン撮影します。
次は、アップ用の背景映像。
アップ用の背景映像を撮影するためには、人物が立つ位置を想定します。
その、人物の立ち位置にカメラを向けたまま、半径数メートルの円を描きながら、撮影します。
そうすると、円の中心にいるであろう人物を撮影した時に映り込むべき、「背景映像」が撮影できることになります。
本来は、アップ映像の場合、背景もそれに合わせてアップになりますが、撮影時は広角レンズで撮影しておきます。
どの程度のアップになるかは、この時点では分からないからです。
(人物の映像を合成する時に、背景映像が「広すぎる」場合は、適宜拡大します)
得てして、
- 雪が解けてから「雪景色を撮っておけば良かった」
- 桜が散ってから「桜並木を撮っておけば良かった」
- 夏が過ぎてから「夏草の広場を撮っておけば良かった」
と後悔するものです。
逆に言うと、常に、「今、撮っておくべき景色」があるとも言えます。
手間もお金も掛かることではありません。
日頃から背景映像をストックしておく事で、シーンを考える時の選択肢にもなり得ます。
映像仲間同士で、ストックしている背景映像を共有すれば、作れるシーンのバリエーションは飛躍的に広がることにもなります。
グリーンバック映画の利点を最大限に活かすためにも、背景映像をストックする習慣にしてはどうでしょうか?
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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