特撮映画としての「続・恐竜の島」

前作「恐竜の島」から2年後の1977年に制作されたイギリス映画「続・恐竜の島」を紹介します。

この映画も、基本的には、ミニチュアの楽しさを味わう映画だと思います。

 

ミニチュア撮影スタッフには、イギリスのTVシリーズ「サンダーバード」のスタッフが含まれていて、アカデミー賞を獲得するほどの力量の人達です。そう考えると、見映がするのも当然と言えます。

 

ちなみに、ミニチュア人形劇・サンダーバードは、室内セットの精巧さなどには眼を見張るものがありますが、実はかなり「大きなミニチュア」です。

縮尺は1/3ほどもあるそうです。

1/3のサイズのセットや人形の衣装を作るくらいなら、いっそ1/1の人形を用意してしまったほうが、実際の衣装や小道具、撮影セットを使えて、かえって安上がりになるのではないか、と考えたことがあります。

 

「続・恐竜の島」のミニチュアセットも、かなり大きな模型を使用していると思われます。

例えば、序盤から登場する軍艦。

煙突から湧き上がる黒煙や、船首に飛び散る水しぶきの様子からも、このミニチュアセット自体が、かなり大きいものであると想像できます。

それから、この船で運んできた、水上飛行機。

このミニチュアの精巧さが楽しめます。

 

前作は第一次大戦中に、ドイツ軍のUボートで、海底トンネルから謎の島「カプローナ」に入り込んだのに対し、「続・恐竜の島」では水上飛行機で、空から上陸します。

目的は、行方不明になった、前作の主人公の救助のため、という設定です。

乗り物のバリエーションを変えて、「前作とは違う趣向で観客を楽しませよう」という意図を感じます。

 

島に取り残された男を探しに行く本作は、船が氷の海で待機できる期間がタイムリミット、と最初に提示されるため、よりエンタメ映画の要素が強い印象です。

 

また、「見せ場」としても、前作のように「恐竜」がメインではありません。

登場する恐竜は

  • 冒頭、水上飛行機を攻撃して不時着させる翼手竜
  • 不時着した飛行機を移動させるのに利用する、ステゴサウルス
  • 島の内部へ向かう探検隊一行が遭遇する、2頭の肉食恐竜(ケラトサウルス?)
  • 終盤、洞窟の中で登場するスコロサウルス

くらいです。

 

恐竜の手法としては、ステゴサウルスは、実物大の尾、以外はマペット。

ケラトサウルスもマペット。

機械仕掛けの記憶があったスコロサウルスは、改めて見ると、人が入った着ぐるみでした。

さらに、スコロサウルスはあまりデフォルメされておらず、現代の恐竜展で展示しているような、非常にリアルな造形で表現されています。

この、地味な恐竜を登場させるあたりが、恐竜研究発祥の国のこだわりでしょうか。

 

この作品の中の主な見せ場は、謎の戦闘部族との戦いです。

何故か日本の戦国時代の鎧兜姿ですが、それについては何の説明もありません。

 

山岳地帯にある、戦闘部族の城が、マットペイントの手法で表現されているなど、特撮手法のカタログを見るような楽しさがあります。

これは、なんでもかんでもCGで表現する、という近年の特撮映画にはない楽しさです。

 

圧巻なのは、クライマックスで、前作同様、島のあちこちが火山の爆発をする中、逃げるシーン。

俳優たちが実際に走り回る荒野での、爆発の規模の大きさや、爆発で飛び散る土の破片が半裸の原住民美女を直撃しているほどの「爆発の近さ」は、本当の危険を感じる迫力です。

「映像トリック」としての「特撮」だけでなく、特撮の重要な要素の一つ「スタント」まで盛り込んだ「続・恐竜の島」は、70年代のアナログ特撮カタログとも言えるでしょう。

 

言うまでもなく、現代はCG特撮が標準の時代です。

個人のパソコンでも、ソフトに習熟して、正しい演出をすれば、それなりの作品が作れるでしょう。

 

しかし、「制作自体を楽しむ」という事が目的だとすると、あえて、「続・恐竜の島」のような「アナログ特撮手法」を採用したほうが、満足度は高いかもしれません。

 

E・R・バローズ原作の「太古世界シリーズ 三部作」のうち、1作目「時に忘れられた島」の映画化が「恐竜の島」で、2作目「時に忘れられた人々」、3作目「時の深き淵より」の映画化が「続・恐竜の島」とされています。

しかし、3作目の面影は殆どありません。

 

原作小説は、パブリックドメインとなっているような古い作品です。

私は、3作目をモチーフに大幅にアレンジして、太平洋戦争当時を舞台に、日本人が登場する「新・恐竜の島」として映画化するような妄想を抱いています。

もし、具体化する場合は、各種協力者を募ることになると思うので、興味のある方は是非、ご参加ください。

特撮映画としての「恐竜の島」はこちら

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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