早撮りしないと完成しない
「じっくり撮ると良いものになる」という勘違い
この記事でオススメする結論は、
「撮影は出来るだけ短期間で終わらせましょう」ということです。
理由は、せっかくの作品が未完成に終わることを防ぐため。
- カメラワークにこだわり、
- 演技にこだわり、
- 照明などの光の状態にこだわって
一つ一つの映像を丁寧に作り上げていく映画製作には、私もとても憧れます。
実際の私の撮影はこれとは真逆です。
効率優先で、可能な限り短時間に多くのカットが撮影できるように計画して行います。
プロの現場を真似して、「1カットごとにセッティングに時間を掛け、そのたびに出演者は30分休憩」というような事態にはけっしてしません。
「なぜそうまでして撮影時間を短くしたいの?」
「趣味ならじっくり時間を掛けてもいいじゃない!」
という意見もあります。
ただ、そういう人たちの多くは、
「時間を掛ければより良いものが作れる」
という単純な思い込みがあるだけでなく、
「恐ろしい現実」
を知りません。
恐ろしい現実とは、「一定以上の時間が経過すると、作品は完成せずに放置される」という事です。
少なくとも私は、これを繰り返し経験してきています。
何ヶ月も、時には何年もエネルギーを注いできたものを、結局完成させられなかったという敗北感、手伝ってくれた人たちへの申し訳無さは、大げさに言えば、人生の中での大きなマイナスです。
そのマイナスを小さく抑えられるのであれば、映像の専門家や、意識の高い人たちに「邪道扱い」されようとも、私は全然、気にはなりません。
作品完成を妨げる制作期間の長期化
作品にもよりますし、状況にもよりますが、普通の自主映画では、1日に10数カット前後の撮影ができれば標準的ではないでしょうか?
200カット程度のショートムービーの撮影を終えるのに、少なくとも10回以上、場合によっては20回くらいの撮影会が必要です。
毎日撮影ができるプロであれば、数日間で撮影を終わらせることが出来ます。
しかし、アマチュアが余暇で撮影をするとそうはいきません。
通常、社会人の同好会の集まりは月に1回程度。
そのペースでは、撮影終了までに、1年から2年掛かることになります。
1年か2年で完成するというのは、非現実的な楽観論です。
実際には、そんな長期にわたって、モチベーションは続きません。
「撮影が長引くと、完成が遅れる」のではなく、「撮影が長引くと、結局作品は未完成で投げ出される」事になるんです。
ですから、作品完成のためには、いかに制作期間を短くするか、中でも、撮影期間をいかに短くするかがネックになってきます。
撮影期間を短くする「早撮り」
単純に数倍の速度で撮影が進めば、撮影期間は数分の一に短縮され、作品が未完成で投げ出される危険が減ります。
私はある時期から、1日に50カット、100カット撮影する「早撮り」を追求して、撮影期間の短縮を目指してきました。
そして、ある程度の感覚は習得できました。
言い方は悪いかもしれませんが、「ここまでは手を抜いても、映像は成り立つ」という「加減」が想像できるようになったわけです。
私は、映像制作に慣れていない人ほど、「早撮り」を意識すべきだと思っています。
正しいこだわりの方向性が分からないうちに、やみくもに丁寧に撮影しても、その丁寧さがプラスに働くのかどうかが分からない筈です。
その撮影が正しかったかどうかが分かるのは、映像を編集して、作品を完成させた後です。
ですから、まずはどんな形にせよ、できるだけ早く完成させる事が必要なんです。
「量は質を凌駕する」という言葉がありますが、最初はとにかく、量をこなすことです。
一日に15カット撮影するより、30カット撮影するほうが、撮影の経験値は倍になります。
1本完成させるより、2本完成させたほうが、技術的な課題などがはっきりします。
3年掛けて1本完成させた人と、1年で4本、ラフな作品を完成させた人では、本数の多い人のほうが、実力が格段に上になります。
完成させる事で身に付く事も多いからです。
そういう意味でも、まずは数分から10分程度のショートムービーを作ることをオススメします。
関係者の負担を比較的軽くして、早い段階で完成品を楽しめることを味わってもらうことで、その後も創作仲間の輪が広がるからです。
「初めての作品だから、準備万端でしっかりしたものを時間を掛けて作りたい」
という考えは、浅はかと言わざるを得ません。
残念ながら、初めての作品でそれほどしっかりしたものは出来ません。完成にこぎつければ100点だと思ってください。
用意する道具は少ないほど、撮影はシンプルで早く進みます。
家庭用ビデオカメラかスマホの手持ち撮影が、もっとも早く撮影が進むと思います。
関係者も、カメラマン+登場人物1人~2人というスケールの作品が、短期間で完成させやすいでしょう。
まずは最低限の準備と早撮りで、作品を完成させましょう。
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