グリーンバック映画第3弾「虹色の霧」メイキング_2021.07.26更新
「暗黒魔獣ワニガメイーター」「精霊と河童の森」に続く、全編グリーンバック映画の第3弾は「虹色の霧」。
原作の掌編小説を作家のミシマナオミさんにご提供いただき、升田が映像のために脚本化。
ミシマナオミさんにご提供いただいた原作小説は、2000文字の幻想的な怪奇小説というテイストの作品。
基本設定や展開はほぼ原作を活かしつつ、映像化する上で、終盤部分をややシンプルに改変しました。
脚本第1稿を元に、ラフに描いた絵コンテがコチラ。
その後、表現が難しかった設定部分に変更を加えたりして、改版した後、絵コンテを清書。
絵コンテを作成した後は、私の標準工程として、「絵コンテのスキャン」を使って、プリヴィズ映像を製作します。
プリヴィズは仮映像です。
その目的は、撮影をする前に、完成映像のイメージを確認することです。
実際、絵コンテでは良いと思って撮影した映像でも、編集してみると、「もっと違う構図で撮影しておけばよかった」とか、「流れで見ると、この映像はいらない」ということがよくあります。
そんな失敗や無駄を減らすために、プリヴィズ映像を活用します。
映像は、セリフとセットにしないとイメージが掴めません。
そこで、セリフの仮音声も組み合わせます。
私は、プリヴィズ映像を作る際、セリフは「かんたん!AI TALK3」の機械音声を使用しています。
このソフトは、比較的人間らしい話し声に聞こえる上、話者選択が出来るので重宝しています、
録音と違って、テキストを入力すれば、一定の音量の音声ファイルが書き出せるのが特徴です。
今回は、登場人物が2人。
原作小説では男性2人ですが、仮音声では、キャラクター分けをわかりやすくするため、男女の声を使っています。
絵コンテのスキャンデータで作ったプリヴィズ映像がこちら。
今回は、「旅行先で撮影した映像を背景として流用する」という裏テーマを実践しています。
これがうまくいくと、映画作品の量産に利用できるはずです。
今回の作品では、神奈川県・秦野市にある「震生湖」という池に行った時に撮影した映像を使用することにしました。
震生湖は、関東大震災の時に出来た池だそうです。
流れ込んでいる川などがないため、水源は恐らく地下水のみ。
地元の人が釣りを楽しんだり、軽いハイキングができるコースがあります。
原作ではブナの森が舞台になっているので、イメージも大体、近いのではないかと判断しました。
撮影した映像は、特に目的もなく、「公園紹介」のような形で撮影していたものです。これを丁寧に見直し、絵コンテに合う背景映像を探します。
「歩いている人物目線の映像」以外は、ほとんど、静止画書き出しした画像を背景に使うことにします。
絵コンテのスキャンで作ったプリヴィズ映像の「絵」と「実写背景」を差し替えていきます。
このように、プリヴィズを単なる「タイミング確認のための使い捨て映像」として扱うのではなく、随時、改版していって、最終的には完成品に変化させるのが、「升田式スーパープリヴィズ方式」の特徴です。
絵コンテに合わせて、人形をグリーンバック撮影し、プリヴィズ映像に合成します。
背景を撮影した部分は「実写背景+人形」、背景映像がない場面は「絵コンテのまま」または「絵コンテ+人形」という、マダラ状態のプリヴィズ映像が形になります。
冒頭に登場するワンボックスカーは、たまたま自動車修理のため訪れた、友人の修理工場にあった社用車を、許可をもらって撮影。
走行中の車窓から見える景色は、別映像を合成する必要があるため、自分の車の助手席にビデオカメラをセットして、撮影しながら近所を走行。
カメラにはワイコンレンズを付けて広角で撮影しています。
背景映像は特に、広角で撮影しておいて、編集時にトリミングして使うことが多いです。
拡大してトリミングすると、画質は落ちてしまいますが、背景はわざとピントをぼかす処理をして合成したりするので、画質低下が問題になりません。
「窓の外の映像」「車内の画像」「人物の仮画像(人形)」を組み合わせて、プリヴィズ映像を更新します。
大分、完成イメージに近付きました。
ミシマナオミさんの原作には、太古の世界から抜け出てきた「マンモス」と「毛サイ」が登場します。
マンモスは、別の作品に登場させるため、ちょうど、ミニチュアモデルを作成中でした。
マンモスを合成用にグリーンバック撮影しています。
毛サイについては、ワニに変更しています。
過去作品でワニのミニチュアを作っているので、それを再利用して撮影します。
これらの映像を組み合わせて、一通りのプリヴィズ映像が出来ました。
基本的には、このあと、出演者決定後、人物の撮影をして、人形の映像と差し替えることで、作品を仕上げていきます。
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