創作活動で毛嫌いされるマネタイズ問題・お金のためじゃないからという言い訳

 

自主映画はビジネスになり得ない?

趣味としての創作活動は、日常生活に適度な刺激を与える素晴らしい活動です。

創作活動の特徴は、「楽しい体験」を味わえるだけでなく、「作品」という成果物が残るところです。

 

昔は、

  • 絵画
  • 小説

といった創作活動を行ったとしても、発表の場は非常に限られていて、せいぜい仲間内で鑑賞するくらいでした。

 

自主映画の趣味も同様です。

  • 同じ趣味を持った仲間で無料上映会を開催したり
  • 雑誌の自主映画コーナーに送って掲載してもらったり
  • コンテストに出品したり

という発表の選択肢くらいしかありませんでした。

 

しかし、インターネットが普及して、環境が大きく変わったのはご存じの通りです。

「発表」ということに関しては、不特定多数に対して行うことが容易になりました。

私も、趣味で書いて「小説投稿サイト」に投稿した小説に、知らない人から好意的な感想をもらったり、インターネット上の映画コンテストで賞をもらったりした事があります。

 

ただ、いずれも「人に見せて評価されることで満足感を得る」という範囲を超えることはありません。

「趣味で副収入を得る」というまでには、高い壁がある印象です。

 

「趣味の創作は金を稼がないから価値がある」という意見がありますが、大きな勘違いです。

「お金を追求すると、本来やりたい創作と違う内容になってしまう」という勝手な曲解をしている人がいますが、収入が発生すると創作活動が穢れるわけではないんです。

むしろ、収入が発生するくらい、その創作物の魅力を高める工夫をした方が、活動にとってもプラスになると思います。

結局のところ、収入を得ようとすると厳しい評価も受けることになるので、それが嫌で、無料で発表しているだけではありませんか?

特に、映画制作は一人ではできません。

わずかでも収入を生み出して、仲間に還元できるシステムを構築できた方が、楽しいとは思いませんか?

 

ただし、プロの映像業界でも、従来の仕組みでのビジネスがどんどん厳しくなってきています。

 

映画の場合、「従来の仕組み」とは、観客からのチケット代や劇場での飲食代を収入源とするものです。

自主映画で似た構造にしようと思ったら、作品のDVDを作って売ったり、アマゾンのプライムビデオで公開して、その視聴料を稼ぐというような方法を選ぶことになるでしょう。

これは、不可能ではありませんが、有名俳優たちを使った映画ですら、なかなかお金を払っては見ない時代です。

見知らぬ、無名の人たちが作った作品を売ろうと思ったら、かなりニッチな観客層に向けて、カルト的な内容の作品を提供する必要があるかもしれません。

そもそも、制作費を極端に低く抑えることも重要です。

昔の自主映画のように、フィルム代だけで200万円掛かるような作品では、元が取れるわけがないんです。

 

ヒントになるのは、観客を当事者にしてしまうアイデアです。

 

人は、驚くほど自分にしか興味がないものです。

ものを販売するビジネスの基本は、このことを認識した上で行う必要があります。

 

「構想〇年!渾身のエネルギーを注いでこの映画を作りました!見てください!」

と言っても、そんなことは観客は知ったことではないんです。

 

でも、

  • 自分がエキストラとして一瞬でも出演していたら?
  • 自分の作ったものが小道具として使われていたら?
  • 自分の考えたセリフが作品の中に使われていたら?

自分が少しでも関わると、その作品は他人事ではなくなるんです。

 

最近では、「一口いくら」、という、個人が支出出来る範囲で資金を提供すると、協力者としてエンディングのテロップに氏名が表示される映画が出始めました。

自分が応援する監督に協力した上、自分の名前が作品中に出るという魅力があり、出資する人は大勢います。

劇場で自分の名前を確認したくて、観客として見に行くことも増えるでしょう。

 

これは、演劇の世界でも昔から取り入れられてきた手法です。

ほんの一場面、大勢の子供たちが登場して歌ったり踊ったりする芝居がよくあります。

作品としては、その場面は無くても成り立ちますが、その場面があることで、子供の家族や友人たちが劇場に見に来る動機が生まれるわけです。

これは、観客数を稼ぐには有効です。

 

私は、舞台映像の編集作業を請け負うことがありますが、大勢の子供たちが出演している作品の場合は、恐らく、その家族が記念にDVDを購入するだけで、DVDの制作費は賄えていると思います。

 

一方、テレビは、スポンサーからの広告料を受け取って、CMを放送するサービスです。

CMだけでは誰も見ないので、CMとCMの間にドラマなどの映像コンテンツを挟み込むビジネスモデルは、ラジオの時代に生み出された手法です。

 

これと近いのは、YouTubeで動画を再生してもらい、広告料を受け取る仕組みですが、以前と違って参入条件はとても厳しくなっています。

芸能人のように有名な人でないと、再生回数はなかなか増えません。

キャッシュポイントを増やす

多くの人は、「自主映画で収入を生み出すのは無理」と言っています。

私も、完成した自主映画を見せることで収入を得るような、昔ながらのビジネスモデルは成立させるのが難しいと思います。

なぜなら、世の中にはコンテンツが既に溢れているからです。

 

「映画」だけに限ってみても、テレビやネットの無料配信などで、とても観きれない数の作品が存在しています。

そんな作品に打ち勝って、自分の作品を有料で見せることは至難の業です。

 

でも、あらかじめ、1つの作品でいくつものキャッシュポイントを作っておいたらどうでしょうか?

例えば、

  • シナリオ
  • 絵コンテ
  • メイキングの記録

なども、商品として複合的に考えるという事です。

 

有名監督の作品と違って、単にシナリオや絵コンテを販売しても売れないかもしれませんが、「自分も作ってみたい」と思う人の「教材」という形にすれば、役に立つ商品になるかもしれません。

印刷代の掛からない「電子書籍」などで試してみる価値はあると思います。

 

「自分は完成した作品だけで評価して欲しい」

と公言する作家も多くいますが、完成した作品だけで評価されている(見てもらえていない)のが、現状なんです。

それが満足できる状態でないのなら、工夫が必要ではないでしょうか?

 

私はというと、一つの作品を完成させるたびに、関連する情報をコンテンツにすることを試みています。

具体的には、メイキングの情報を電子書籍にしたり、オンライン教材に再構成したりという形です。

実際、僅かではありますが、収入は発生します。

 

そこでは、完成作品はメインコンテンツではなく、制作事例のような、サブコンテンツ、オマケのような扱いにはなります。

でも、結果的にその作品を使って、わずかにでも収入が生み出せるのであれば、創作に対する張り合いも全然違います。

 

最近では、恐竜映画を作るために制作した、オリジナルの「コマ撮り用 恐竜模型」の制作工程を一足先に

  • 電子書籍
  • オンライン動画講座

に仕立て直しています。

電子書籍は写真と文章で工作の過程を説明し、動画で詳しく解説している「オンライン動画講座」を紹介して、興味がある人を誘導する、という仕組みです。

 

ダイジェスト版のブログ記事はすでに公開していますが、電子書籍出版後は記事を縮小する予定です)

https://wp.me/p4vWPD-mqS

 

自主映画を作って収入を得る仕組みは、より自由な創作活動を続けるために是非構築したいものです。

私も日々、試行錯誤中です。

 

今のところ心掛けているのは

  • 出来るだけ関係者を増やす
  • 関連コンテンツのスピンオフをあらかじめ意識して、記録を取りながら作業を進め、各種販売用コンテンツとしてリリースする
  • 完成作品を流用して依頼者を主役に作り替えるサービスを提供する

といったあたりです。

 

加えて、アマゾンプライムビデオ進出も目論んではいますが、これにはある程度の長さの作品が必要なので、具体化はしていません。

 

上手く行った方法などは、創作を趣味としている皆さんと共有していきたいと思います。

参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。

(ブログ記事一覧)

DIY映画倶楽部のご案内

 

創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。

昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。

  • 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
  • 自分の創作がしたい人
  • 映像作品に出演して目立ちたい人、目立つ必要がある人

にとっては最適の趣味であることに間違いありません。

 

ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。

 

DIY映画倶楽部は入会費無料の映画作り同好会です。

広い意味でのストーリー映像を作るためのノウハウを共有し、必要であれば技術的な支援もしながら、あなたの創作活動をお手伝いします。

詳しくは以下の案内ページをご確認ください。


Why Monetization Is Misunderstood in Creative Activities—and the Excuse ‘It’s Not About the Money’

Can Indie Films Become a Business?

Creative hobbies like filmmaking offer not only a source of joy but also tangible works as results. Traditionally, opportunities to share such works, including paintings or novels, were limited to close circles or niche platforms. Similarly, indie filmmakers once relied on screenings among friends, film magazine features, or contests to showcase their work.

However, with the advent of the internet, it became much easier to present one’s creations to a wide audience. Even I’ve received positive feedback online for novels I’ve posted on writing platforms and have won prizes in online film competitions.

But these experiences rarely transcend the satisfaction of being seen and appreciated—they rarely generate a supplementary income stream. There’s a prevailing belief that creative hobbies are valuable precisely because they don’t aim for profit. This misconception assumes that pursuing money inherently tarnishes the art. I firmly disagree. Monetizing creative works can encourage ingenuity and elevate their value without compromising authenticity.

The Challenge of Monetizing Indie Films

Films that generate revenue traditionally do so through ticket sales or in-theater purchases. Similarly, indie filmmakers might sell DVDs or upload their work to Amazon Prime to earn through views. However, even big-budget productions with famous actors struggle to attract paid audiences. For lesser-known creators, success might hinge on niche, cult-like followings or ultra-low production costs.

One effective approach is to turn the audience into participants. Humans naturally prioritize their self-interest. This principle underpins business strategies in countless industries.

Involving Audiences in Your Film

Audiences often engage more deeply when they’re personally involved. Consider these examples:

  • An extra role, even fleeting, in a scene.
  • A prop crafted by the viewer appearing in the film.
  • A line of dialogue contributed by the audience.

Such involvement transforms the work into a shared, personal experience.

Some films even recognize contributors by listing their names in the ending credits. People are more likely to support and view a movie where their names appear. This approach, already common in theater, fosters engagement and offsets production costs through memorabilia sales like DVDs.

Beyond Traditional Models: Diversifying Revenue Streams

Making money from indie films can seem daunting, especially with the abundance of free content on TV and online platforms. However, filmmakers can establish multiple revenue streams beyond ticket sales, such as:

  • Selling scripts, storyboards, or “making-of” records.
  • Repurposing these materials into educational e-books or online courses.

While these items may not sell based on celebrity appeal, positioning them as instructional materials could attract aspiring creators. Digital formats minimize costs, increasing profitability.

I’ve personally explored this approach, using each completed project to generate additional content, such as e-books or online lessons. For instance, my dinosaur film led to a detailed tutorial on creating stop-motion models. This side content has become a modest but rewarding source of income.

The Path Forward

Monetizing indie filmmaking fosters greater creative freedom. I’m constantly experimenting with strategies like:

  • Expanding collaborative networks.
  • Documenting processes to produce supplementary content.
  • Offering tailored services, such as repurposing completed works to feature clients.

Though I have yet to finalize plans for platforms like Amazon Prime Video, I aim to share successful methods with other creative enthusiasts. If this article resonates with you, feel free to share it!

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